ニオイの科学的研究が進んでいる。視覚や聴覚と並ぶ五感の一つながら、
あまり重視されていない嗅覚。だが近年、人間には驚くほど鋭敏な嗅覚が
存在することが明らかとなり、他の五感と同じように、
幻のニオイを感じている人が意外に多いことも分かってきた。

実際にはそこにあるはずがないニオイ、例えば、ゴムの焼けるニオイ
や生ゴミが腐ったようなニオイなどを感じたことはないだろうか。本当は
存在しない「幻臭」を、40歳以上のアメリカ人の6%が体験しているという。
今月16日付の科学メディア「Live Science」が報じている。(GIZMODO)


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今回は、科学ニュースからこの話題でいきます。どんなことが書けるでしょうか。
まず、幻覚や幻聴という言葉はときおり耳にしますよね。
ところが、幻臭というのはあまり聞きません。
じゃあ、幻臭ってほとんどないのかというと、そうでもないようだというのが、
このニュースのポイントみたいです。

アメリカの政府系の調査で、40歳以上の約7300人の回答を分析した結果、
そのうち6.5%が幻臭を感じていると推計され、その中で女性が3分の2を
占めていることがわかったそうです。さらに、歳をとるほど、
幻臭を訴える人は少なくなっていくということです。

また、幻臭を感じる人には、① 頭部にケガをしている ② 口の中が乾く
③ 経済的に苦しい といった傾向があるんだそうです。
うーん、なるほど、①②の意味はわかる気がします。
においというのは、揮発性の化学物質を鼻の中にある受容体がとらえ、
神経を介して脳に信号を送り、それが脳内で「におい」として認識されます。



ですから、その場にあるはずのないにおいを感じた場合、
鼻の中に不具合があるか、脳内に不具合があるかのどっちかでしょう。
①の頭にケガをしているというのは、脳の不具合。②の口の中が乾くは、
風邪などで、鼻の中が不具合を起こしていると考えることができそうです。

③の経済的に苦しい、というのはよくわからないですが、
経済的に苦しい人は、栄養状態が悪かったり、体調を崩してても
病院に行けなかったりすることが多いでしょうから、
それによって幻臭のリスクが高まっているのかもしれません。

あと、このアンケート、どのくらいの信頼度が高いのか、ちょっと疑問な点も
あります。本当に周囲に何のにおいもなかったのかどうか、わからないですよね。
もしかしたら、建物の陰でタバコを吸ってる人がいたり、
体臭の強い人が近くにいたのかもしれません。

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ところで、やや話がそれますが、「スメハラ(スメルハラスメント 
臭いを原因として、周囲に不快な思いをさせる行為)」とか「加齢臭」とか、   
最近、においに関する話題が多くなってきています。
毎日、朝シャンをするという人もいますし、今の日本は、
驚くほどにおいに敏感な社会になってきているんですよね。

海外に行った方はわかると思いますが、日本は世界の中でもにおいの
少ない国です。ある国など、空港に着いただけで、
その国独特のにおいが押しよせてくるところもあります。
これ、どうなんでしょう。清潔嗜好と言えば聞こえはいいですが、自分は、
日本人は、あまりに神経質になりすぎているんじゃないかという気もします。

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さて、においに関するオカルト的な話題はいろいろあります。
例えば、「何もないはずの場所で、ふっと線香のにおいを感じたときには、
近くに霊がいる」とか、「下級霊がいる場合は、獣臭いにおいがする」とか、
「生霊は生ゴミやドブのようなにおいがする」とか、
ネットを調べてみると、「霊臭」という言葉まであるようです。

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どうでしょう、みなさんはそういうの信じられますか?
自分はあんまり信じてないです。ですから、自分の書いた怖い話でも、
においが中心になってるものは、ほとんどないんですよね。
ただ、実際にあるにおいの場合はまた別です。

ある研究では、人間は1兆以上のにおいを嗅ぎ分けることができるとされます。
ウイスキーや香水のテイスターには、伝説的な逸話がいろいろありますよね。
ある高名なブレンダーは、ウイスキーにあるはずのない花のにおいを嗅ぎとり、
調べてみたら、醸造用の水をとっている川の上流に、
わずかにその花が咲いているのを見つけたとかなんとか。

ジョー・マローン ブランドの香水


また、有名な調香師で、10万分の1に希釈した水溶液中の化学物質を
特定できるといわれるジョー・マローンさんは、夫の体臭がいつもと違って
いることに気がつき、病院に行くことを勧めたところ、
はたして、命にかかわる病気が早期発見されたなんて話もあります。

これは訓練によるものなんですが、一般の人でも、
親しい人や家の中に、ふだんと違うかすかなにおいが
あるのに気づくことができるのかもしれません。ただ、それが

何かわからないので、不安な思いだけが頭の中に残ってしまう。
そういうことは、あっても不思議はない気がしますね。

ニュースで、体長1mmほどの線虫を用いて癌検診を行うというのが
ありました。この線虫には人間の100万倍以上の嗅覚があり、
尿一滴から、胃がんや大腸がんなど10種類のがんについて、
その有無を判別でき、検査の精度は9割以上にもなるそうです。
これが実用化されると、癌検診に革命が起きるかもしれません。


ただ・・・この話、数年おきに出てくるんですよね(笑)。

自分は線虫ががんを発見できるとは思っていません。すべての生物は

その種族の生存・繁栄のための行動をするものですが、

線虫ががん患者の尿を餌にしているわけでもなく、

がん患者の尿に有意に近づくという理由がわかりません。

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さてさて、最初の幻臭の話に戻って、上記の調査では、幻臭を感じても、
そのために病院に行ったという人は、全体の11%しかいなかったそうです。
これが幻覚なら、ほとんどの人は受診するでしょうが、においの場合は、
「ま、いいか」で済まされるケースが多いようです。ですが、もしかしたら
重大な病気にかかっている可能性も否定できません。やはり、
病院には行ったほうがいいと思いますね。では、今回はこのへんで。