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今回はこういうお題でいきます。ただ、当ブログでは心霊写真について
何度か記事を書いていますので、なるべくそれとかぶらない内容に
したいと思っています。さて、俗に心霊写真と呼ばれるものは
写真機が発明された当初からありました。
 

なぜかと言いますと、これにはいろいろな理由があるんですが、

19世紀の初頭にヨーロッパで写真が発明された当時、
写真は絵画の延長上にあるものと考えられていたんです。
絵画は、われわれの日常では見ることができない、
ありえない空想上の世界を描くことができます。

絵画的な構図を意識した心霊写真
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例えば、キリストが磔にされる場面とか、聖母マリアの受胎告知。
あるいはギリシア・ローマの英雄が怪物と戦う様子なんかです。
今でこそ、写真は日常生活や旅を記録することが多いですが、
当時は絵画のように、作者が芸術として頭に描いたものを
表現するために使われました。

あと、合成写真はある程度の技術があれば容易につくれたんですね。
多重露出と言って、複数のフィルムを重ねてプリントすれば
いいだけです。最初期の心霊写真では、幽霊は透けているといった
考え方はなかったので、霊と生きた人間が同時に撮られた写真で、
どっちが霊なのかわからないほど鮮明に写っているのが特徴です。

霊魂は霊媒師が呼び出すという考え方ができる
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ですが、それだとわかりにくいですよね。そこで、霊のほうを
白くぼかすとか、透けて背景が見えるようにするなどの技法が
できていったわけです。あと、写真の発明と、ヨーロッパで心霊主義の
大流行が起きた時代がぴったり重なっていることも大きいと
思われます。心霊写真は霊媒師の持つ力の証拠とされました。

さて、ここからは「心霊写真は実在する」と仮定して話を進めて
いきます。では、どうして心霊写真が撮れるのか。これには
複数の考え方があるんです。① 幽霊は人間の目では見えない
ことが多いが、カメラのレンズではとらえられる。
でも、この考え方ってあんまり人気がないんですよね。

明らかに絵を合成したもの
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どうしてかというと、霊がそこにいさえすれば誰にでも撮影できて
しまうので、人間の側の能力である「霊感」が介在する余地が
ありません。そこで② 幽霊と写真の撮影者、あるいは被写体になった
人物との間で、何らかの霊的な感応があった場合に撮られる。

どういうことかというと、「あんたが悪い状態になってるので、
ご先祖様が心配して見に来たんだよ」とか「これはあんたを恨んでる
人の生霊だねえ。何か心あたりはないかい」そんなふうに霊能者が
解説できます。おそらくこの解釈が最も多いと思われます。

霊魂の物質化現象
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③は、幽霊はその場に存在せず、撮影者がその能力で霊の姿を
写し出している。これはつまり「念写」ということです。
念写では、日本から遠く離れたエジプトの風景とか、宇宙船でしか
見ることができない月の裏側なども、術者が念じることで写し出す
ことができました。ただ、この考えも現在では一般的ではありません。

あと、これは心霊写真とは少し違うんですが、
「物質化現象」というのもあります。霊媒師が介在して、霊魂を呼び出し、
それを物質として出現させる。この場合、霊は透けたりせず
普通に写りますし、霊にさわったり、また逆に、霊がこの世の物を
動かしたりできるとされていました。

これまで多数の心霊写真本が出版されており、自分はオカルト研究を
しているので、その大部分を買っていますが、この「なぜ霊は写るのか」
という心霊写真の原理を詳しく解説したものって、ほとんどないんです。
わからないから、と言ってしまえばそれまでですが、
何を言っても矛盾が起きてボロが出そうな感じがしますよね。

念写された文字、点画がつながっているのが特徴 
そうでないと感光させるときにバラけてしまいます



さて、写真のオカルトというと、「写真を撮ると魂が抜かれる」と
いうのがあります。昭和の時代でも、高齢者の中にはそういうことを
言う人がいました。これにもいくつかの原因が考えられます。
日本に写真が紹介されたのは江戸時代の最末期ですが、
当時の人には原理のまったくわからない驚異の技術でした。

ですから、魔術、魔法の一種と考えられても不思議はありません。
それと撮影時間の長さですね。最も最初の写真では、
被写体は8時間!?動かずにいなくてはなりませんでした。
それが技術改良で30分に縮まり、有名な坂本龍馬の写真が
撮られた頃には2分程度まで短くなっていました。

『恐怖の心霊写真集』より 同一人物の二重写しです
おそらく前のフイルムが巻き戻されず、2枚重なった状態で現像された

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でも、2分でもまったく動かず、顔の表情なども変えないでいるのは
大変ですよ。そこで、その撮影の間に魂が吸い取られていくと
考えられたんでしょう。あとは、家族ではない他人の写真を見る機会
といえば、葬式での遺影です。そういうイメージもあるのかもしれません。

それから、「3人で写真を撮れば真ん中の人物が早死にする」
これができた原因も2つの説があって、一つは、真ん中に入る人物は
その中で最も地位が高く高齢であることが多い。そのため、
早く亡くなる確率が高い。もう一つは、
当時のカメラは全体にピントを合わせることができず、

中央の人物は早死にする?
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真ん中の人物だけ特にくっきりと写る。つまりそのぶん魂を多く
吸い取られて早死にしてしまう。今から考えれば笑い話のようなこと
ですが、当時の写真館では、3人連れの客のために人形を用意していて、
それを入れて4人にして写したなんて話もあるんです。

さてさて、写真、カメラを題材にしたホラー作品はたくさんありますが、
現在、主流はビデオカメラのほうに移ってきています。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』 『パラノーマル・アクティビティ』
『REC/レック』などのモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)
映画が大隆盛です。これにはさまざまな利点があって、

まず臨場感が出ますし、グラグラ揺れる手持ちカメラは
その映像を見ているだけで不快、不安な気分になります。また、
驚くほどの低予算でもできます。あと、モキュメンタリーの場合、
カメラに写ってない部分は説明しなくてもいいので、実話怪談と
似ている面があるんですね。では、今回はこのへんで。

ホラー映画のテーマの主流は写真からビデオへ
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