※ 2019年の記事です。

 

米国のトランプ大統領は18日、「宇宙統合軍」を創設する指示書に
署名したと共同通信ら多数のメディアが報じています。
「宇宙統合軍」は、中国・ロシアの宇宙開発に対抗するもので、
今回創設される「宇宙統合軍」は、陸海空軍の下部にあたる統合軍。

2020年末までには5軍と同格の、独立した「宇宙軍」として昇格を

目指します。また、副大統領のマイク・ペンス氏は宇宙軍創設に関して、
中国やロシアの宇宙空間の衛星攻撃兵器(ASAT)の開発などの軍事利用化を
懸念しており、宇宙においても米国の優位性を確保することを主張しています。
(RakutenNews)


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今回はこういうお題でいきます。ただ、後半のほうは自分の趣味の話になるので、
スルーされたほうがいいかもしれません。さて、引用記事の「統合軍」
というのは、独立した正規軍ではなく、現在ある5つのアメリカ軍の下部組織に
あたるものになります。アメリカ5軍は、陸軍(Army)・海軍(Navy)・
空軍(Air Force)・海兵隊(Marine Corps)・沿岸警備隊(Coast Guard)。

海軍と海兵隊の区別がわかりにくいかもしれませんが、
海軍は基本的に艦船にのって戦闘を行い、上陸することはまずありません。
それに対し、海兵隊は先遣隊を務め、敵国の海岸部に上陸して戦闘拠点を築きます。
陸軍との違いは、継続的な陸上での戦闘は意図されてないことです。

あと、沿岸警備隊は、日本の海上保安庁のような役割を果たし、
アメリカの領海、海岸線の警備を担当します。日本と違って、アメリカの海岸線は
長大で、カナダを間にはさんだアラスカ州のような飛び領土もありますので、
たいへん重要な役割ですね。記事のとおり、2020年には「宇宙統合軍」の
「統合」の文字がとれ、独立した軍種(US Space Force)に

 

 

昇格すると考えられます。では、宇宙軍を創設する意図はどこにあるんでしょうか。
これは、中国、ロシアの宇宙での軍事活動に対抗するためのものと説明されます。
あれ、でも宇宙の軍事利用は、1967年に発効した「宇宙条約」によって
禁止されているはずですよね。ですが、物事には必ず裏が存在します。

最近、大国間で競うように宇宙探査機が打ち上げられており、
学術探査を目的としてうたっていますが、当然ながら、そこには軍事的な意図も
混ぜ込まれています。相手国の優位に立つためには、
使えるものは何でも使いたいのが本音で、宇宙もまた例外ではありません。

さて、宇宙の軍事利用として一番に考えられるのが、

宇宙から地上を攻撃することです。アメリカは、

宇宙兵器「神の杖 Rods from God」を開発しているのではないかと、
早くから噂されています。これについては前にも書きましたが、衛星から、

タングステンなどの固い棒状の物体を、目標に向かって落とすものです。

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これには、爆薬などの弾頭はありません。衛星の高度にもよりますが、
神の杖が地上に到達するまでには、マッハ20レベルの高速になり、

迎撃は現在の技術ではかなり難しいでしょう。落ちてきた神の杖は

地下深くまで潜り、相手国の地下施設を、相当な深度まで破壊する

ことができると言われます。一種の運動エネルギー弾なんですね。


ただし、これは明らかな宇宙条約違反ですので、もし開発して使用した場合、
核兵器を使用したのと同様な、国際的な批判はまぬがれないでしょう。

それに、この兵器の理屈は、地上から高高度までミサイルを打ち上げて

落下させるのとあまり変わらないんですよね。ですから、開発は

しているんでしょうが、アメリカが実際の戦闘に使うとは考えにくいです。


では、使われる可能性のある兵器はどんなものかというと、
相手国の軍事偵察衛星を無力化させるためのものです。偵察衛星の存在は
たいへんやっかいです。最近は、偵察衛星の地上情報の解像度はますます
高くなっており、1m以下とか、どこまで本当かわかりませんが、
広げた新聞の文字が読めるなどとも言われたりします。

偵察衛星からの画像
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1985年、アメリカはF15戦闘機から、対衛星ミサイル(ASAT)

の発射実験を行い、衛星の爆破に成功しています。ただこのとき、

たくさんの宇宙ゴミ(space debris)が生じ、アメリカ議会が反対した

こともあって、計画は中止されているんですね。

それが2007年、中国が、老朽化した気象衛星の廃棄を口実に、
対衛星ミサイルを発射して爆破に成功しました。

しかし、このときも宇宙ゴミが大量発生して、中国政府は各国から非難を受け、
現在は計画を自粛しているところです。で、現在の宇宙兵器の主流は、
自国の衛星によって、相手衛星の動きを止めようとするもので、
必ずしも物理的に破壊する必要はなく、レーザーやマイクロ波、
ジャミング(電波妨害)などの電磁的な攻撃が主力になります。

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これが、アメリカ宇宙軍創設の背景なんですが、中国外務省は、
アメリカの動きに対して、公式に強い不快感を表明しています。
さて、ここからは余談になります。みなさんの多くは会社勤めをされていると
思いますので、ふだんはスーツなどを着ておられるんじゃないでしょうか。

自分は自由業ですので、スーツを着るのは何かのパーティくらいで、
私服で過ごしていることが多いんですが、じつは大のミリタリーファッション
のフアンなんです。アメリカのフライトジャケット、フィールドジャケット、
あとドイツ軍やフランス軍のものなど、たくさん持っています。今日も、
レベル7ジャケットという、防寒用のものをずっと着ていました。

古着のG1ジャケット
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で、それらは、一部に民生品として売られているものもありますが、
ほとんどは実際に軍務で着られた古着なんです。ですから、ほつれやかぎ裂き、
袖のところには、銃器を手入れしたときについた油染や、
裾に射撃訓練での焼け焦げが残っているものもあるんですね。

怪談だと、そういうものには兵士の執念が染みついていて、
怪異が起きたりする話もありますよね。自分はベトナム戦争時のものとかも
持っているんですが、怖い体験は、残念ながら今のところありません。
古着って、前の持ち主がどういう人物だったか、想像する楽しみがあるんです。

さてさて、ということで、アメリカ宇宙軍では、どういうジャケットや記章が
採用されるのか、たいへん注目しているところなんです。
これは自分だけでなく、世界のミリタリーフアンはみな同じだと思います。
最後に、何度も書いているんですが、宇宙に関しては、条約の精神を遵守し、
どの国も平和利用に限定してほしいものです。では、今回はこのへんで。

 

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