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『バーニング』

今回はこういうお題でいきます。はさみの話題だけで最後まで
いけるでしょうか。なんかドキドキしますね。
さて、はさみとは「物を二つの刃ではさんで切断する道具」と
Wikiに出てきます。まあ、そのまんまですね。

歴史的に、はさみをいつ誰が発明したかなどのことはよく
わかっていません。最初に登場したのはギリシア型のはさみ。
紀元前10世紀ころのものが出土しているようです。
ギリシア型はU字型とも言われ、日本の和鋏もずっとこの形でした。

ギリシア型(U字型)はさみ
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6世紀、古墳時代のU字型はさみが日本最古のものですが、
これはおそらく大陸から伝わったんでしょう。ヨーロッパでは、
ローマ型またはX字型と呼ばれるはさみが登場してきます。X字型の
ほうが刃を長くとれ、またブレずに物を切ることができるので、
こちらが主流になり、U字型はすたれていきます。

U字型、X字型のどちらも、てこの原理を使って、少ない力で
物を切る仕組みですが、支点の位置が違い、U字型は手元の
U字に金属が曲がった部分、X字型は刃が交差する部分です。
これについて、面白い思考実感があるのはご存知でしょうか。

ローマ型(X字型)はさみ
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力点の部分はふつうのはさみと同じですが、支点より先が
ものすごく長い、例えば、太陽系を横切るほど長いはさみが
あったとします。そうすると手元をちょこっと開くだけで、
作用点の先端部分がびょ~んと動いて、そのスピードは
光速を超える・・・これ、みなさんどう思われますか。

そんなはさみは作れないし、作っても重すぎて持てない。
まあ、そのとおりです。セラミックのはさみでも、ある程度の
長さになると自重で垂れ下がってしまうでしょう。それと、
はさみを開いたとき、金属原子を力が波のように伝わっていく
わけですが、その速さは光速を超えることはできません。

どうやっても無理なんですね。完全な剛体、つまり、力が一瞬で
伝わるような物質があれば別ですが、そういうものは存在しません。
さて、はさみは凶器にもなります。鋭利なはさみなら、
突き刺すこともできるし、頸動脈もはさみ切ることができます。

はさみとてこの原理
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はさみが登場するホラー、サスペンス映画はいろいろありますが、
自分が一番傑作だと思うのは、1990年の『エクソシスト3』です。
この映画の監督は映画人ではなく、『エクソシスト』の原作を
書いた小説家です。『エクソシスト2』の出来があまりにひどいと
感じたため、自らメガホンをとった。

そのため、一般的なホラー映画の手法とは異なるシーンが
いろいろ見られ、これもそのうちの一つで、深夜の病院で病室を
巡回する看護師の姿が長回しで数分間描かれます。
それだと観客が飽きてしまうので、映像畑出身の監督なら
まずやらないんですが、一室から出てきた看護師の後を、

手術用の骨切りばさみを持った殺人鬼が追いかけてくる。こう言葉で
書いても衝撃は伝わらないですが、ホラー映画史に残る名シーンだと
思います。あとはそうですね、ジョニー・デップの出世作である
同じく1990年の『シザーハンズ』。主人公の姿が一見して
ホラーの登場人物に思えますが、これはファンタジーですね。

『エクソシスト3』
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ある発明家の博士が人造人間をつくるが、両手を仮にはさみにして
おいて、後で通常の手をとりつけようと考えていたところ、
急な発作を起こして亡くなってしまう。両手がはさみの人造人間は
人間界に交わろうとするが、両手のはさみで愛する人を傷つけてしまう。
たしかそういう筋だったと記憶しています。

あと、1981年のホラー映画『バーニング』では、殺人鬼が
凶器として鋭利な園芸ばさみを使用し、指がちょんぎれたり、
首が切られるシーンは当時、残虐として問題になったりしましたが、
今見るとたいしたことはないですね。
もっと過激なスプラッタがたくさん出ています。

『シザーハンズ』
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さて、字数が少なくなってきたので、最後に意外な作品を
ご紹介しましょう。詩人、北原白秋の掌編『神童の死』。
ある山村の両親のもとに、5歳と3歳の男の兄弟がいて、
兄が畳の上におしっこを漏らしたとき、母親が和鋏を鳴らして、
「悪いちんちんはちょん切ってしまうよ」と言います。

そのことを覚えていた兄は、小さな弟がお漏らしをすると、
実際にはさみでちんちんを切ってしまうんですね。赤い血がぴゅーっと
出て弟は死亡、それを見ていた父親が兄を突き飛ばし、
打ちどころが悪くて兄も死亡。さらに母親が気絶したとき、
舌を噛み切ってしまい、やはり死亡します。

北原白秋
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こうしてたちまち一家3人が死んでしまい、残った父親も納屋に行き、
草刈り鎌で頸動脈を切って自殺。一家が全滅するというお話で、
どういう心境で白秋がこの作品を書いたのかよくわかりません。
まあ一種の詩想なんでしょうねえ。青空文庫にありますので、
興味を持たれた方は参照されてください。

自分は昔から北原白秋の詩が好きで、この人がもし怪奇小説を
書いたらきっとすごいだろうなと思ってました。さてさて、
はさみは銃刀法の対象になっており、刃の長さ8cm以上のものは、
正統な理由なく持ち歩くと罪になるようです。お気をつけください。
では、今回はこのへんで。