今回はこういうお題でいきます。オカルトフアンの方なら、
「預言」「予言」「予測」の違いはおわかりでしょう。「預言」は、

神の霊感を受け、神託、つまり神の言葉そのものを述べることです。

預言者 イザヤ
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また、「予言」は、普通なら見通せない未来の出来事・ありさまを言うこと。
「予測」は、一般的には、何らかの根拠をもとに将来を推し量ることです。
さらに日本語には「予知」という語もありますが、
これは予言と意味が似ていると思います。経験則や情報による
確定的な予測と異なり、超能力などの神秘的な力で未来を見通すことですね。

さて、西洋では「ノストラダムスの大予言」が有名ですが、
日本には、未来を予言した書ってあるんでしょうか。これについては、
聖徳太子が記したとされる、『未来記』という本の内容が「ムー」などの
オカルト雑誌で取り上げられることが多いですね。

聖徳太子が書き、大阪市天王寺区の「四天王寺」に収められたとされます。
その内容は、さまざまに言われていますが、「2021年に聖徳太子が復活する」
「2068年、人類が滅亡する」などと記されているという説があります。
そして、四天王寺では、この書を門外不出にして誰にも見せないとも。
あれ、変ですね。誰も見ていないのになんで内容がわかるのか?

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『未来記』の名前が日本史上に現れるのは、室町時代に編纂された軍記物語

『太平記』においてです。楠木正成が天王寺合戦で鎌倉幕府軍を破った後、
四天王寺の「未来記」を閲覧しました。そこには、「後醍醐天皇は、
いったん敗れて流罪となるが、やがて幕府が倒れて天皇による統一が実現し、
その政権も三年で尊氏に倒される」という未来が予見されていたそうです。

じゃあこれ、史実なんでしょうか。まず考えられませんよね。『太平記』は、
同じ軍記物の『平家物語』と比較すると、荒唐無稽、怪力乱神が語られる場面が
多いという評価があります。さらに『太平記』には、その主人公の一人である
楠木正成が、朝廷への忠義を立てて、負けるとわかっている戦いへ
突き進んでいくという大きなストーリーの流れがあります。

おそらく、この一節も、その流れの上に立って書かれたものと考えられます。
正成は足利尊氏に負けるのを承知で天皇の命を受け、湊川で散ることになります。
さらに、四天王寺の所蔵する文化財は、重要文化財、大阪府指定の文化財として
ほとんど網羅されており、また寺院側でも、そのような書物の存在を

否定しています。ですから、この話には実体がないんですね。



さて、次に予言書として知られるのは、『をのこ草子』です。みなさん、
ご存知だったでしょうか。TV番組「たけしの禁断の超常現象(秘)

Xファイル」で取り上げられて有名になりました。

江戸時代、将軍、徳川吉宗が享保の改革を行っているころ

(1730ころ)に書かれ、世間に流布したとされます。

内容は、「今から5代も時が過ぎると、世の中の様子も変わり果て、

キリスト教圏の思想が日本に流入し、空を飛ぶ人もでてくる。

地に潜る人もでてくる。風雨を動かし雷電を利用する者もいる。

死んだ人を生き返らせる手術も成功する・・・」などなど。

うーん、一部あたっている部分もあります。

『をのこ草子』
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ただこの本、現存していないんです。また、江戸の当時に、この本の書名や
内容にふれた資料も見つかりません。じゃあ、どこで出てきたかというと、
この写しが「神道天行居」という復古神道的な新興宗教の教祖である、
友清歓真が書いた宗教書、『神道古義地之巻』に

一部引用されているだけなんです。

これは誰でも怪しいと思うでしょう。

実際には『をのこ草子』などというものはなく、新興宗教の教祖が、

あたかも古書から引用したように見せかけて、自分の考えを

述べたものであるとみて問題ないと思います。『神道古義地之巻』が

書かれたのが1905年、第一次世界大戦の10年前です。
ですから、その時代から見た未来予知ということでしょう。

東郷元帥の死を報じる明治の「報知新聞」号外
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さて、では、日本に未来予言はなかったのか? 確実なところは、
1901年(明治34年)、新世紀を記念して「報知新聞」に載ったものです。
ただし、「予言」ではなく「予測」です。全部で20項目あり、

スペースの都合、全部は無理ですが、その一部をご紹介しましょう。


① 無線電話で海外の友人と話ができる。② 野獣が滅亡する
③ 機械で温度を調節した空気を送り出す ④ 電気の力で野菜が成長する。
⑤ 写真電話で買い物ができる ⑥ 人の身長が180cm以上になる
⑦ 葉巻型の列車が、東京ー神戸間を2時間半で走る。
⑧ 台風を1か月前に予測して、大砲で破壊できる


東海道新幹線
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①は国際電話、③はエアコン、④は温室栽培、⑤はアマゾンなんかの

ネット通販、⑦ これはすごいですね。新幹線じゃないですか。

時間もほぼぴったり。②は外れですが、明治のころは、

野獣は人に害を与える悪いものとされていました。


ですが、現在では野生動物保護、生態系保全という考えが浸透しています。
⑥も外れ、明治時代は日本人の平均身長は男性で160cm以下でしたが、
それからはだいぶ伸びたものの、180cmを超えることはなさそうです。

さてさて、ここで特筆したいのは⑧です。台風を予測し、人為的に破壊する。
つい先日、自分が住む大阪は大型台風により甚大な被害を受けましたが、
人類が、地震や台風などの自然災害を制御するには、

まだまだ時間がかかりそうです。では、今回はこのへんで。