こんばんは。bigbossmanです。今回は自分の友人の占い師が体験した
エピソードなんですが、自分もかかわっています。といっても自分は
知り合いの霊能者であるKさんを紹介しただけなんですが。
ああ、そうですね。その知り合いの占い師。名前を仮に吉村と
しておきます。でね、この吉村、自分と同じでブログをやってるんです。
でも、オカルト・ホラー関係じゃなくて食べログみたいなやつです。
この吉村、カレーが大好きでね。それで、週に1回か2回、
チェーンではない個人経営のカレー屋を訪れてカレーの写真を撮り、
自分のブログに載せてたんです。もちろん写真はそこの店主に断って
撮ってますし、あとは店の雰囲気やインテリア、客の多寡に触れたり・・・
味についてはあんまり書いてませんでしたけど、まあ不味いとは

書けないですしね。でね、その週は〇〇にあるインド人が経営してる
本場のインドカレーの店を訪れて、ポークカレーを食べてきたんだそうです。
まあ、インドでは牛は神聖な動物なので、最初からビーフカレーは
ないんでしょう。そのときはせまい店の中にたくさんお客が入ってたし、
実際に味もおいしかったそうです。で、撮ったカレーと店内の写真と
ともにそのことをブログに載せた。店主は背の高い30代前半くらいの
インド人で、日本に来て6年、やっと念願の自分の店を持ったばかりで、
喜んで撮影をOKしてくれたそうです。で、それから1週間ほどして、

そのブログにコメントがついた。見てみるとこういう内容だったそうです。
「前回の記事のカレー店の写真、カレーは美味しそうでしたが、
店の中で上から下がってるものは何ですか? 飾りつけにしてはちょっと

不気味ですね」吉村は何のことかわからず、ブログのその記事を見返して
みると、たしかに店内をカウンター越しに写した写真の右隅に
おかしなものが写っている。天井から真っ暗なボロ切れのようなものが
垂れ下がってたんです。それ、店の飾りつけにしては異様に大きい。
吉村はその店に行ったときのことを思い出してみたんですが、そこは
大きなカレーのずんどうが置いてある真上で、そんなものがあった記憶は
なかったんです。というか、何だったとしても、そのままだとカレーから
出る湯気でカレー臭くなって湿気ってしまうはず。それで変だなと思い、
もう一度その週末、そこの店を訪れてみることにしたんです。
でね、店長はその日も厨房に立ってたんですが、なんかげっそりした感じで、
しかもお客さんが入ってない。お昼時なのに、客は吉村だけだったそうです。

もちろん店の厨房の隅にはオブジェなんかは下がってない。で、変に思った
吉村は店長に英語で話しかけてみたんだそうです。ところが店長は流暢な
日本語で返してきたんですが「この店には幽霊が出るネ。すぐ頭痛くなるし、
そこの隅に変なものが見えるノヨ。だからだんだんお客さんも減ってって
こんなになってしまいました」それで吉村は、自分のブログからコピーした
写真を見せたんです。そしたら店長は「そう、これです。これ幽霊ダヨ。
日本、怖い、怖いネ。私、これ以上店できません」店長に、もしかして
バスタオルみたいなものを天井から下げたりしなかったかと聞くと、
そんなことはないと言う。でね、カレーの味もなんか変だったんです。
ほら、本場のインドのカレーって煮込んでないし、スープみたいに
サラッとしてますよね。それに近くなった味で、いまいち日本人の好みでは

なくなってたんです。まあそれで、こういう問題に詳しいと仲間内では
思われてる自分に連絡が来たんです。もちろん自分は霊を祓うなんてできない
ですから、知り合いの霊能者Kさんを紹介したんです。ふだんは沖縄県に
住んでるんですが、そのときたまたま大阪に来てたんです。Kさんは実業家
ですが、ボランティアで霊能活動をされてて、最近はそっちの活動の
ほうが多いくらいなんです。でね、自分、吉村、Kさんの3人でその店を
訪れました。Kさんは一歩店に入るなり「これはまずいな。中の空気は完全に
霊スポットのものだよ。かなり強力な霊がいる。そうとうに怒って、というか
渇いてる」 「渇いてる?」 「そう、何かが足りないでイライラしてるような
状態」で、さらに店長から話を聞いたんですが、インドにいた間も、日本に
来てからも人に恨まれるようなことはしていないってことだったんです。

Kさんは「ふむ、日本に来て6年だよな。この霊はもっと新しい気がする。
だからこの人は関係ないだろう。最近、新しく人を雇いませんでしたか?」
と聞いたんです。そしたら答えはYES。「このずんどうの前を持ち場にしてる
人ですよね。今どこにいますか?」そしたら、奥で玉ねぎを剥いたり、
野菜の下処理をしてるってことだったので、店に出てきてもらいました。
これが、髪のモジャモジャしたまだ少年に見えるインド人だったんです。
17歳ということでした。店の手が足りないのでインドの親戚から紹介して
もらったんだそうです。その子は日本語がしゃべれないので、Kさんが
英語で話しました。でね、ブログの写真を見せて心あたりがあるか聞いたら
「ある」って言うんです。これはきっと許嫁だろうって。インドの中流社会では、
昔の日本みたいに結婚相手は親が決めることが多いんです。それも男女とも

小さいうちにです。同じカースト同士でないと結婚できない。で、彼は喜び勇んで

日本に来た。少年は何年かしてインドに戻るつもりだったが、15歳になっていた

許嫁はまもなくインドで病死してしまったんだそうです。向こうではそういう話って

多いんですよね。で、その子が恨ん出てきてるんだろうと。しかしKさんは

何となく釈然としなかったんですね。おそらくその子の霊なんだろうが、

何でずんどうの上に、しかも逆さになって出てくるのか。でね、Kさんは店長に

「うーん、この子はヒンドゥー教だよね。うーん、難しいなあ。あ、そうだ。

明日の朝までに、でかいナンとインド風のスパイスの効いたカレーを

作っておいてくれませんか」こうリクエストしてその日は帰ったんです。

自分が「あれ、どういう意味です?」とKさんに聞いても「まあ明日まで秘密。

俺も上手くいくかどうかわからんから」って言ったんです。

翌日、店が開店する前の午前5時、また3人でその店に行ったんです。

 

でね、奥でインド風カレースープをずんどういっぱいに作っておいてもらったのを

火にかけて、いいにおいが漂ってきました。で、Kさんが合図すると、

白いナンが運ばれてきたんですが、なんと普通のものの百倍くらいの大きさ。

でね、自分もその一端を持たされたんですが、焼いたばっかりでまだ熱く、

ふわふわだったんです。「これ、どうするんですか?」
「霊が出てきたらこれでくるむんだ。逃がすなよ」ってことで、少年に
ずんどうの前に立ってもらって・・・そしたら5分くらいして、天井からバサッと
何かが降ってきたんです。髪が下に垂れて、ずんどうの中に先端が入りそうでした。
「それ、今だ!」というKさんの合図で、自分と吉村、Kさんでその霊をナンで巻く
ように包んだんです。でかい春巻きみたいになりました。「お、上手くいった」
それで、店長が手早く床に置いたナンの天辺にこぶし大の穴を開けると、


ジャーッと熱いカレールーを注ぎかけて・・・かなりの量が入りました。

カレーパンみたいな状態になったんですが、Kさんはナンの表面に耳をあて、

「お、お、浄化した」って言ったんです。たしかにナンを切り割っても、

出てくるのはカレーだけでした。ここからはKさんの話です。

「この霊、少年に恨みがあったわけじゃなく、なんとなく恋しくて出てきた

んだろう。そこにたまたまカレーがあった。で、少し味見してみたら、

インドのカレーじゃなく、日本風にアレンジされてる。日本のカレーも

美味いんだが、慣れ親しんだインドカレーが恋しくなってずっと出てたんだろうな。だから霊の渇きを感じたんだ。だけど、今のでたぶん満足した」 

「はああ、そういうこともあるんですか」 「カレーとそれに使われる

混合スパイスはインドでは神聖なものなんだ。一種のお香みたいなもんだよ」

まあ、こういう話なんです。店長からは感謝され、3人とも、1年間そこの

カレーは無料になったんです。いや、得しましたよ。