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今回はこういうお題でいきます。みなさんは「こっくりさん」を
やられたことがありますでしょうか。もしかしたら、
子どものときにやったという方もおられるかと思います。
そのとき、何か怪異現象が起きたりはしませんでしたか。

これ、自己催眠(自己暗示)にかかってしまう場合があるん
ですよね。ですから、決しておすすめしませんし、多くの
学校で禁止になったのは正しい措置だと思います。
では、こっくりさんの歴史は古いのか?

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漢字にすれば「狐狗狸」で、古来人間を化かすとされる
キツネ、タヌキ、それと狗神の法があるイヌ、3種類の動物が
入っていて、いかにも由緒がありそうですよね。
ですから、こっくりさんは明治になってから日本で流行した
ものだと聞かれれば、驚かれるかもしれません。

こっくりさんが発生した経緯は比較的はっきりしており、
日本での流行は19世紀末から。ヨーロッパで心霊主義が
始まったのと同じ世紀です。最近記事でご紹介した明治の妖怪博士、
井上円了の研究によると、日本においては、1884年に
伊豆半島下田沖に漂着したアメリカの船員が、

ウィジャボード
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自国で大流行していたウィジャボードを地元の住民に見せた
ことをきっかけに、各地の港経由で日本でも流行するようになった
ということです。これ、自分も調べてみましたが、おおむね
そのとおりのようです。さすが妖怪博士。

あと、これは豆知識ですが、「ウィジャボード」というのは
じつは特定の会社の商品名なんですね。この類のものの総称は、
ターニングテーブルと言い、15世紀ころからあるようです。
降霊を行い、その意志を聞くための装置ですね。

ターニングテーブル
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それが、アルファベットがいろは文字に変えられ、鳥居などの
日本的なシンボルがつけられて広まった。では、こっくりさんが
伝来する以前、日本には霊的なお告げを聞くための方法は
なかったかと言うと、人間を依代として神仏をつけ、
その託宣を聞くというのが一般的な形でした。

昨日、地蔵菩薩信仰について書きましたが、地蔵菩薩は日本で
たいへん身近な御仏で、全国であまねく信じられていました。
その中で、「地蔵憑け」という宗教的行為があったんです。
始まった時期は鎌倉時代以降でしょうか。東北、関東の
東日本で盛んだったようです。

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やり方は、多人数が講として集まり、その中から一人が選ばれ、
それをとり囲んで回りながら、他の者たちが呪言の歌を
歌い続けます。そのうちに中の者が震えだしたり、床に
うち伏せたりが始まったら地蔵が憑いたとされ、その者に
口々にさまざまな質問をします。

これは「口寄せ」ですね。東北のイタコが有名で、もともとは
神道的な行為だったんですが、仏教として行われるようになった。
もちろん正式な仏教の教義にはなく、民間信仰です。で、
これを親がやるのを見ていた子どもたちが真似をし始めました。

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「地蔵遊び」と言われます。やり方は大人のとよく似ていて、
大勢の中から一人の依代を決め、南天の木の枝を持たせます。
南天は冬に赤くて丸い実をつける常緑樹で、咳止めとして
薬用されてますよね。これが地蔵菩薩が手にしている錫杖に
あたるんでしょうね。

子どもたちは、その子の周囲を何度も回り、「おのりゃあれ、
地蔵様(お前は地蔵様だ)」と唱え、するとだんだんに
中の子の様子が変わり、地蔵様になりきります。そこで、
「もの教えにござったか地蔵様」と他の子が言い、口々に
質問をするわけです。

南天
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このような下地があったため、こっくりさんも普通に受け入れられ、
急速に広まったと考えられます。さらに、この地蔵遊びが、
「かごめかごめ」に変化していったとも言われます。
かごめ歌もオカルト的にいろいろありますよね。

これも以前、記事に書きましたが、徳川埋蔵金の隠し場所の暗号に
なっているとか、古代のヘブライで似たような行為をしていたとか、
なかなか怪しい話があります。ただ、あまり言われないのが
この歌のもつリズムです。世界的にも、リズムは呪術的に

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重要な役割を果たしていて、アフリカのある部族のドラムなどは、
容易に変性意識状態を引き起こすと言われます。回転により
引き起こされるめまい、それと かごめ歌の持つリズム。
それによりトランス状態が起きても不思議はない気がします。

さてさて、ということで、「かごめかごめ」のルーツが
「地蔵遊び」、そして西洋文化が融合して「こっくりさん」へと
つながっていくわけです。上で書いたとおり、こっくりさんは
危険な場合があるので子どもにはすすめられません。自己責任で
できる大人なら まあいいかな。では、今回はこのへんで。