友人とこで麻雀をして夜中の2時ころかな、チャリでアパートに帰る途中。
そこは裏通りでしかもこんな時間だから人の姿はまったくない。
街灯はあるものの、ちょっと薄気味悪く感じながら神社の前にさしかかったら、
道に面した鳥居からだれか出てきた。
小学校低学年くらいの男の子で下を向いて泣きながら歩いてるような感じだ。
「えっ、こんな時間に」と当然思ったが、
2~3mくらい後ろから母親くらいの年配の女の人がついてきた。
そこでさらに「ん!」となった。男の子の首のあたりから

その女のところまでヒモのようなものが伸びていた。「んん、首輪? 虐待か?」

と思ったが、近づくにつれてそうじゃないことがわかった。
女の口から舌がべろ~んと伸びて、男の子の首筋をちろちろ舐めているんだ。


そう気づいた瞬間、俺はチャリをUターンさせ、明るい表通り目指して

全速力で逃げた。後ろは振り返らなかった。

『ジャンヌ・ケフェル』フェルナン・クノッブフ

 

先週の日曜日のことです。近くの運動公園を夕方ランニングしていました。
ブランコやすべり台のある小さな遊び場の横を通ったのですが、5時過ぎ

でしたので、子供連れのお母さんたちはほとんど帰ってしまっていました。
細いランニングロードを向こうから乳母車を押してくる女の人がいたので、
こんなところを通るなんて非常識だなと思いながら自分から脇へよけました。
女の人は20代後半くらいでやせて背が高く、ボサボサの髪をしていました。
乳母車は古く、赤ちゃんは帽子をかぶりタオルを頬のあたりまでかけていて、
暗くなってきたせいもあって顔が見えませんでした。
小さな両手が前に出ているのですが、
この暑いのに赤ちゃんは、ミトンというのでしょうか、
手製らしい毛糸の指のないてぶくろをはめていました。


その手がうねうねという感じに奇妙に動くのです。
僕が見ているのに気づくと女の人は立ち止まって、
赤ちゃんの手をタオルの中にしまおうとしましたが、
そのときに片方のてぶくろがずれて、白いカブト虫の幼虫の頭の

ようなものがうねうねと動きました。女の人は僕のほうをにらみつけると、
道をそれて木立のほうへと乳母車を押していきました。

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