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今回はこういうお題でいきます。海や湖はやったのに、川はまだ
だったんですね。2018年の水難事故での死者・行方不明者は、
警察庁の発表によると242人、うち海が146人で、
川は70人となっています。そのうち子どもは28人。

昭和20年代、30年代には夏休みに川で亡くなる子どもが
多かったんですが、今は半分以下に減っています。理由はいろいろ
ありますが、一番は川が汚くなって泳ぐ子どもが
いなくなったということでしょう。一見きれいに見える川でも、
ガラス片が落ちてたりして危険です。

それと、外で遊ぶ子ども自体が少なくなりました。少子化で、
エアコンのついた自分の部屋がある子も多く、暑い時期は
室内でゲームという形になりました。家にいれば農作業の手伝いや
幼い兄妹の世話をさせられた昔とは、何もかも違うんですね。
あと、安全面ではライフベストの普及が大きいでしょう。

水浴びするニホンザル
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さて、みなさんは川のオカルトと言えば何を思い浮かべられる
でしょうか。自分の場合は「河童」です。河童は妖怪とUMAの両方に
またがる存在で、どちらの面からも考察されています。
今回はどうしましょう、UMA的な方向がいいかな。

河童の共通イメージとしては、「体格は子どものようで、
全身は緑色または赤色。頭頂部に皿があることが多い。皿は
円形の平滑な無毛部で、いつも水で濡れており、皿が乾いたり
割れたりすると力を失う、または死ぬとされる。口は短いクチバシで、
背中には亀のような甲羅が、手足には水掻きがあるとする場合が多い。

亀人タイプの河童
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体臭は生臭く、姿は猿やカワウソのようと表現されることもある。
両腕は体内で繋がっており、片方の腕を引っ張るともう片方の腕が縮み、
そのまま抜けてしまうこともあるとされる」だいたいこんなところ
でしょうか。この他にも、キュウリを好むとか、
人間の子どもと相撲をとるなどとも言われます。

UMAとしての河童の、全国の目撃例を古文献から調べてみると、
大きく2種類に分かれます。簡単にいうと、全身に毛のあるタイプと
体毛はなく爬虫類のような皮膚のタイプです。これは「亀人型」と
「猿人型」とも言われます。猿人型は甲羅もない場合が多いですね。

猿人タイプの河童
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で、ぶっちゃけた話をすれば、自分は猿人型はニホンザルの誤認の
ケースが多いと思うんです。10数年前、北関東の沢にイワナ釣りに
行ったときに、たまたま猿が水浴びしてるのを目撃したんですが、
水面から頭を出すとき、毛がふわっと広がってから頭に張りつき、
皿みたいに見えたんですよね。

このことと直接関係はありませんが、
河童の左右の手が体の中でつながっているというのは、
中国の猿の妖怪「通臂猿猴」と同じ特徴なんです。また、毛があり
クチバシがあるタイプは、1970年頃に絶滅したとみられる
ニホンカワウソの誤認なのかもしれません。

姑獲鳥
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さて、川の妖怪には「姑獲鳥・産女」もいますね。マイナーな妖怪
だったんですが、京極夏彦氏の『姑獲鳥の夏』で一般の人にも
知られるようになりました。伝承では、死んだ妊婦をそのまま埋葬すると
妖怪化すると言われ、死亡した妊婦は、腹を裂いて胎児を取り出し、
母親に抱かせたり負わせたりして葬るべきと伝えられています。

でも、そうだとすると産女は墓場にいそうなもので、どうして
川と結びついたのか。『今昔物語』には、平安時代の頼光四天王の一人、
卜部季武が、夜に産女の出る川を馬で渡る話が載っています。
豪胆な季武は、産女から渡された赤ん坊を持って帰ったんですが、
館に戻ると木の葉に変じていました。

木花咲耶姫
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はっきりとはわかりませんが、古代の産褥の禊などと関係があるのかも
しれません。日本神話では、邇邇藝命(ニニギノミコト)と結ばれた
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)は、川辺で機を織っていたことから、
産褥の禊の神とも言われてるんです。

あと、産女がなぜ中国の鳥の妖怪である姑獲鳥と同一視されるように
なったかは、血と関係があるんですが、今回は割愛します。
日本神話では、八岐大蛇のエピソードは、水神を鎮めるために
若い娘を生贄に捧げていたことが物語化したものだという説も
あります。八岐大蛇は暴れ川、洪水の象徴だったというわけです。

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さて、川に関係したホラー作品はパニック物が多いですね。
1978年のアメリカ映画『ピラニア』では、陸軍によって改良された
ピラニアが誤って河川に放たれてしまって・・・という
ステロタイプの内容で、2010年に『ピラニア3D』
というタイトルでリメイクされました。

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じつはリメイク版は、B級はB級なんですが、すごくよかったです。
ただし大画面の3Dで見ればの話ですが。実際には、野性のピラニアが
積極的に人間を襲うことはありません。アマゾン伝説の一つですね。
あとは、地味ですが2004年の『フランケンフィシュ』は、
全体的にはダメな感じですが、ところどころよいシーンがありました。

さてさて、ということで川のオカルトを見てきました。
最近は自然も回復してきて、ゴムボート下りやカヌーなどを
やっている人も見かけますが、水の事故には十分注意
されてください。では、今回はこのへんで。
 

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