これは12世紀、たぶん平安末から鎌倉初期に作られた紙本墨絵の
絵巻物で甲・乙・丙・丁の4巻からなります。特に甲巻は有名で
擬人化されたカエルやウサギなどの動物が描かれており、
その表情も豊かで、見る者の笑いを誘います。

現代の漫画の元祖と言われることもあります。


また乙巻は、身近な動物の他、豹・虎・象・獅子・麒麟・竜・獏
といった海外の動物や架空の動物も含め、さまざまな動物の生態が
描かれています。

丙巻の前半は人間が主役で、囲碁や賭双六、耳引き(輪にした紐を
耳にかけて引き合う遊び)などに興ずる当時の人々の姿が
描かれます。後半は動物、丁巻は人々による遊戯の他、法要や宮中行事も
描かれていますが、筆致は他の巻とは明らかに違います。

作者は、かつては絵画に精通した平安時代の高僧、鳥羽僧正覚猷(かくゆう)
が描いたと言われてましたが、現在は複数の作者が描いたという説が
有力視され「作者不明」となっています。あと、このようにユーモアを
中心に描かれた絵柄は中国には見られないものです。
今回もできるだけ画像を多くしたいと思います。

 

カエルとウサギが相撲をとっています。この頃は食用ガエルはいなかったので、

カエルは大きく描かれています。またカエルの足はウサギに二重にかかり、

河津掛けをやっているようです。

 

弓を射るカエルとウサギ

 

ウサギとキツネ ハスの葉は弓の的でしょうか。

 

相撲で投げられて笑っているウサギ。 有名な画像。

 

何かをかぶって踊っている子ども。小人症の人でしょうか?

 

これは豹のようです。実物を見たことはないと思うので、

中国の画像がもとになったか?

 

キリン 想像上の生物ですが、これも中国から絵姿が伝わっていた?

これは獅子でしょうか? それとも狛犬?

 

これも日本にはいないゾウ。

 

紐を引っ張り合って遊ぶ人。賭け事かもしれません。

庶民は沓をはいてないようです。

 

 服を着てるのはサルのようです。

 

人間の相撲と馬上で見物する武士 これも賭け事でしょうか。

画像はすべてクリックで拡大できます。 

 

これくらいにしておきましょう。擬人化、大きさを変える、想像上の動物、

日本にはいない、おそらく中国の画像をもとに描いた動物、

確かなデッサンの人物、「鳥獣人物戯画」が現在の漫画のもとになった

ことがよくわかります。これらと同時に、装飾的な屏風絵などの技法も

発達し、日本の美術は世界的な評価を受けているんですね。

では、このへんで。