今日は怖い話ではありません。「怪物の怪談」という題にしましたが、
これは心霊(幽霊系)ではない怪物が出てくる話ということです。実はずっと
前からUMA怪談を書きたいと思っていて、なかなか実現できませんでしたが、
最近「倉庫の怪」と「四方拝」の2つを続けて書きました。
UMAは未確認生物という意味なので、出てくるのは自然界に

実在する生物という設定です。どっちもありがちですよね。「倉庫の怪」のほうは
半透明の寒天状、ゼリー状、スライム状、外国ではブロブと言われる不定形で
可塑性の高い生き物ですし、「四方拝」に出てくるのは白い大蛇で、
怪談になっていれば幸いです。では、怪談(というかホラー)に出てくる怪物には
どんなものがあるでしょうか。

「三毛別羆事件」の現場
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① 実在で、存在が知られている動物
例えば熊とかです。熊がホラーになるかよ、と言われるむきもあるでしょう。
自分もそういう思いがあったんですが、吉村昭氏の『羆嵐』を読んで
考えを変えました。文学作品をホラーと言ってはいけないでしょうが、

ここに出てくる羆はあまりに圧倒的で怖ろしいです。後に事件が起きた
北海道の三毛別で、再現された羆の像を見学して、
その思いを新たにした次第です。昔のアメリカ映画によくあった、
巨大化した昆虫とかもこれかな。

有名なUMA画像 未知の生物か、既知の生物の奇形か、加工か
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② 実在だが知られていないという設定の動物
つまりUMAです。実在の生物であるので、あまり無理な属性にはできません。
(上のゼリー状生物はかなり無理なのですが・・・)とはいえ、
ゴリラ類の存在が新種として確認されたのは19世紀半ばのことですし、
情報網が発達した現代でも、絶対にないとは言えないでしょう。
やはり期待は海洋、特に深海だと思いますね。

ユニコーン けっこう怖い伝承があります
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③ 妖怪や伝説上の怪物
日本で言えば妖怪系のもの、西欧だとユニコーン、ドラゴンなどの
幻獣でしょうか。しかしこれ、②との境はけっこうあいまいです。
例えば、河童は妖怪としてもUMAとしても見ることができます。
生息地や生態についての情報があり、現代でも目撃者もいるわけですから。

アメリカ先住民の間で語られるウェンディゴ 冬の飢餓の象徴
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④ 精霊・妖精系の怪物
イギリスのホラー作家にして生涯、魔術師であった(黄金の夜明け団)
アルジャノン・ブラックウッドが書いた、『ウェンディゴ』に出てくる
怪物が典型ですね。これはカナダ・アメリカの一部の原住民に信じられた
という目に見えない精霊で、人にとり憑いて精神を狂わせます。

余談ですが、ブラックウッドはアメリカ原住民の情報をヨーロッパに伝え、
一種のブームを起こしましたが、その流れの中でシルバーバーチの
霊訓なども出てきました。日本のひだる神などとも、
「目に見えない、人にとり憑く」という点が似ています。

魔人ドラキュラ
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⑤ 魔人系
ドラキュラ伯爵、荒俣宏氏の『帝都物語』の加藤保憲 などです。
妖怪でも大入道とか人型のものはいますが、これは背の高い
僧形の化物をひっくるめての呼称で、それに対し魔人系は、

個人名がわかるもの、という考え方をここではとります。
むろん不死をはじめ、ただの人間にはない数々の特殊能力を持ちます。
ところでドラキュラの場合、ルーマニアの貴族制度に伯爵はなく、
ブラム・ストーカーの原作にも出てきません。

フランケンシュタインの怪物
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⑥ 人造人間系
伯爵が出てきたからには、もう一方の雄であるフランケンシュタインの怪物も
とりあげなくてはならないでしょう。ちなみに、

ホラーフアンの方ならご存知でしょうが、メアリー・シェリーの

原作では、「フランケンシュタイン」は怪物を造った大学生
(これも博士ではない)の名前で、「フランケンシュタイン(の造った)怪物」

という意味で使われます。人間の死体を元にして造られていますが、
泥が原材料のゴーレムなども、人造人間と言われることがあります。
日本の映画で出てきた大魔神も、埴輪だとすれば元は土ですが、
あれは岩を彫ったものか。ロボット系もここに入れておきますか。

大いなるクトゥルー
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⑦ クトゥルー神話の怪物
ダゴン、クトゥルー、ヨグ=ソトース・・・
日本の怪談にこれらを出すのはなかなか難しいです。

⑧ 宇宙人、宇宙生物
これはホラーではなくSFになってしまうおそれがあります。
『エイリアン』シリーズはSFホラーという便利な言われ方をされていますが、
これは、あの宇宙生物を知性を感じさせない設定にしたので、
ホラー色が強調されたのだと思います。女王も出てきましたし、

グレイ型宇宙人


アリなどの集団生活する昆虫を思わせる生態が、怪物度を増していました。
これが『プレデター』シリーズになると、あのモチーフは戦士種族、
地球で言えば首狩り族みたいなものなんでしょうが、地球人より
進んだ科学技術を持ち、小型ミサイルや光学シールドなどを使うので、
よりSFっぽい感じですね。

アッカドの風の神 パズズ
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⑨ 悪魔、邪神系
クトゥルー神話もそうなんですが、あまりに強力すぎると人間が
太刀打ちできません。『エクソシスト』の悪魔(パズズ 古代アッカドの神)は、
今思うと、神父2人で祓えたので、あんまり強くなかったですね。
あれくらいなら話として成立します。あと、実際の悪魔は出てこないのに

悪魔を感じさせる話・・・ウイリアム・ゴールディングの『蝿の王』などが
そうですが、悪臭を放つ蝿のたかった豚の頭が、蝿の王、聖書に出てくる
ベルゼブブのことです。超自然なことが一切起きないのに、あれほど
邪悪を感じさせる話もなかなかないです。
悪魔の属性は、純真と思われていた少年たちの中にあったわけです。

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⑩ 死人・ゾンビ系
これもねえ、アメリカは土葬がまだかなりの割合ですので、いいですが、
現代日本ではなかなか・・・ 何らかの原因で最初のゾンビが発生し、
それが次々と人を襲ってゾンビ化させていく、という展開はありえます。
(最近はそういう映画も多い)

⑪ 怪獣系
怪獣は怪獣映画で。自分はもちろん大好きですが。
ということで、まだあるんでしょうが、今夜はこれくらいで。

化物としか・・・