今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。
まずは、異郷訪問譚について。これは日本神話から
きているものです。日本神話の地理的な構造はみなさん
ご存知かと思いますが、いちおう説明していきます。

日本の神話世界は大きく3+1に分かれています。
まずは神々の住む世界である高天原。そして地上であり
人間が住む葦原中国、そして死者がいる根の国です。
+1とは、海の世界である綿津見(わたつみ)の国。

イザナギとイザナミ
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異郷訪問譚は、基本的には葦原中国から他の世界を訪れる
ことです。よく知られているのは、イザナギが亡くなった
妻のイザナミを追って根の国(黄泉の国)を訪ねる話ですね。
しかし、生者と死者の隔たりは大きく、イザナミは
黄泉の国の食物を口にしてしまった(黄泉戸喫)ため、

生き返ることはかないませんでした。ただ、この話は
異郷訪問譚の中ではやや異質です。異郷訪問譚では、
訪問した神はそこで妻を得て子どもをもうけたり、
新しい能力を身につけたりしてるんですね。

例えば大国主命の根の国訪問、火遠理命(山幸彦)の
綿津見宮訪問などですね。また、イザナギ・イザナミの話でも、
黄泉の国の穢れを落とすために禊をしたときに、
天照大神、月読命、須佐之男命の三貴子が産まれています。

山幸彦
キャプチャzcxc

さて、では「きさらぎ駅」の話に移ります。2004年1月、
ネット掲示板の2ちゃんねる(現5ちゃんねる)に
「はすみ」という女性らしい人物から、体験が
現在進行形のライブで報告されたものです。

はすみは新浜松駅から遠州鉄道に乗車したんですが、なぜか
いつまでも駅につかず、やっと到着したのは「きさらぎ駅」
という見知らぬ無人駅だった。その直前に「伊佐貫」という
実在しないトンネルを通っています。

はすみは、そのきさらぎ駅で降りましたが、周囲は草原で
建物はなく、その後、次々に不思議な出来事が起こり、
携帯で助けを求めても取り合ってもらえず、
たまたま通りかかった車に乗せてもらったところで
実況は途絶えてしまいます。

キャプチャ

で、これが反響を呼び、いろんな人がきさらぎ駅について
調べたんですが、遠州鉄道であれば静岡県内にあるはずなのに、
どこにも見つからない。そこで、前に書いた杉沢村と同様、
時空の間にある幻の駅ではないかという結論になっています。

まあそうですよね。この話も、おそらくは投稿者の
実話風に書いた創作なんでしょう。このきさらぎ駅のモデルと
なったのは遠州鉄道のさぎの宮駅ではないかとも言われます。
あと、後づけで、きさらぎ駅から脱出してこの世に戻るには
何かに火をつけて燃やせばいい、なんて話も出てきました。

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あとそうですね。「きさらぎ」が「如月」だとしたら、
如月は旧暦の2月のことで、この投稿は1月8日でしたので、
もしかしたら未来へ向かうという意味なのかもしれません。
空間だけでなく、時間もずれている。

さて、もしきさらぎ駅が実在するとして、そこへ行った
人はどうなってしまうんでしょう。死んでしまう? もう
この世に戻れなくなる? そのあたりはよくわからないですが、
上記した日本神話の伝統から、生きて冒険をしてるんじゃ
ないかと思いますね。

トンネルはこの世と異界の堺
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あとはそうですね、「なろう小説」というのがあります。
あれは流行りがあるんですが、一時期、引きこもりニートが
異世界に飛ばされ、その世界で無双してヒーローになる
といったストーリー展開がたくさん出てきていました。

ただ、異世界にいきなり飛ばされるというのは想像がしにくい
ですよね。そこで、現実的な異世界ものの怖い話は、乗り物が
使われることが多いんです。この話の電車もそうですし、
エレベーターなんかもありました。階数の番号をある順番で
押すと、扉が開いた外は異世界になっている・・・



さてさて、ということで、きさらぎ駅の話でした。
この手の話を「異界駅もの」と言ったりします。「月の宮駅」
というのもありました。JR東日本の東海道線で、
居眠りしているうちに着いたのが月の宮駅。
そのホームには2mもある背の高い、黒いひょろひょろの人が

複数歩いていて、暗闇の中に東京タワーくらいのビルが
摩天楼のようににそびえ立って幻想的に見えた、
という話ですが、この方は降りなかったようです。
異界駅にはこの他にも「やみ駅」などがありますので、

興味を持たれた方は検索してみてください。では、このへんで。