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今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。
まずは杉沢村伝説について。概要は、「かつて青森県の山中に、
杉沢村という村があった。昭和の初期(1938年説が多い)
一人の村人が突然発狂し、村民全員を殺して自らも命を絶つ
という事件が起きた。誰もいなくなった村は、

隣村に編入され廃村となり、地図や県の公式文書から
消去された。しかし、その廃墟は悪霊の棲み家となって
現在も存在する。 」細部は色々違いもありますが、
だいたいこんな内容です。

で、この話がインターネットで広まったと思ってる人が
多いんですよね。ですが、そうではありません。それ以前から
一部に語る人がいて、2000年8月放送の、フジテレビ系
バラエティ番組『奇跡体験!アンビリバボー』の
特番で取り上げられたことから

三大怪村とは、杉沢村、犬鳴村、樹海村
さcC

全国的に広まったものです。巨大掲示板2ちゃんねるが
始まったのが1999年。この頃はインターネットは
まだ黎明期であり、利用者は多くありませんでした。
ですから、この杉沢村伝説がネット怪談のはしりかと言うと、
自分はちょっと違うんじゃないかと思います。

さて、もう少し伝説の続きを書いていくと、杉沢村の入り口には、
1.村へ向かう道路に「ここから先へ立ち入る者 命の保証はない」
と書かれた看板がある。
2.村の入口に朽ちた鳥居があり、その根元にドクロのような石
(もしくは岩)がある。

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3.奥へ進んで行くと、赤い屋根の小屋や廃墟と化したかつての
住居があり、その内部では事件の惨劇を物語る血痕のようなものが
多数見受けられる。この家屋には、悪霊が住んでいるので、
入った者は生きて出られないという・・・ これらのもののほとんどは、
杉沢村の候補地となった場所に実際にあります。

『奇跡体験!アンビリバボー』では数回にわたって杉沢村の          
特集を行ったが、最後まで村の正体は分からず「杉沢村は時空の歪み
の中に存在し、現われたり消えたりする村である」と結論づけています。
つまり実態はない。では、この話のもとになるような事件が
あったかというと、2つの候補があげられてますね。



まず一つめは、岡山県で1938年(昭和13年)に起きた       
「津山30人殺し事件」犯人の都井睦雄が、2時間足らずの間に
猟銃と刃物で28人を即死させ、5名が重軽傷。
(そのうち2名が死亡)。なお、都井は犯行後に自殺したため、
被疑者死亡で不起訴となっています。

この事件については、以前の記事で詳しく書いてますので、
これ以上は取り上げませんが、岡山県は青森とはずいぶん距離が
離れており、また事件当時は情報も少なかったため、
後になってから混同が起きたと考えられます。

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もう一つ、モデルになったとされる事件は、1953年
(昭和28年)に青森県中津軽郡新和村(現弘前市)で発生した
「青森県新和村一家7人殺害事件」です。リンゴ園農家の
三男であるM(当時24歳)が実家に侵入して、
猟銃で父親・長兄ら一家7人を射殺。

その後、Mの実家は火災により全焼し、3歳の女の子1人が焼死。
ですから死者は計8人なんですね。火事は猟銃のバックファイア
からの失火とされ、それについては殺人は問われませんでした。
Mは犯行後、親戚宅で犯行を告白、集落の駐在所へ自首しています。

で、なんとこの犯人、無罪放免となってるんですね。Mは犯行後
結婚して48年後に72歳で交通事故死しています。
なぜ7人も殺したのに無罪となったのか。
Mは、実家からはまったく援助してもらえず、家もなく、他家の
ひさしの下にむしろを敷いて生活するなど、極貧にあえいでいました。



そんな中、青森の冬の寒さに耐えきれず、実家へ味噌を盗みに
入りますが、実家に隣接する物置小屋へ入ったところ、猟銃と実弾を
装備した弾帯が置いてあるのを見つけ、味噌を盗んだことが当主である
父に知られれば殺されると考え、犯行に及んだと供述しています。
計画的に猟銃を用意しての犯行ではなかったわけです。

この父親はひどい人物で、次男とMを人間あつかいせず、    
また妻も、離婚届のないまま家から追い出し、別の女を引き入れて
いました。無罪になった理由は、精神鑑定で心神喪失状態が
認められたためですが、上記のような実家からのひどい仕打ちを
地域の者がよく知っていたことも関係があると思われます。

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さてさて、旧民法は事実上、長男相続を推奨したものでした。
これは家屋の現金化や田畑の分散をふせぐためです。それが
事件の6年前の1947年、民法改正があり、配偶者および
子どもすべてが平等に相続権を持つことが規定されました。
しかし、田舎ではその法令は浸透せず、

Mの事例のように、次男、三男以下はまったく財産をもらえず
家を追い出される、あるいは嫁ももらえず農奴のように
こき使われることが続いていたんです。上記した津山事件も
そうですが、農村の古い因習が事件を生み、そして怪村伝説化
されていったわけです。では、今回はこのへんで。