洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)は京都の市街(洛中)と郊外(洛外)の

風景や風俗を描いた屏風絵で、2点が国宝、5点が重要文化財に指定されています。

文化史、風俗史、建築史、社会史、服飾史などの観点から価値が高いです。

16世紀の戦国時代から江戸時代にかけて制作された一群のものを指します。

 

その中でも特に有名なのが上杉本で、作者は狩野永徳。米沢藩上杉家に伝わります。

戦国大名 織田信長は、そのころ越後の龍と怖れられた上杉謙信に取り入るために

1574年に信長から謙信に贈られました。

 

しかし、研究によれば、この屏風はそのために作られたものではないようです。

作成は信長が謙信に贈った9年前。なぜわかったかというと、

描かれていた京都の町並みが、信長が上洛するより一昔前のものだったからです。

 

狩野永徳にこれを注文したのは、おそらく室町幕府13代将軍の足利義輝。

京都御所と足利邸が同じくらいの大きさで描かれています。

しかし、義輝は絵の完成の直前に襲撃されて亡くなってしまいます。それを

信長が買い取ったと推測されます。では、絵を多くしますので見てみましょう。

 

すべてクリックで拡大できます。

 

これは遊行僧である「鉦叩き」 武士の他に仏教者も多いですね。

 

獅子舞 子どもたちは裸足で大人は草履を履いているようです。

 

のれんが鮮やかに染められています。武士は羽織を着ているようです。

 

屋根は板葺で様々な職業の人がいます。作者によってかなり筆致が違います。

 

綱引きをする子どもたち。子どもの着物もカラフルに染色されています。

 

荷物は頭に乗せたり、天秤棒で振り分けたり。

 

様々な商家、手前は薪屋でしょうか?

  

餅つきをやっています。飼い犬がいるようです。

 

武士の家僕のような人が見えます。足軽でしょうか。

高貴な女性は傘をさしています。  

すべての画像はクリックで拡大できます。

 

こうして見ると、電気や水道がないだけで、かなり豊かな暮らしをしている

ことがわかります。様々な職業があります。これは京都の様子ですが、

この後、江戸は世界有数の大都市になります。では、このへんで。