っこいうy

さて、今回は、月をめぐるオカルトの話題を書いてみたいと思います。
まず一番先に出てくるのは何でしょうね?
狼男でしょうか・・・満月が近づくにつれて人格が変貌し、凶暴性が増し、
ついには外見まで狼のような毛むくじゃらに変身してしまう・・・


これは有名ですが、書いていくと長くなってしまうので、
今回はあえて取り上げません。ただ、狼男に変身するとまではいかなくても、
満月の夜には犯罪の件数が多いというような話も昔からありますね。

実際に統計を見ても、満月=事故や犯罪が多い、というデータはあるようです。
しかし、この原因については、オカルトでなくても説明がつきそうです。
まず満月の夜は当然ながら明るいですよね。
夜に出歩く人も普段より多いかもしれません。



月の明るい夜のほうが、かえって車からの視界は悪くなるという話もあります。
さらに、太陰暦を採用している国では、給料日やお祭りなどが、
満月、新月と重なる場合が多いのです。統計に有意なデータが見られる
理由としては、まずこれらのことを疑ったほうがいいと思われます。

眉唾話としては、月の引力というか潮汐力、
これが人間の体内の水分にも作用して、精神に影響を与える・・・
「バイオタイド理論」と言い、アメリカ精神科医アーノルド・L・リーバーが
提唱しました。これを説明するためのよく引かれる話として、

「地球の巨大な海にまで影響を与えるのだから、
人間に影響がないはずがない」しかし、おかしいですよね。
海水の質量は巨大だからこそ、影響を受けるのです。それに対して、
人間一人分の持つ水分など微々たるものでしかありません。

さらに、もし潮汐力が原因で人間の行動に変化が出るなら、
月の見えにくい新月のときも、満月時と同じ潮汐力が働いているはずです。
(実際には太陽の潮汐力も加わるため、新月のほうが合計した力は大きい)
やはり心理的なものは別として、人間の精神に与える物理的な影響は、
ないと考えたほうが合理的でしょう。

念写を行った三田光一
っっきいううyt

それとも、スーパームーンでも潮汐力は強まりますので、
先週の日曜日は犯罪が多かった、などのデータがいずれ出てくるでしょうか。
あとはそうですね。月はつねに同じ面を地球に向けていて、
裏側が見えるということはありません。

これは月の自転と公転の周期が一致しているためで、
やはり潮汐力が関係しています。まあ簡単に言えば、それが月にとっても
地球にとっても一番軌道が安定するからです。
この「見えない月の裏側」を巡って、様々なオカルト説が展開されてきました。

いわく、「月の裏側には地球人から見えないように隠された都市がある」
これは前に「オカルトを仕掛ける」という項で紹介した、
アメリカの科学ジャーナリスト、宇宙遺跡と異常構造物の権威 w
リチャード・C・ホーグランド氏がさまざまな画像をあげて紹介して

くれています。下図のようなものです。 



こういうのは夢があります。ただ・・・地球上の何もないと

わかっている岩山や砂漠で解像度のよくない写真を撮れば、
人工物にも見えてしまうものって、いくらも見つかるんですよね。
これは、アポロ20号が撮影したとされる、月の裏側の宇宙都市 w です。



まあねえ、夢があるのは確かですし想像が膨らみますよね。
これで詐欺にあうような事例も少ないでしょうし、
自分としては「いいオカルト」として見てるんですけども。

あと、ここまでの内容は地球から見た月の潮汐力のことですが、
月面上で受ける地球重力の影響のほうが、それよりはるかに大きいでしょうし、
それを使って何かSF短編とか書けそうな気もしますね。

「月の裏側」は今でこそ、日本の月周回衛星「かぐや」が撮影した画像などで
見ることができますが、昔は「見ることができないもの」の
代名詞のような対象でした。なんと日本には、その見えない月の
裏側を「念写」した写真が存在するんです。

撮影者三田 光一は、御船千鶴子、長尾郁子らとともに福来友吉博士によって
発掘された「超能力者」の一人です。撮影は1931年(昭和6年)、
福来博士の発案で行われました。その結果は、アメリカの探査機が撮影を
行うまで何十年も検証できなかったのですが、対照してみたところ、部分的には
似てる部分もあったものの、全体としてはほとんど一致してはいませんでした。

これはまあそうでしょう。念写自体がありえないもの、と言ってしまえば
それまでですが、もし念写的なことが可能であったとしても、
自分の未知のもの、自分の心に思い描けないものを念写するというのは、
オカルトを認める立場からも、理論の構築は難しいのです。
下に三田氏の念写写真と、月の裏側の最新画像を対比して掲載しています。
また、ネットでは「福来研究所」における比較対照の論文がPDFで読めます。



さて、月をテーマにした作品は、SFならともかく怪談は少ないですね。
実話怪談作家の松村進吉氏に、『メリエスの末裔』というのがあって、
竹書房ホラー文庫から出ていますが、これがなかなかの傑作でした。
少年時代に自転車で隣町まで冒険に出かけたはずが、
いつのまにか月面に来ている・・・月面には書割のような家々が並び、

中には薄っぺらい人が・・・体験者は地球に戻ってはこられましたが、
怪しい男につきまとわれることになる・・・という内容です。
ちなみにメリエスというのは、1920年の映画『月世界旅行』を監督した、
フランスの映画製作者で、現代にもさまざまな影響を与えています。

『月世界旅行』