今回はこのお題でいきます。なんか怪獣映画のタイトルのようですが、
そうではなく、どちらも高名な発明家である、トーマス・エジソンと
ニコラ・テスラのことです。年齢的にはテスラが10歳ほど若く、
彼はエジソンにあこがれてエジソン電灯会社に入社していますが、後に対立し、
晩年にはエジソンの名が冠せられた「エジソン勲章」の受賞を拒否しています。

エジソンとテスラ


まずエジソンですが、ご存知でない方はいないでしょう。歌にも、
「♪ エジソンは偉い人、そんなの常識~ パッパパラリラ」とあるとおりで、
子どものころに、伝記を読まれたという人も多いんじゃないかと思います。
その発明には、電話機、蓄音機、電球、映画、トースターなどがあります。

いっぽうのニコラ・テスラには、その発明品として、ラジコン、
蛍光灯、空中放電実験で有名なテスラコイルなどがあります。この2人、
どちらも晩年にはオカルト研究に没頭したことでも知られています。
エジソンは、当時アメリカで大流行していた降霊会を信じていて、
スピリチュアル団体に研究資金を寄付したりしているんです。

テスラコイル


エジソンは、人間の魂を一種のエネルギーと想定し、
エネルギー保存の法則にしたがって、その力は死後も保存されると

考えていました。そこで、空気中に漂う魂のエネルギーをとらえるための
「霊界通信機・霊界ラジオ」の研究に何年も時間を費やしています。

テスラも、同じく晩年には霊界通信の研究に没頭しましたが、エジソンとともに、
成果らしい成果は出せていないのが現実的なところです。あと、
テスラの発明したテスラコイルは、アメリカのカルト団体で疑似科学的に使われ、
オカルトフアンの間で有名な、あの「フィラデルフィア実験」でも使用された
ことになっています。ただ、この話には実体がないですけどね。

フィラデルフィア実験


さて、なぜこの2人に対立が起きたかというと、
主な原因は「電流戦争 War of Currents」によるものです。エジソンは、
直流電流がアメリカのインフラとして送電されるよう推し進め、
それに対しテスラは、自分が考案した交流電流が採用されるよう画策しました。
これ、どちらが採用されるかで莫大な金額が動きますので、
まあ戦争になるのも当然です。

直流と交流の違いはおわかりだと思います。みなさんの家の壁にある
コンセントは交流電源ですし、乾電池やバッテリーは直流です。
直流は電圧は常に一定ですが、交流の電圧は波として変動しています。
下の図がわかりやすいんじゃないかと思います。

交流と直流の違い


結果からいうと、アメリカで採用されたのは交流で、テスラ側の勝ちです。
現在の日本もそうですね。なぜ交流が勝ったかの原因はいろいろあるんですが、
ここでは割愛させてください。で、この電流戦争では、エジソン側から
交流電流に対するネガティブ・キャンペーンが数々仕掛けられました。

次の動画をよろしければご覧ください。(象が感電死する閲覧注意動画です。)
出てくるのは、コニーアイランドの遊園地で飼われていたトプシーという象で、
調教師を3人殺してしまったため、薬殺処分される予定でしたが、エジソン側は、
交流電流の危険を訴えるため、公開の場で電気ショックで殺すことを提案しました。



そして、数秒で煙を出して死ぬ様子が撮影され、エジソンはその場面を
自分が発明した映画にして、全米各地で公開したんですね。
この他にも、エジソンは自分の研究所で、
犬や猫を、交流電流によって多数 殺処分しているんです。

でも、これはどう考えても非科学的だし、そもそもアンフェアですよね。
直流だって電圧が大きければ死ぬはずです。
これに対抗して、テスラ側は人体に交流電流を流し、
その安全性を人々に示すショーを企画して、全米各地を巡業して回りました。

 

ニコラ・テスラ



さて、アメリカの死刑方法では電気イスが有名ですが、もちろんこれは、
電気製品が実用化されてからのもので、それ以前は絞首刑が多かったようです。
で、エジソン側は、電流戦争のネガティブ・キャンペーンの一環として、
交流電流が用いられた電気イスでの死刑を提案しました。

史上初の電気イスでの死刑は、1890年、ニューヨーク州の

オーバーン刑務所で、内縁の妻を斧で殺害したウィリアム・ケムラーに

対して執行されたんですが、悲惨きわまる結果になりました。

最初17秒間通電しましたがケムラーは死に至らず、
2回目は1分以上通電され、発電機が電圧2000ボルトに上昇するまで

ウィリアム・ケムラーの死刑


ケムラーは叫び続け、肉が焼ける臭いが部屋に立ち込め、頭部から煙が上がり、
最終的には体から炎が上がりました。吐き気を催した見物人が何人も、
部屋から逃げ出したと言われています。この結果について、
「斧を使ったほうがまだましだった」とまで、後に論評されました。

さてさて、みなさんは今、さまざまな電気製品を使われていると思いますが、
その陰には、このような歴史があったんですね。あと、日本では

オウム真理教の松本智津夫の死刑が話題になりましたが、
アメリカでの電気イスによる死刑には、こんな興味深い裏話があったんです。
ということで、今回はこのへんで。