今回はこういうお題でいきます。自分は刀剣ファンで、
当ブログでは、刀剣についてのミニシリーズがあります。
この記事もそのうちの一つです。

さて、日本の戦国の三傑というと、一般的には織田信長、 豊臣秀吉、
徳川家康 
のことを指しますよね。この中で、みなさんは誰がお好き

でしょうか?アンケートを取れば、結果はけっこうバラけるみたいですね。
それは、3人それぞれに人間としての特徴が異なっているからです。
ちなみに自分は、家康が一番好きです。

織田信長
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では、3人それぞれ、刀剣についてのどんなエピソードがあるのか、
みていきたいと思います。まず織田信長ですが、この中では最も怖い人ですね。
癇性という言葉がぴったりで、それまで穏やかだったのが、
ちょっとしたことで瞬間湯沸かし器のように怒る。
これだと、そばに仕えている人間は気が気じゃなかったと思います。

ポルトガルの宣教師、ルイス・フロイスが書いた『日本史』には、
彼が信長と謁見したときのエピソードが出てきますが、中にこんな記述があります。
「信長は築城を指図していたが、建築を見物しようと望む者は、男も女もすべて、
草履をぬぐこともなく彼の前を通ることが許された。

そのとき、一人の兵士が見物人の中の女の顔を見ようとして、
かぶっていた笠を少し上げた。それに気がついた信長は激怒し、
たちまち走り寄って、その兵士の首を手ずから刎ねた」・・・怖いですよね。
こんな人が主人だとしたら、家来は大変です。

国宝 「圧切長谷部」


さて、信長の佩刀と言えば、最も有名なのが「圧切(へしきり)長谷部」。
正宗の弟子の一人、長谷部国重の作刀です。こんな話が残っています。
あるとき、信長の召し抱えていた観内という茶坊主が無礼を働きました。
お茶を信長の膝にこぼしたとかなんでしょうか、そのあたりはわかりません。

信長は怒って刀を抜き、観内を手打ちにしようとしましたが、
観内は城内を逃げまわり、座敷の棚の下に隠れました。信長は長谷部を

棚に押しつけ、少しずつ力を加えていって、棚ごと茶坊主を切断した・・・
それで「圧切」という名がついたんですね。この話、本当かどうか確証は

ありませんが、上記のフロイスの記述を見れば、

あっても不思議はないように思います。

この圧切長谷部は、後に黒田官兵衛に与えられ、現在は博多市博物館にあります。
次に、豊臣秀吉についてみてみましょう。秀吉といえば、
低い身分から信長に取り立てられて出世したためか、たいへんな派手好きで、
黄金の茶室をつくった話は有名ですね。

豊臣秀吉
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で、秀吉が天下人になってから、各地にある名刀をことごとく召し出しました。
秀吉の所有していた刀・脇差のリストには、350本もの名刀が記録されています。
ただこれ、たんなる物欲だけで集めたわけでもないんですね。
秀吉は、刀の他に鎧や馬具、茶道具なども多数集めていましたが、
これらは、何かの褒美として家来に下げ渡す役割もあったんです。

天下が平定されてしまうと、配下に与えるための土地がなくなってしまいます。
そこで、名物(有名なエピソードを持った武具や茶道具)は、
一国と同様の価値があるとされたんです。また、少し意味合いは違いますが、
秀吉が朝鮮出兵を行ったのも、配下に与える土地を求めてのこととも言われます。

秀吉のもとに集められた刀は、すべて本阿弥光徳によって鑑定され、
本物かどうか、また、本物ならどれくらいの価値があるかを記した「折紙」が
つけられました。今でいう鑑定書です。偽物は廃棄され、刀剣史的には、
これによって日本刀の質がたいへんに向上したとされます。

「郷義弘」


秀吉自身が好んだのは、「相州五郎正宗」 「粟田口藤四郎吉光」 「郷義弘」
とされ、これらを「天下三作」と言うようになりました。
さて、最後は徳川家康です。家康といえば、「鳴くまで待とうホトトギス」
の慎重派と考えられることが多いですが、実際は武を好んでいました。

徳川家康
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柳生宗矩、小野忠明などの剣豪を指南役として召し抱え、自分でもかなり
剣術の稽古をしていたようです。その家康が秘蔵していたのが、
三池典太光世作の「ソハヤノツルギ」という刀です。謎に満ちていて、
詳細が不明なんですが、刀の茎に「ウツスナリ」と刻まれていました。

もともとソハヤノツルギは、日本初の征夷大将軍となった平安時代の武官、
坂上田村麻呂の持っていた刀で、「ウツスナリ」とは、
三池典太光世がそれを模倣して作った刀という意味なんだと思われます。
考えてみれば、田村麻呂と家康には、征夷大将軍になったこと、
死後に神として祀られたことなど、いろいろ共通点があるんですよね。

さてさて、ということで、戦国の3武将、刀に対する好みにも性格の違いが
表れていて、自分なんかには興味がつきないところです。
刀剣の話は、まだ取り上げていない西洋の剣もありますし、
今後も続けていきたいと思います。では、今回はこのへんで。

「ソハヤノツルギ」レプリカ