みなさん長い話をなさっていますが、私のは短いです。
私は看護学生で、安いアパートで一人暮らしを始めたばかりだったんです。
その日は12時前にベッドに入ったんですが、なかなか寝つけませんでした。
それでもやっとうとうとし始めると、「ハーイ、大きく口を開けて」という声が
聞こえました。それを耳にしたとたん、歯医者のイスに寝ている気になりました。
たまたまそのとき治療中だったせいかもしれません。言われたとおりに

口を開けると、ムッとする臭いとともに息ができなくなりました。
「モガ、モボゴ、ガホッ、ガゲゲエ」こんな音を出しながら、
ばね仕掛けのように半身起き上がり、ベッドの横に身を乗り出して吐きました。
口の中にちかちか突き刺さるものをやっと吐き終えましたが、
体の中から嫌な臭いがこみ上げてきて、それがさらに吐き気の呼び水になって、


長い長い時間吐いていました。どうにか吐き気がおさまり、息を切らし、

涙を流し、口の端から汁を垂らしながら電気をつけました。自分の吐いたものを

見て愕然としました。全体的に緑のどろっとしたものは茶の葉でした。
それと夕食に食べたサンマの頭や骨・・・いえ、夕食に茶殻や魚の頭を
食べるはずはありません。思いあたることがあったので、
流しの生ゴミの小さいバケツを開けてみました。中は空になっていました。
自分が寝ぼけて生ゴミを食べたんだろうか・・・まさかそんな、ありえない。
でも、合理的な解釈はそれしかありませんでした。
とても気分が悪かったので、うがいをし歯を磨きました。
まだ胸の中がムカムカしていましたが、時計は午前2時を回っていて
もう寝なくてはなりません。次の日、大事な実習があったんです。


タオルケットを口の上まで引き寄せて寝ようとしたとき、耳元で、
「次は洗剤だよ」という声が聞こえました。女の人だと思いました。私は
跳ね起きて、財布と携帯だけを持ちパジャマのまま自分の部屋から逃げ出しました。
かたっぱしから友達に電話をかけ、たまたま起きていた一人のところに
転がり込みました。起きたことを話しましたがまったく信じてはくれませんでした。
それからアパートには帰ってないし、学校も休んでしまいました。
これからどうすればいいんでしょうか・・・