あだds

今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。
さて、『エクソシスト』はご存知だと思います。1973年の
アメリカのホラー映画で、監督は巨匠ウィリアム・フリードキン。
大ヒットしまして、これを期にたくさんの亜流作品が作られました。

ちなみに、今回の本題からは外れますが、1970年代の
ホラー映画には大きく2つの流れがありました。一つは、
1968年の、ジョージ・A・ロメロ監督による
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から始まるゾンビ映画。

もう一つが、『エクソシスト』のようなオカルト映画です。
オカルト映画はホラー映画に含まれますが、基本的には
悪魔をあつかった内容と自分は理解しています。
1968年『ローズマリーの赤ちゃん』や、1976年の
『オーメン』などがそうですね。

オカルト映画 『オーメン』


さて、では『エクソシスト』にはモデルとなった事件が
あるんでしょうか。これ、よく誤解されるんですが、
ドイツで起きた「アンネリーゼ・ミシェル事件」だと思ってる
人が多いんですよね。ですが、ミシェルのことが知られるように
なったのは、映画の公開後なんです。

『エクソシスト』の原作は、ウィリアム・P・ブラッティによる
同名の小説ですが、ブラッティがモデルにしたと明言しているのが、
1949年にアメリカ・メリーランド州で起きた
「メリーランド悪魔憑き事件」で、別名「ローランド・ドウ事件」。

「アンネリーゼ・ミシェル事件」
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ローランド・ドウというのは、カリック教会が事件の主人公となった
少年につけた仮名です。概要を説明すると、ローランド・ドウは
メリーランド州コッテージシティに住む少年で、小さな頃から、
叔母とよくウィジャボードをして遊んでいたと言われます。

この叔母が、ローランド・ドウが13歳のときに急死します。
で、それをきっかけにポルターガイスト現象が始まるんです。
ラップ音、キリストの肖像画が揺れ、家具がひとりでに動き、
花瓶が宙に浮く・・・そして、ドウの精神は不安定になり、
体に「closed」 「help」などの文字が浮かび上がる。

『エクソシスト』の原作


まあ、古い話ですので、このあたりのことは、どこまでが
真実かはわかりません。さらに、ローランド・ドウは
ふつうはありえない姿勢で一晩中動き回る・・・これは、
リンダ・ブレアがえびぞりの姿勢で階段を降りてくる
シーンとして映画に取り入れられていますね。

その後、ドウはセントルイス大学で検査を受けることになりますが、
ベッドが激しく揺れ、つき添いの神父の聖水の小瓶が宙を飛び、
「evil 邪悪」や「hell 地獄」といった文字が身体に現れたとされます。
ドウは、13歳の少年が知っているはずのない冒涜的な言葉で
神父や医師をののしり大暴れしますが、

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30回にもおよぶエクソシスト儀式により、悪魔は去り、
少年は平穏な生活を取り戻したということです。
さて、ここまでだいぶ長くなってしまいましたが、最近の調査で、
ドウ少年は「抗NMDA受容体抗体脳炎」ではなかったかという説が
出されています。この病気は2007年に明らかになったもので、

自己免疫性の疾患です。簡単に説明すると、体を守るはずの
免疫抗体が自分の脳を攻撃して発症し、最初は風邪のような
症状ですが、やがて記憶障害や意識障害、けいれんや
全身の不随意運動を起こします。そして昏睡状態になる。
比較的に女性に多いとされています。

抗NMDA受容体抗体脳炎の少年


さて、日本では悪魔憑きとはあまり言われませんが、古くから
「狐憑き」とされる症状がありますよね。
意味不明な言葉を発したり、四つん這いで暴れまわったりする。
この原因はさまざまに考えられますが、大きく精神疾患と
肉体的な疾患に分けられるでしょう。

精神疾患は、軽いヒステリーから統合失調症、解離性同一性障害
などで、肉体疾患は脳腫瘍などがありますが、
上記した抗NMDA受容体抗体脳炎もあったのではないかと
言われるようになりました。狐憑きの対処法として、
松葉を燃やしていぶす、押さえつけて叩くなどが行われ、

もし原因が精神疾患だった場合は、ショック療法のような形で
病状が治まった可能性があります。ですが、肉体的な疾患
だった場合、狐憑きだとされた患者はますます衰弱していったと
考えられ、亡くなってしまった例もあります。



さてさて、ということで、『エクソシスト』のモデルとなった
事件についてまとめてみました。現在では、教会がエクソシストを
行う場合、必ずその前に医師による診断を受け、精神的、肉体的に
問題ないことがわかってから、悪魔祓いが実行されることになります。

もう一つ、以前「免疫力信仰は危ない」という記事を書いていて、

上記の抗NMDA受容体抗体脳炎も自己免疫性疾患です。
最近、「免疫力を高めるには」みたいな本がたくさん出てますが、
人間の免疫機構は複雑系であり、どうすれば免疫力が高まるかは
はっきりわかっておらず、素人療法は危険です。では、このへんで。