これは何が勝てないのかというと、人間の感覚、直観ということです。
天動説、地動説の昔からそうですよね。人間の感覚としては、
自分が今立っている大地が動いているとは思えない。
ですから、天の星が回るのは、そのまま天が動いているからだと考えた。
こういうのはいくらでもあります。

 



有名なガリレオの実験もそうですよね。
自由落下の法則では、落下するときの時間は物体の質量には依存しません。
同じ大きさの鉄の玉と木の玉は(空気抵抗がほぼ同じなので)
ピサの斜塔から同時に落とせば、同時に地面に落ちるはずです。
ところが、人間の感覚としてそうは思えないんですよね。

これはアポロ15号でしたか、確か月面で実験が行われているはずです。
真空状態の中でハンマーと羽毛を同時に落とすと、
空気抵抗がないため、両者はまったく同時に落ちます。
真空チェンバーでの実験も行われていたと思います。

 

このような例はさまざまにあるのですが、現代でも、相対性理論において、
やはり人間の感覚と実際の事象とのずれということを、
あらためて感じさせられました。


(そういえば一般相対性理論の発表から100年ですか)
相対性理論では、物体の速度が増して光速に近づいていくほど、
その物体の中の時間は縮み、空間は圧縮されることになります。
しかしどうしてもそのようなことがあるとは思えないですよね。

 

ピサの斜塔



哲学者のベルクソンはアインシュタインに反論して、
もし地球から光速に近い速度で宇宙船が飛び立てば、
宇宙船を基準に考えると、地球のほうが止まっている宇宙船から、
光速に近い速度で離れていくことになるため、

時間の縮みなどという現象は起きない、と述べました。
これは、両者が一つの系でなければそのとおりです。
たまたま等速勅撰運動している宇宙船から見たとき、自分は止まっていて、
地球のほうが宇宙船の速度で動いているとしてもかまいません。

ところが、宇宙船が地球を出発して地球に還るという場合は、
地球を脱出するときに速度は0から加速していくはずだし、
引き返すときには大きな負の加速度がかかります。だからウラシマ効果

(宇宙船内の時間と地球上の時間の進み方のずれにより、戻ってくると

未来になっている)と呼ばれるようなことが起きるわけです。

 

ウラシマ効果



まあ、光速に近い速度などをわれわれが経験するのは現在の科学では
不可能ですが、実際に起きること、数学的に予測されることと、
われわれの感覚はかなり異なっているのです。
ちなみに、われわれが使っているカーナビは、
衛星からの電波を受信して位置情報を得ているのですが、
相対性理論による2つの補正を受けています。

衛星の中の原子時計は、ひじょうに速い速度で地球を回っているために、
特殊相対性理論の効果で地球の時計よりも早く進みます。
しかし、衛星のあるところは高度が高いため、
わずかしか地球の重力の影響をうけません。これは一般相対性理論の
効果によって、時計は地球上より遅れることになります。

この2つの効果の相殺すると、
結果的に時計はごくわずかですが早く進むことになるようです。
ところで、「相対性理論、カーナビ、補正」などのワードで検索をすると、
「アインシュタインのトリックがわかった」という題名の、
たいへんユニークなサイトに到達します 。
ここで書かれていることの真偽はともかくとして、論理の展開が

とても面白いので、興味がある方はぜひ一読をお勧めします。

 

原子時計



科学者の書いた本を読んでいると、「人間の感覚が

数学に負けたと思う瞬間がある」というような話が出てきます。
計算してみると、どう考えても信じられないような数値が出るが、
結果がそうならば世界はそうなってるんだろうと、受け入れざるを得ない。
数式に負けたと思う瞬間がある、というような内容ですね。

ブラックホールにしても、最初は計算上出てくるものの、
実際にはありえないものだと考えられていましたが、
だんだんに実際に存在すると推測される観測結果が見つかるように
なってきました。量子力学の波の収縮なんかもそうですよね。


ということで、数式ではこうなっているが、人間の感覚としては

どうしてもそうは思えない。しかし数式が最終的には
勝ってしまう。こういう形で科学は進歩していっているわけです。

 

幾何学図形



ところで、自分は幽霊について「自然科学で」考えるということは

していません。そうするとたくさんの矛盾点が出てくるからです。
もし、幽霊が物質ではない=重力の影響を受けていない とするならば、


地球といっしょに動くことはできません。もし幽霊が宙に浮いたり

できるのならば、その比重はどうなっているのでしょうか。
もし空気より軽ければヘリウム風船のように、
上空に行ったきりになってしまうかもしれません。

浮遊するのにホバークラフトとかリニアモーターカーのような原理を

使っているのなら、ではそのためのエネルギーをどこから得ているのか。
そもそも人間のように食物を摂取しないのであれば、
幽霊が在り続けるためのエネルギーはどこからきているのか?

 

アルキメデスの原理


このように考え出すと一つ一つきりがないのです。
ですから、自分としては幽霊は現代の自然科学とは全く別の、
オカルト理論で動いているものとして設定しています。
幽霊が存在する力の根源は、外的な空間にあるのではなく、
人間の心の中、インナースペースにあると考えるわけです。

最後に問題を一つ。
あなたが走っている電車の中にいるとして、通路上で跳び上がれば、
これは(ほぼ)元の場所に落ちます。
列車の進みによって落ちる場所がずれるということはないはずです。


これは空いている電車内で実験することもできるでしょう。
では、もし電車の屋根の上にいて、そこで跳び上がったら

どうなるでしょうか?後ろに吹っ飛んでいくことになるのでしょうか。

 

まとめ 人間の直感が数学が指し示す結果に勝ったことはない。

どんなに信じがたいことでも、計算が指し示す結果は

それが起こり得ることであると示している。

これはなあに?