※ 2018年の記事です。

 



今回はこのお話でいきます。2019年までに全長18mの、

アニメの設定と同じガンダムを動かそうという計画があるんです。

それを羽田空港に設置して、日本を訪れる外国の人に日本の製造業者の
技術力をアピールするのが目的ということです。

 

2019年は、ガンダムが登場してから40周年になるんですが、
2020年東京オリンピックとも関連しているんだと思います。
安倍首相も、これについて「日本として支援する」とテレビで述べてましたね。


さて、ではこれ、はたしてできるもんでしょうか。
ロボット工学博士の古田貴之氏によれば、体を覆うアルミ合金が約88億円。
それらを加工、製作するのに約263億円。メインコンピューターが約2億円。
その他すべてひっくるめれば、800億円ほどかかるということです。

うーん、そうでしょうねえ。でもこれ、開発にかかる人件費も入れれば
もっとかかると思われます。はたして、1000億円近いお金をかけて、
対費用効果が得られるものなんでしょうか? ちなみに、戦車1台が約5億円、
最新鋭戦闘機の値段が200億円くらいです。

 



また、アニメの設定ではガンダムの重量は体重43、4トンですが、
実際につくるとなれば、その20倍の800トンを超えるのではないか
という試算もあります。この巨大な重量というのが、
ガンダムを動かす最大のネックになります。


ホンダが作った2足歩行ロボット「アシモ」は軽快に動けますし、
ある程度まで走ることもできますが、あれは重量が軽い(48kg)せいです。
動かすものの重さに比例して、重心の移動が難しくなっていくんです。

また、もしアニメの設定どおりに43トンで作れたとしても、
それが動いた場合、一歩踏み出して着地するたび、操縦席にいる人間には、
約80トンの衝撃がかかるそうです。これは、体を固定していたとしても
即死するレベルですので、人間は乗れないということになります。
まあでも、世界の兵器は無人化の方向に進んでいるので、
アニメフアンの方はつまらないでしょうが、それはそれでいいのかもしれません。

では、兵器としてのガンダムは役に立つのでしょうか。うーん、これは難しい。
まず、最大の欠点は大きいことです。全長18mというと、
6階建てのビルと同じくらいです。大きいということは、
それだけ敵の攻撃の的になりやすいので、
砲撃やミサイル攻撃で簡単にやられてしまいそうな気がします。
この他にも、兵器として見た場合、いろいろな弱点があるんですね。

 



ということで、アニメと同じ機能を持つガンダムを作るのは無理です。
ここでは、「2足歩行する」だけにしぼって考えてみましょう。
それ以外のことはすべて無視して、ただ歩ければいい。
これだったら、できそうな気もしなくもないです。

さて、日本の自走ロボットを検索してみると、
まず出てきたのが榊原機械の「LAND WALKER」 
youtubeに動画がありますので、興味ある方はご覧になってみてください。
全長3.4mだからけっこう大きいです。重量は1トン、重くはないですね。
動く仕組みは、両足に車輪をつけ、すり足で交互に動かして前に進みます。
重心移動がほとんどないので、これより大きくなっても作れそうな気がしますが、
2足歩行と言えるかどうかは疑問です。

榊原機械 「LAND WALKER」 


次に出てきたのが、水道橋重工の「クラタス」で重量6.5トン。人も乗れます。
日米ロボット対決で話題になりました。これも動画が出ています。
下の画像だと2足に見えますが、実は4足で車輪で走行します。
多少の段差なら登れますし、かなりの高速移動もできます。
ですが、重機に頭と腕をつけたようなもので、とても歩行するとは言えません。

水道橋重工 「クラタス」


あと、世界の自走ロボットも検索してみたんですが、ある程度以上の大きさでは、
車輪やキャタピラで走行するものばかりで、足を上げ、地面を踏んで
移動するものは見あたりません。やはり、歩行というのは、
それだけ技術的にも、費用的にも難しいんだと思います。
じゃあやっぱり、歩行するガンダムって無理なんでしょうか。

これ、自分には一つアイデアがあります。ただし反則ですが(笑)。
アメリカの軍用機、オスプレイはみなさんご存知でしょう。墜落しやすいとか、
いろいろ批判が出ていますよね。操縦が難しいのは、ローターを上につけることで、
ヘリコプターのように垂直離発着できるようにしたからです。理論上は、
ヘリと飛行機の利点を合わせ持っていることになります。

このオスプレイの全長は17.5mです。おお、縦と横の違いはありますが、
ガンダムの全長とほぼ同じです。垂直離陸時の重量は24トンとなっています。
オスプレイのローターは2つありますが、1つでも、10トンくらいのものは
浮かせることができそうですね。現在、お台場にあるガンダム像は
約50トンだそうですが、重量があるのは安定して立たせるためです。

 

ガンダムを歩かせるには反作用がネック、地面を踏むことで

巨大な力が体にかかり人間はまず乗れない。

重くなると各部分も強固にしなければならないので、

ますます重くなるイタチごっこ。



で、そのローターをガンダムの頭につけます。ただし、空高く飛ばす

必要はありません。地上ギリギリに浮かせればいいんです。

立たせる必要がないので、なんとかガンダムの外面だけを、

 

カーボンなどの軽い素材で10トン以内でこしらえる。あとは、

「歩いているふり」をさせる。モーター駆動で足だけを

上下させます。地面を踏まなければ、大きな反作用は

ないですよね。各部の強度計算も必要ありません。

 

米軍機 オスプレイ


さてさて、ということで、自分が出した結論は、地上ギリギリの高さで

空中に浮き、形だけ両足を動かして歩いているふりをするガンダム。

羽田空港は平坦地ですので、段差を越える必要もないですし、

現実的にできそうな気がします。危険なので人は乗せないで、

リモコン操縦。ただ、これでも費用は百億以上かかるでしょうねえ。

あと、もう一つ問題になるのが燃料補給です。このガンダムは一度

浮いてしまうと、自分では立てないので、地上に下ろすことができません。
(最初だけは、ロケット発射台のようなのに立たせる)
また、燃料を胴体に蓄えると重くなってしまうので、常時ホースとかで
給油を続けなくてはなりません。どんだけ燃料費がかかるんでしょう(笑)。
ということで、今回はこのへんで。