sssssss (4)

今回はこういうお題でいきます。仏教のお話です。さて、
日本の仏教はいくつもの宗派に分かれてますよね。みなさんの
ご家庭がもし仏教だったとしたら、宗派は何でしょうか? 興味を
持って少し調べてみましたら、下のような図が出てきました。

これによれば、仏教徒全体で、禅宗の曹洞宗と密教の真言宗が
約2割。ついで、浄土真宗、日蓮宗、浄土宗の順になっています。
日蓮宗は以前は法華宗と言いました。これら宗派の違いは
どこにあるかと言うと、膨大にある経典の中で、特にどの経典を
重要視しているかだと言われます。

sssssss (2)

で、さらに、宗派の違いはよく登山に例えられ、高い山を登るのに、
歩む登山道は一つだけではなく、いくつもの登山路があるのと
同じ、などとも言われます。でも、本当にそうなんでしょうか。
いくつもの仏教の宗派が出てきた鎌倉時代、宗派どうし、
寺院どうしでいがみ合い、武力をもって戦うこともありました。

また、宗派によって教えも違います。小さな違いならいいんですが、
霊魂観、死後の世界観なども異なっています。これは、仏教が
日本に伝来して以来、さまざまな民間信仰を取り込んできたのが
最も大きな要因なのではないかと考えます。

sssssss (7)

さて、仏教の経典を仏典と言いますが、多種多様、さまざまな種類が
あります。「法華経」 「般若心経」などは有名ですし、
みなさんの中には、唱えることができたり、写経をしておられるという
方もいるかもしれません。では、これらのお経にはどういった
違いがあるんでしょう。

まず、どうやってお経ができていったか。お釈迦様が生きていた時代、
お釈迦様は教えを文字に残すことを許しませんでした。
修行を通じて体得していくものだったんです。ですが、
お釈迦様の死後、教えが変質し、失われるのを危惧した弟子たちが
文字に編むことを始めます。

インドの仏塔 仏舎利塔のつくりには厳格なきまりがあります
sssssss (1)

このお釈迦様の直接の教えを説いたものを「原始仏典」と言います。
「阿含経」がその代表で、阿含(あごん)とは、サンスクリット語の
アーガマ、「伝承された教説、その集成」という意味で、
お釈迦様の肉声が多数収められています。

この他、原初仏典には「ダンマパダ(発句集)」 「スッタニパータ
(経集)」 「大涅槃経」などがあります。涅槃とは、もともと
一切の煩悩から解脱した、不生不滅の高い境地を指しますが、
転じて、お釈迦様など聖者が亡くなることを表すようになりました。
大涅槃経にはお釈迦様の入滅の様子とともに、

sssssss (8)

仏舎利(お釈迦様の遺骨)の分配についてもふれられており、
前3世紀にインドに起ったマウリア朝のアショーカ王は仏教を厚く
保護し、仏舎利を掘り起こし、それを細かくして各地に埋め、
そこに仏塔を立てました。その数は8万4000とも言われます。

さて、この後、お釈迦様の死後500年以上たって、「大乗」
(多くの人々を救う)という考え方が生まれ、そこでは「般若波羅蜜」
が重視されました。この説明はたいへん難しいんですが、自分の
理解では「仏となるための修行の道」といった意味かと思います。
これを説いたのが「般若心経」で、やはりお釈迦様の言葉が書かれています。

日蓮上人
sssssss (6)

次に知られているのが「法華経」で、これができた当時、すでに
仏教は多くの宗派に分かれており、なぜ分かれてしまったかという
疑問に答えるような内容になっています。これを最も重視しているのが、
鎌倉時代中期に日蓮によって興された日蓮宗ですね。
日蓮宗では「南無妙法蓮華経」を お題目と言いますが、

「尊い法華経」という意味で、日蓮は『立正安国論』を著し、
他宗派を、日本を滅ぼす間違ったものであるとして厳しく批判し、
弾圧されました。この後、日本を襲った国難、フビライ・ハンの
元寇がその現れであると言われたりしますね。

毘盧遮那仏
sssssss (5)

さらに大乗仏教では、お釈迦様以外にも薬師如来、阿弥陀如来など、
仏教の修行によって仏となった尊者があるとされ、それぞれの
教えを説いた仏典ができていき、「大乗仏典」と呼ばれます。例えば
「華厳経」の華厳は「美しい花で飾られた教え」という意味で、
この経の主である毘盧遮那仏の説いた真理を表します。

「維摩経」は、維摩居士(ゆいまこじ)という在家の信者が、
出家している上座部(小乗)仏教の僧侶らを問答によって次々に
打ち負かすという内容です。つまり、出家をしなくても
修行ができる大乗仏教の宣伝みたいになってるんです。
「大日経」は比較的新しく、7世紀ころにできた密教の経典です。

遣唐使だった空海、最澄によって日本に密教が伝わり、
天台宗、真言宗ができました。あとは、浄土宗系で読まれる
「阿弥陀仏経」 「無量寿経」など。浄土宗系では、難しい勉強は
必要なく、ただ阿弥陀仏の名を唱える(南無阿弥陀仏)ことで
どんな人でも成仏できると説かれます。

sssssss (3)

これ以外には、仏教がインドから中国へと伝わり、そこでできた
お経があり、これらは「偽経」と呼ばれます。サンスクリットを
漢訳した体裁になっていて、お盆の起源を説明した「盂蘭盆経」
など。この他、少数ですが、日本で作られたお経もあります。

さてさて、ということで、仏典と仏教宗派について見てきました。
怪談では、お寺に行って霊障のお祓いをしてもらうなどのシーンが
出てきますが、実際は、お寺は勉強と修業の場で、呪いや祟りを
祓うにはふさわしくないんですね。(密教系ではあります)

では、今回はこのへんで。