東京の健康食品販売会社の社長ら4人が、「がん細胞が自滅する」
などと効能を宣伝し、がん患者に健康食品を高額で販売していた
として逮捕されました。

同社は「フコイダン」という成分が含まれた原価約3000円の商品を
5万円を超す値段で販売。3年間に28億円余りを売り上げていました。
このように、がん患者さんを相手に医学的根拠のない治療を高額で提供し、
利益をあげる業者は後を絶ちません。(山本健人氏のブログ)


ssdddf (2)

今回はこういうお題でいきたいと思います。これは個人ブログからの
引用で、ブログ管理人の山本健人氏は消化器外科専門医ということです。
それにしても、原価3000円を5万円で売るのはボロい商売ですね。
ただ、これも健康食品として売る分には罪にはなりません。

医薬品ではない食品を、「がんが治る」 「がんに効果がある」こういう
宣伝文句で売った場合、薬事法に違反するんです。ちなみに
フコイダンとは、主に海藻に含まれるヌルヌルした成分のことです。
実験用マウスなどでは、がんに対する効果は認められるものの、
人間での治験は行われていません。

 

金の延べ棒で患部をなでる民間療法を行った川島なお美氏



さて、何から書きましょうかね。はたしてこのフコイダン、人間のがんに効果が
あるのか。自分はないだろうと思ってます。もし本当にがんに効果があるなら、
世界の巨大製薬会社が黙ってるはずはありません。彼らはアマゾンの奥地に
わけ入って毒矢の成分を調べたりなど、薬効のあるものを探し求めています。

今井雅之氏 テレビで病気を明らかにした途端 

さまざまな代替療法、新興宗教の案内が送られてきたそうです
ssdddf (5)

当然、フコイダンについても実験を重ねているはずです。そのうえで、
これは使い物にならないと放棄した。これで数百億円かかる治験を
実施しても損になるだけと判断したんでしょう。実験用マウスで薬効効果が
認められたという成分はいろいろあります。しかし、じゃあそれが
人間にも効くかというと、そこには大きな壁があるんです。

マウスの場合、ただのお茶(緑茶)やウコンエキスを注射しただけでも、
がんが消えたり縮小したりするんです。フコイダンだけでなく、
アガリスク(キノコ)、メシマコブ(キノコ)、プロポリス(ミツバチが
巣に塗る成分)、ブロリコ(ブロッコリー由来の成分)、霊芝(キノコ)、
深海鮫エキスなどについても同じです。

まあ、これらの健康食品には即時的な副作用はないだろうと思われます。
ですが、本当に副作用がないかどうかはわかりません。ニンジンに多く
含まれるβ-カロテンについて、アメリカで大規模な臨床試験が行われ、
その結果、β-カロテンを主成分としたサプリメントを常用していた群で、
喫煙者では肺がんの罹患率が有意に上昇していることがわかったんです。

小林麻央氏 糠風呂をはじめ いろいろな民間療法をやられていたようです
ssdddf (6)

日本でも、がんにはニンジンジュース、野菜ジュースというのが浸透していて、
乳がんで亡くなったアナウンサーの小林麻央さんも飲んでいたようですが、
効果がないどころか、かえってがんリスクが高まってしまう。これは

考えてみれば当然で、ある成分の過剰摂取が体にいいわけがないです。


体液のバランスが崩れて細胞を傷つけてしまうでしょう。

これが野菜ジュースではなく、例えば塩だと考えてみれば、

過剰摂取の危険性がよくわかります。塩分は人間が生きていくためには

必須ですが、それも適量の場合に限ります。

さて、では、どうしてこういう高額な健康食品に手を出してしまう人が
いるんでしょうか。これはいくつも原因が考えられます。まず、
ふだんから自然食品などの信奉者である場合。アップル社の共同設立者の
一人であるスティーブ・ジョブズ氏は、IT企業に身をおいていながら、
ニューエイジ思想を実践していました。

ITとニューエイジって相性がいいんですね。彼は膵臓の神経内分泌腫瘍に
かかっていると診断され、手術を勧められたものの拒否。絶対菜食、ハリ治療、
ハーブ療法、瞑想などでがんを消そうとしました。ですが、再検査でがんの
増大が判明して、結局は手術を受けます。最後は肝臓移植まで
したんですが、最終的にがんのために亡くなります。

スティーブ・ジョブズ氏 彼ほどの資産家でも転移・再発した癌はなかなか治りません
ssdddf (1)

まあ、自分の主義主張で、最後まで西洋医学の治療を拒んだというなら
それは一つの生き方でしょうが、ジョブズ氏は最初に手術しなかったことを
強く後悔していたと言われます。もちろん、早期に手術したとしても、
完治できたかはわかりません。アメリカにはこういう自然主義者は
多いものの、日本ではそれほどの数はいないと思われます。

2つめは、がんと診断され、ショックのあまり何かできることはないかと
すぐにネットを検索しまくったケース。ネットには、その手の健康食品、
代替療法、民間療法などの広告があふれていて、ショック状態にある人は
たちまちひっかかってしまうんです。あまりに氾濫してしまっているので、
とても取り締まるのは不可能という気がします。

膀胱がんにかかった元プロボクシングのチャンピオン、竹原慎二氏も
このケースで、ネットで見つけたフコイダン、1本3万のものを
とりあえず24本買ったそうです。その心理はよくわかります。
竹原氏は余命1年を宣告されたものの、膀胱摘出、再建の
最新治療を受け、現在もお元気です。

膀胱癌を克服した竹原慎二氏
ssdddf (4)

3つめ、これが最も深刻な理由だと思いますが、再発・転移してしまった
ステージⅣのがんは、現代医学ではまず治す方法がないことです。
抗がん剤治療は症状の緩和、延命が目的です。技術的な限界点であり、
どうしようもないんですが、患者にしてみればあきらめきれない、
やはり完治したいですよね。

そこへ代替療法の業者が、「治りますよ」「いっしょに治しましょう」と
声をかけてくれば、怪しいとは思いながらも話を聞いてしまう。
そうすると向こうはプロですから、さまざまな手口を使って
お得意様に引き込んでいく。その結果、何百万から千万以上の
お金を使って、最終的には亡くなります。

自分も目撃したことがあるんですが、そういう業者は大病院のPET検査室の
前の待合室にいて、患者の家族が深刻な顔で座っていると、「たいへんね、
・・・わかりますよ」などと言って近づいていくんです。その業者は、
1本5万円、月40万円以上かかる「がんの治る水」を売っていました。

アメリカの病院に付随したチャペル
ssdddf (3)