今回はこういうお題でいきます。現在、台風21号が日本列島を通過中ですが、
大きな被害がないように祈りたいと思います。さて、台風についてですが、
どのくらいのことが書けるか、ちょっと自信がないですね。
まず、台風とは何か? Wikiを見ると「北西太平洋に存在する熱帯低気圧のうち、
低気圧域内の最大風速が約17m/s以上にまで発達したものを指す。」

うーむ、その異常気象が台風かどうかは、最大風速で決まるんですね。
これはちょっと意外です。自分は中心気圧かなと思ってました。
台風はもちろん古代からあり、日本各地に大きな被害をもたらして
怖れられてきました。ただ、昔の地震についてはいろんな文献に

残ってるんですが、台風について書かれた資料って少ないんですよね。

日本神話としては、スサノオ神は台風の擬人化なのではないかとする説があります。
スサノオは、三貴神(黄泉の国から帰ってきたイザナギが禊をしたときに
生まれ落ちた三柱の神々。アマテラス、ツクヨミ、スサノオ)
の最後に生まれた神です。アマテラスが太陽、ツクヨミが月ですので、
スサノオも何かの自然物を表しているのではないかとする説は、当然出てきます。

スサノオ
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で、一般的には、スサノオは海を司る神と考えられてきましたが、
台風の擬人化ではないかとする説も昔からあるんですね。
スサノオの「スサ」は「荒れすさぶ」から来ていて、
その激しい行動は暴風雨を表しているとするものです。

確かに、スサノオは高天原で乱暴を働きますが、その内容は、
田の畦を壊し、溝を埋めたりするものです。さらに、屋根を壊して

皮を剥いだ馬を機屋の中に投げ込んだりします。このあたりの描写が、
水田に被害をもたらす台風と重なるとも言えそうです。

 



ちなみに、農家のお年寄りが台風の日に、田んぼの様子を見にいって、
風に飛ばされたり、水に落ちて亡くなるというニュースをよく聞きます。
また、漁師が自分の船を港に見に行ったりとか。心配なのはわかりますが、
命あっての物種ですので、外出は避けたほうがいいと思いますね。

さて、みなさん、神功皇后はご存知でしょう。この人物についても、
台風の人格化なのではないかという説があります。「神功」というのは
後代につけられた諡(おくりな)で、本名は、『日本書紀』では、
「気長足姫尊(おきなが たらしひめのみこと)」です。

神功皇后
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この「気長(おきなが)」の部分が、強い風を表しているという説があります。
神功皇后は、三韓征伐をしたことで有名ですが、神功皇后の乗った船は
ものすごい勢いで進み、新羅の国の半分が水に飲まれてしまい、
新羅の王は、戦わずして降参したという話になっています。

このあたりの描写が、台風を表していると言えなくはなさそうです。
ただ、「気長(おきなが)」は「息が長い」という意味で、海に長時間
潜っていられる海女を指しているとする説や、ふいごを吹くことを

指していて、製鉄に関係があるとする説もあります。

元寇の神風
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さて、日本史上で最も有名な台風といえば、元寇の際の「神風」

ではないでしょうか。鎌倉時代、モンゴルと高麗、宋の連合軍が日本に

攻め寄せてきた事件ですが、このとき、神風が吹いて

蒙古の船団を海に沈めたとされます。蒙古軍は

日本に2回来ていますが、2回目の「弘安の役」のときに、
台風と遭遇したのは間違いないことのようです。

この国難にあたって、各寺院、神社は、蒙古退散のための祈祷を行いました。
ときの亀山上皇は、自ら伊勢神宮と熊野三山で祈願するなど、
敵国調伏のための活動を積極的に行っています。
ただ、台風が日本軍の勝因というより、1ヶ月以上も蒙古軍を
日本に上陸させなかった鎌倉武士の奮戦を褒めるべきでしょう。

この史実が元になって、「日本は神に護られた国であり、

危機のときには神風が吹く」「神国日本」という伝説が

生まれました。これは、太平洋戦争まで続き、
国威発揚に利用されて、「神風特攻隊」を生むことになったんですね。
歴史のつながりの不思議さを感じさせる話だと思います。

筥崎宮の亀山上皇像
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さて、大きな被害が出た台風はいくつもあります。近代に日本を襲った台風で
最大のものは、1828年9月の「シーボルト台風 (これによりシーボルトの
日本地図持ち出しが発覚した)」ではないかと考える人が多いようです。
中心気圧は935hPa、最大風速は55m/s程度と推定され、
高潮により、佐賀藩だけで1万人以上の死者を出しています。
ただ、上に書いたように、昔の台風についてはよくわかってないんです。

あと、日本最大の海難事故「洞爺丸沈没事故」も、台風の影響によるものでした。
1954年、青函連絡船洞爺丸が、海上でその年の第15号台風
(洞爺丸台風 国際名マリー)に遭遇し、転覆沈没。
死者・行方不明者あわせて1155人という大惨事になりました。

沈みゆく洞爺丸
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このような大きな事故には幽霊話がつきものですが、目的地の青森駅では、
職員が宿直室で寝ていると、ドンドンと窓ガラスを叩く音がし、
水に濡れた多数の手が見えたとか、また、この後に建造された連絡船の
スクリューに、原因不明のひっかき傷がついていることがあり、
洞爺丸事故で海中に沈んだ犠牲者によるのではないか、などの話が残っています。

さてさて、日本は災害の多い国です。古代からくり返し襲ってきた地震や台風が、
日本という国柄や、日本人の心性を培ってきたのは間違いないでしょう。
自分が住んでいる近畿地方では、大規模な停電も起きているようです。
みなさんも十分お気をつけください。では、今回はこのへんで。

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