今回はこういうお題でいきます。物理学のお話ですね。これを発見したのは
たしかフランスの化学者、アントワーヌ・ラヴォアジエだったはずです。

18世紀のことです。やはり高校の化学で勉強しますよね。ただ、残念ながら

現代物理学からは、成り立たない場合があることがわかってきました。

 



質量保存の法則について、Wikiを見ますと「閉鎖系においては、時間が経過しても
物質の総質量が保たれるという物理学および化学の法則である。閉鎖系内で
物質が移動したり、その形状が変化することはあっても、質量そのものが
生み出されたり、消失したりすることがないことを意味する」と出てきます。

これ、じつに有用な法則なんです。例えばそうですね。10gの紙を
燃やしたとします。これが完全に燃えれば灰と煙ができる。煙は二酸化炭素が
大部分でしょう。で、この灰と煙の質量を合わせれば、かぎりなく10gに
近くなる。つまり、あらゆる化学反応を経ても、その実験の前後で
物質の質量は変わらない・・・とはいかないんですね。

なぜかというと、アインシュタインの e=mc2 の式があるためです。質量と
エネルギーは等価であることを表す式。でも、これって直感に反しますよね。
上記のように何かを燃やせば、残った灰と出てきたガスの質量を厳密に
合計すれば、元の質量と同じになりそうです。

 



また、例えば鉄の釘を錆びさせると、一見して質量が増えるように見えますが、
これは空気中の酸素が鉄と結びついているためで、その酸素の質量を
引けば、元の釘の質量になる・・・んでしょうか?


これが違うんです。これらの実験は、エネルギーの増減を考えに入れていない。
くり返しますが、エネルギーは質量と等価です。では、こういう
思考実験をしてみましょう。水100gをガラスコップに入れ、
電子レンジの中で温めるとします。すると水はお湯になりますよね。

では、温める前の水と出来上がったお湯の質量に変化はあるでしょうか。
もちろん温めると水は蒸発してしまうんですが、ラップかなにかで
コップの上部を覆って、蒸発は考慮に入れないことにします。
(実際にこれをやるとラップが破れてしまいそうですが、思考実験なので
それは考慮しません)するとどうなるでしょう?

 



答えは、100gの水の質量は温める前より増えてるんです。でも
ごくごくごくわずかなので、われわれがそれを計測することは難しい
でしょうね。ですから、日常生活では質量保存の法則は成り立ってると
言ってもいい。

じゃあ、どうしてお湯になると質量が増えるんでしょう? それはコップの
水が電子レンジからエネルギーをもらっているからです。水の分子は静かで
ほとんど動きがありません。それが温められることによって


激しく動くようになります。これが温度が上がるということなんですが、
そのエネルギーは電子レンジからもらったものです。
そしてエネルギーは質量になります。

 



あとそうですね。バネなんかを考えてもいいかもしれません。一個のバネが
あるとして、それを引っ張って伸ばしたものは、元のバネに比べて
質量が増えるでしょうか。減るでしょうか?

答えは増えます。え、同じバネなのにと思うかもしれませんが、このバネは
伸ばすという行為によってエネルギーをもらってるんです。
ですから、元に戻ろうとする力が働いています。そのためにごくごくわずか
質量が増える・・・ということなんですね。

もう一度、最初の質量保存の法則の定義に戻ってください。「閉鎖系においては」
とありますが、閉鎖系というのは、どこからもエネルギーをもらってない
という意味なんです。エネルギーをもらったものは同じものでも質量が増える。

 



さてさて、これも e=mc2 の式の不思議ということになります。
ただまあ、ほんとに計測できないくらいの変化なので、日常的には、
質量保存の法則は成り立ってると言っても間違いではないように思いますね。
ということで、今回は前に書いた内容の補足のようなものでした。