長年にわたり暗号解読家たちを悩ませてきた「ヴォイニッチ手稿」。
何語で書かれているかすら分からない約600年前の謎の本に、
カナダの研究者2人がAI(人工知能)を使って挑戦し、
解読方法を発見したと主張している。その論文が掲載されたのは、
学術誌「Transactions of the Association ofComputational Linguistics」。
だが、手稿の内容はまだ謎に包まれており、他の研究者たちは懐疑的だ。
(ナショナル・ジオグラフィック)




今回はこのお題でいきます。ただ、「ヴォイニッチ手稿 Voynich Manuscript」
については、ネット上にたくさんのまとめがあり、
そちらに詳しいことが書かれていますので、自分としては、

最後のほうで、いちおう新説を提示したいと思っています。

まず、ヴォイニッチ手稿とは、1912年にイタリアで発見された

手書きの古文書で、未解読の文字が記され、多数の奇妙な絵が

描かれていることが特徴です。現存する分で約240ページの羊皮紙で

できており、本には綴じ直しされた跡があるため、ページは

最初に書かれた順序どおりでない可能性があります。

発見者は、ポーランド系アメリカ人の古物商、古書収集家のウィルフリッド・
ヴォイニッチで、彼の名を取ってヴォイニッチ手稿と言われてるんですね。
発見場所はイタリアのモンドラゴーネ寺院で、現在は、
アメリカ・イェール大学の図書館が所蔵しています。

 



書かれた時期はいつなのか?2011年にアリゾナ大学で行われた
放射性炭素年代測定では、手稿に使用されている羊皮紙は、
1404年~1438年頃に作られたという結果でした。
ただ、これはあくまで羊皮紙が作られた年代で、書かれたのはもっと

後代である可能性もあります。そういう例は珍しくはありません。

また、羊皮紙は上質のものであり、財力のある人物でないと
買えなかったのではないかという指摘もあります。インクは多色が使われ、
現在も色鮮やかですが、おそらく鉱物性のものと思われ、
こちらの放射性炭素年代測定は難しいようです。

 

入浴による健康法が書かれているという説もあります



内容は、特殊な文字によって何かの詳細な説明らしき文章が多数並んでおり、
ページの上部や左右にはかなり緻密な植物や花を思わせる彩色画が描かれていて、
植物の絵が多いが、それ以外にも、銀河や星雲などの天体図に見える絵や、
精子のように見える絵、複雑な給水配管のような絵、
プールや浴槽に浸かった女性の絵などの不可解な挿絵が多数描かれています。

ただし、天体図は一見して、占星術のゾディアックのようでもありますが、
占星術師である自分が見るかぎり、正確でもなければ、意味があるとも思えません。
また、植物の図も、ほとんどが実在しない、架空のものではないか

という見解が、植物学者から出されています。



この文字については、言語学の統計的手法で解析した結果、
でたらめな文字列ではないだろうという結果が出ています。しかし、
手書きであることもあり、何文字が使われているかさえも諸説がある現状です。
いちお3つほどの考え方があります。
① 未知の言語である。 ② 暗号によって書かれている。 
③ 文字の配列に何らかの規則性はあるが、内容はデタラメである。


ヴォイニッチ手稿の文字


①の可能性は少ないと思われます。特殊な地域の言語、古代言語などで

あるとして、これだけが見つかるというケースはまずありえないと考えます。
②は、多くの暗号解読の専門家がヴォイニッチ手稿に挑んだものの、
手がかりすらつかめていないんですね。
その中には、第二次大戦中にドイツのエニグマ暗号を解読した天才、
アラン・チューリングも含まれます。

また、コンピュータによる解析も行われましたが、これもはかばかしい結果

ではありませんでした。上記の引用の研究も、自分から言わせれば、

かなり怪しいものです。ナショナル・ジオグラフィックの
記事のリンクを貼っておきますので、みなさんも判断してみてください。

ということで、自分は③じゃないかと考えています。

内容はデタラメであるものの、文字の配列には何らかの方法で

規則性を持たせた。現代の暗号学はたいへん進歩していて、

量子暗号などといったものまで登場しています。


ですから、15~16世紀に作られた暗号が解けないということはないと
思うんですね。解けないのは、それに意味が含まれていないせいだと考えます。
長くなってきたので、いったんここで切って、次ではその作者に迫ってみます。

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