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渋谷のハロウイン祭り

以前、ハロウインケーキをご紹介したので、引き続いて、今回は
このテーマでいきたいと思います。ただ、ハロウインの起源については
いろんなブログで紹介されていますので、後半のほうでは
映画の話も少ししてみたいと考えてます。

さて、まず「Halloween」の字義から。これは「All Hallows even」を
縮めたものですね。「even」はクリスマスイブのイブと同じで、
前夜祭という意味。つまり「諸聖人の日の前夜祭」ということです。
「諸聖人の日」はキリスト教カトリックで定められている祝祭日で、
「万聖節」とも訳されます。

11月1日がその日なので、10月31日は前夜祭となるわけです。
ちなみに、アメリカに多いプロテスタントでは、聖人という
概念を認めてないので、これは祝いません。ただ、プロテスタントでは、
ドイツのマルチン・ルターが1517年の10月31日、
カトリック教会の免罪符(贖宥状)その他に抗議し、

論題を城門に打ちつけるマルチン・ルター
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論題を突きつけた日ということで、「宗教改革記念日」となっています。
これがハロウインと重なってるのは偶然であると説明される
ことが多いんですが、そう思えない節もあるんですよね。
このあたりは、もう少し掘り下げて調べてみる必要がありそうです。

さて、ハロウインはもともと古代ケルト民族、ドルイド教の「サウィン祭」
であったというのは、最近よくあちこちに書かれています。
ただ、ドルイドの文献はほとんどないため、実体がよくわかりません。
研究によれば、ドルイド教では、霊魂の不滅と輪廻転生を信じ、
人間の生贄を捧げていたとみられています。

古代のドルイド教の儀式
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「サウィン祭」の内容は、・その年の収穫に感謝する収穫祭
・現世と冥界の垣根が取り払われ、死者が訪ねてくる日、日本のお盆
みたいなものです。・長く暗い冬の始まりを前にハメを外して
お祭り騒ぎする日、の3つくらいの意味が重なっていたと思われます。
ですから、この日に騒ぐのも、あながち間違いでもないかもしれません。

キリスト教が広まっても、この「サウィン祭」は民衆の間で祝われて
いました。初期のキリスト教は教会の数も少なく、ヨーロッパの辺境部に
浸透していくまで時間がかかったんですね。そこで、7世紀ころになって、
カトリック教会が、「すべての聖人と殉教者を記念する日」として
民衆の祭りを取り込んだ。こう説明されることが多いですね。

ドルイドの遺跡ともされるストーン・ヘンジ
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ドルイドの影響を近代にも残していたイギリスやアイルランドでは、
「サウィン祭」も原型に近い形で行われており、そこから新大陸に
移住した者たちが、この風習をアメリカに持ち込んだわけです。
ですが、子どもたちが仮装して家々を回り、お菓子をくれなければ
イタズラするという「Trick or treat」が始まったのはごく最近、

1940年代以降だと思われます。それまでは、子どもがイタズラを
してもよい日ですが、お菓子をもらえるということはありませんでした。
このハロウインのイタズラは、代表的なものに家の門を盗む
などがあるんですが、だんだんに過激化していき、
窓を割ったり、家に火をつけたりなどの事件が起きたりしたんです。

トリック・オア・トリート
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そのため学校では、子どもにひどいイタズラをしないよう注意を
出したりしてるんですね。この慣習に目をつけたのがアメリカの
お菓子その他の業界。1950年代にはキャッチフレーズとして
「Trick or treat」の言葉がつくられ、映画やテレビで広まって
いきました。仮装することも含めて、わりと新しいものなんです。

さて、ハロウインを題材にした映画だと、1978年の『ハロウイン』
が最も有名で、シリーズ化されています。第一作の監督は
ジョン・カーペンター。ただこれ、たしかに映像の迫力はありますが、
ここまでウケるほどのものなのか、自分はよくわかりませんでした。

ジャック・オー・ランタン イギリスではカブだったのがアメリカでカボチャに変化
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筋は、先天的に善悪を判別できない少年が、6歳で姉を殺して長期間、
精神病院に入る。成長した少年は精神病院を脱走し、ブギーマンの
仮面をつけ、かつての家族を殺そうと近づいていきます。
あくまでねらいは自分の血縁者で、その他の殺人は、いわば巻き添え
なんですが数が多い。だいたい1作で13人前後が死にます。

ブギーマンはまったくしゃべらないので、なぜ血縁者を執拗に
つけねらうかの理由はわかりません。ブギーマンは銃で撃たれても死なず、
おそらく不死身なんですが、その原因も不明。殺し方もスプラッタという
ほど派手なものではありません。これは、ブギーマンが残虐を好んで
いるわけではなく、ただ殺すことだけが目的だからです。

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ということで、自分にはピンとこない映画で、なぜアメリカでこれほど
ウケるのか理解できないんですが、何か向こうの人の恐怖の琴線に
訴えかけるものがあるんでしょうね。もう一つホラーの最新作をご紹介すると、
最近アメリカで公開された、『スケアリー・ストーリーズ・トゥ・テル・イン・
ザ・ダーク』一言でいうと、本格ホラーではなく子ども向け作品ですね。

幽霊屋敷、勝手にページが増える怪談の本、動くかかし、顔面の皮膚に
卵を産むクモ、自分の体をバラバラにして操ることができる怪物、
タイムスリップなど、子どもが好きそうな怪奇ギミックが、これでもかと
詰め込まれています。ですが、詰め込みすぎて映画のテンポが早すぎ、
じっくり恐怖を味わってる時間がなかったです。

ストーリーも収拾がつかなくなって、前半で怪物に襲われて行方不明に
なった子ども2人を、主人公たちが探しに行くというところで終わっています。
まあ、最初から続編が予定されているのかもしれませんが。
家族向けとしてはよいかと思います。では、今回はこのへんで。

『スケアリー・ストーリーズ・トゥ・テル・イン・ザ・ダーク』(邦題未定)
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