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今回はこういうお題でいきます。カテゴリは怪談論です。
最近、読む怪談よりも語る怪談が盛り上がっている感じがします。
怪談師と呼ばれる人が登場して、あちこちでいろいろなイベントが
開かれていますね。自分も何度か行ったことがあります。

昔は、怪談を専門に語る人ってそう多くはなかったんですね。
「牡丹燈籠」などの古典落語をのぞけば、稲川淳二さんとか
桜金造さんとか、芸人、タレントを兼業している方がほとんど
でしたが、最近の怪談師は、本業はあっても、それとは関係のない
形で怪談を語るという人も増えてきました。

「OKOWA」というイベントをご存知でしょうか。「ジャンル不問で
世界一怖い話をするのは誰かを決める対戦形式の大会」とされ、
昨年から始まって、ニコニコ生放送で公式生中継されています。
当ブログの読者の方なら、ご覧になっているかもしれませんね。



これなどは、対戦ルールとして創作か実話かは問いませんし、
ジャンル不問ということで、詩の朗読があったりもしました。
自分は、じつに面白い試みだと思って見ています。
怪談を評価するにあたって、「怖さ」を基準にするのは王道です。

よく、「怖さにはツボがあって反応のしかたが一人一人違う」
などとも言われ、それは一面では正しいのですが、それでも、
聞いた多くの人が「怖い」と思うような怪談はあります。
もちろん、そういうのを作るのはたいへんです。

さて、当ブログの怪談の場合は、あまり、読者層を想定して
書くということはしていません。いただいたコメントを見るかぎりでは、
主婦層や学生の方が多いようですが、そういう人たちに好まれるような
怪談といっても難しいんですよね。ということで、できるだけ
いろんなタイプの怪談を書いていこうと思ってるわけです。

で、書くにあたってまず考えるのは「実話度」ということです。
これは自分が勝手に作った言葉ですので、検索しても出てきません。
自分の書く話のほとんどは創作なんですが、とは言っても、
いかにも実際にありそうな感じに書くことはできます。
そういうのは実話度が高い怪談ということです。

つげ義春 『ゲンセンカン主人』


実話度が高い怪談を書くのは、そう難しいことではありません。
例えば、妻子ある男性と不倫している女性のもとに、
男性の奥さんの生霊が出たとか、スピリチュアル系の怪談マンガには
よく出てきます。まあ、実話度は高いですよね。

週刊誌の事件記事なんかを利用して書くことが多いですね。
実際に起きた事件の内容をもとにして、どっかに心霊的な要素を入れる。
それもごくさりげなくです。そうすると、もともとが実話なので、
「ああ、こういうことはあるかもしれない」という怪談ができるんですが、
自分的には、それだけだとあんまり面白くないんです。

オカルト的な要素の強い怪談も書いていきたい。妖怪が出てきたり、
古い農村の因習が恐怖の源になっていたり、悪の組織が何か
心霊的な悪巧みをしかけたり・・・ただ、そういった内容は、読む人に
「こんなことがこの世にあるわけはない」とも思われやすいんです。
その手のものを、自分は「フィクション度が高い」と位置づけています。

キャプチャ
の段階があって、今回はどのあたりの線でいこうかというのは、
書く前にいつも考えます。もう一つ、上記のことと深い関係に
あるんですが、「謎度」ということも考えています。 



これは、その話の中に謎があるとして、それが最後までにどれくらい
解決されるのか、ということです。自分の書く話は、すべて一人称の
語りなので、その語り手にわかっていることが話のすべてです。
ですから、謎度を調節するのもそんなに難しくはありません。

例えば、あることが原因で霊障が起き、語り手が悩まされるが、
語り手はその原因を調査して理由がわかり、霊能者などに依頼して
霊障を収める・・・こういう形だと、オカルト的には謎は少ないですよね。
ですが、それだけだとやっぱり書いててツマラナイんですね。
謎度の高い不条理系の話も魅力があります。

なぜその怪異が起きるのか、原因がわからないままに語り手が
事件に巻き込まれ、最後まで解決しないまま、現実がぐにゃんと
ゆがむように終わる謎度の高い怪談。そういうのがお好きな方も
おられると思います。「理由、原因がわからない」ということは、
それだけでも恐怖の対象になりますからね。



みなさんが社会生活をしていて、理由がわからない出来事というのは
そんなにないはですよね。原因があって結果があり、原因というのは
自分の行動の場合が多いので、他人に嫌なことをされたとしても、
その理由はだいたい思いあたると思います。

それが不条理系の話の場合、例えば、あなたが会社に行くと、
前日まで仲の良かった同僚や関係のうまくいってる上司が、あなたを
避けるような態度をとります。でも、あなたには心あたりがまったくない。
こういう形で始まることが多いんです。

さてさて、上の話の続きですが、会社のメンバー全員に嫌がれたまま
1日が終わったあなたは、思い切って上司に理由を聞いてみます。
すると上司は、あなたの顔を見ないようにしながら「だって君、
蛇になりかかってるじゃないか」こう答えて話が終わる・・・その後に、
トイレに行って鏡を見るシーンをつけ加えてもいいかもしれません。
鏡に映っているのはいつもと変わりない自分。では、今回はこのへんで。
 

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