太陽の表面温度が約6000度もの高温であることは現代物理学の常識とされる。
しかし、当然ながら過去に太陽まで出向いて表面温度を直接計測した人間など
いるはずもなく、これはあくまでも計算のうえで導き出される値ということになる。

そして、この誰も疑うことのない常識に真っ向から対峙し、
驚くべき結論を導き出した研究者がいる。電気工学博士であり東京工業大学を
はじめとする数々の有名大学で教壇に立った関英男その人である。
関博士は、なんと「太陽の表面温度は26度程度の常温で、
黒点には植物さえ生えている」という太陽常温説を提唱したのだ!(tocana)


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今回はこのお題でいきます。上記の引用は、2018年9月25日、
tocanaというオカルトサイトに載ったのを、Rakuten newsが転載しています。
太陽の表面温度が摂氏26度ほどとする「太陽常温説」は、
今から20数年前に主張されて話題になったものです。

これをなぜ、今頃になってtocanaが取り上げたのか?自分はまずそれが
疑問ですね。おそらく何かが、オカルトの闇の底でうごめいている
のだと思います。さて、太陽常温説ですが、最初に主張したのは
日本人ではなく、かの「アダムスキー型円盤」で有名な、アメリカ人
UFO研究家、宗教指導者、コンタクティでもあるジョージ・アダムスキーです。

アダムスキー型円盤
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アダムスキーが亡くなったのは1965年ですから、だいぶ古い話に
なります。彼が1953年に発表した『空飛ぶ円盤実見記』では、
金星人に連れられて円盤に同乗し、さまざまな惑星を回った体験が
書かれていますが、その中で「水星人に出会った」という記述があります。

しかし、水星は太陽系の惑星の中で最も太陽に近く、
「熱くて生物は住めないのではないか」という反論が出てきました。
そこで、アダムスキーが再反論したのが「太陽常温説」だったんですが、
でもこれ、苦しまぎれの感が強いですよね。

さて、引用に出てきた関英男博士は、1905年に生まれ2001年に
96歳で亡くなっています。たいへんな長寿の方だったんですね。
で、70歳を過ぎたあたりから、「日本サイ科学学会」に関わるようになり、
さまざまなトンデモ説を主張し始めました。   

動く禅「腕振り体操」を指導する 故 関英男博士
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例えば、「エイズは心の歪みで起きる」 「陽子が歪むと癌になり、
中性子が歪むとエイズになる」などなど。その方面の著書も
多数あります。その珍学説のうちの一つが「太陽常温説」です。
関博士は、若い頃の電波受信に対する研究で、勲三等瑞宝章を
受章していますが、この頃からボケ始めたんでしょうか。

関博士の学説では、太陽は熱を発しておらず、T線(天波)という
放射線を発しているだけであり、このT線が地球の大気に触れて初めて、
光線と熱に変換されるということになっています。また、関博士は、
人間などの知的生命体が発する物を「念波」、宇宙を創造した
高次の生命体が発するものを「天波」とも言っています。

まあたしかに、太陽常温説は直感的には理解しやすいかもしれません。
大気中では上空にいくほど温度が下がります。
また、宇宙空間は-270度程度です。しかし、長くなってしまうので、
ここで物理的な詳しい説明はしませんが、これは、
輻射ということをまったく計算に入れていない考え方です。

さて、tocanaからの引用を続けましょう。
なんと、成蹊大学で素粒子の理論物理学を専攻し、NASAの関連研究機関に
属していた川又審一郎(本名:川又信一)氏も太陽常温説を支持し、
「太陽に氷が存在する」とまで主張している。

川又氏は1977年から8年にわたりNASAに留学し、帰国後の講演会にて
「本来の太陽は26~27度の常温で、水星は0度以下の氷の惑星である」
と発表した。そして実際、2012年には灼熱の太陽光線にさらされている
はずの水星に大量の氷があることが確認されている。


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まず、ここで名前が出てくる川又氏ですが、科学者ではなく健康食品会社の
代表です。以前は、東大理工学部卒とプロフィールに書かれていましたが、
成蹊大学卒と経歴詐称がバレてしまいました。NASA留学の実績もありません。
この人なんかは、オカルト界の闇を代表するような人物ですね。

もともとは「加江田塾」という新興宗教団体で顧問のようなことをしていました。
加江田塾は、代表の東純一郎が、自らを創造主「タオ」の代理人であるとして、
1995年に宮崎県に設立したものです。2000年に「加江田塾子ども

ミイラ事件」を起こしており、記憶されている方もいると思います。    

「加江田塾子どもミイラ事件」についての朝日新聞のコラム クリックで拡大できます
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加江田塾内において、6歳男児と超未熟男児の2体のミイラ化した
遺体が発見され、検視ではどちらも病死でした。
代表の東と塾幹部の女が逮捕され、「復活させるためにお清めを
続けていた」と主張しましたが、両被告ともに、死体遺棄罪、
保護責任者遺棄致死罪で、懲役7年の判決がくだされています。

さらに川又氏は、1999年に1億8000万円あまりの脱税容疑で
在宅起訴されています。学歴詐称がばれ、脱税が発覚したためか、
このころに本名から、川又審一郎と名前を変えていますね。
ちなみに彼が代表を務める健康食品会社は現在もあり、こちらも
何度か名称を変更し、現在は「バイオセル株式会社」のようです。

川又審一郎氏の著作
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さらにtocanaから引用します。
医師で心霊研究家の塩谷信男(1902~2008)も著書『健康・長寿と安楽詩』
(東明社)にて太陽常温説の支持を表明している。さらに驚くべきは、
米国の権威ある科学雑誌「Science」までもが1995年と1997年に。
「太陽に氷が存在する」可能性を指摘する論文を掲載しており、
科学界を騒然とさせているのだ。


ここで名前が出てくる塩屋氏も、関博士の同類で、トンデモ著書多数の人物です。
あと、科学誌「Science」の2つの論文では、太陽に氷が存在する可能性は
指摘されていません。論文内の言葉をわざと曲解しているだけです。
この両論文ともネットで参照できるはずです。

さらに、オカルト・スピリチュアル界の重鎮である船井幸雄氏も、著書の中で
太陽常温説にふれています。さて、みなさんはどう思われますでしょうか。
関博士の天波説から、さまざまな「波動」効果のある商品が開発され、
バカ高い値段で売られています。太陽常温説は、金になるオカルトなんです。
一般に、製薬会社が新薬を開発するには3000億円かかると言われますが、
健康サプリなんて、ボロ儲け商売ですよ。

 

船井幸雄氏



一つのトンデモネタに、怪しげなオカルト界の人物が群がって、
利益を生み出そうとしている構図
。これはオカルト界の闇の部分ですね。
ただ、上でも書いたように、自分が解せないのは、こんな古いネタをなぜ、
今さらtocanaが取り上げたのか?ということです。
何かこれから動きがあるのか??

さてさて、オカルトがうさんくさいとか、反社会的であるとか世間から
言われるのは、こういう人たちの活動の賜物なんです。お金儲けの手段としての
オカルトを見分ける目を持つことは大切です。ところで、当ブログのこの記事、
削除要請とか来るんでしょうかねえ(笑)。では、今回はこのへんで。