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今回はこういうお題でいきます。ひさびさに魔術系の内容です。
「召喚」という日本語は日常、めったに使わないですよね。
裁判所に被告や証人として呼び出される場合に出てくることが
多いようです。ただ、最近ではこの言葉、ファンタジー系の
RPGやラノベなんかでよく見かけるようになってきました。

「引きこもりニートが勇者として異世界に召喚された」
みたいな使い方です。元の世界では役立たずな人間だったのが、
その世界では不思議な力を持っている。で、その国の王女様などの
頼みで敵を倒す過程で、どんどん人間的に成長していく。
こんなストーリーが定番になっているようです。

ご都合主義の極地みたいですが、たくさんの類似作品が
ある中でオリジナリティを出すのは大変そうです。
また、ラノベの場合は「転生」という語もよく使われますね。
その異世界の社会環境をどれだけ魅力的なものに
できるかも重要なポイントになります。

悪魔との契約で十字架を踏みつける人
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さて、オカルト的には、召喚は「自分よりも上位の存在を
呼び出すこと」こんな感じの意味で使われます。
上位の存在とは、神や天使、悪魔や精霊などですが、
神が召喚されるという言い方はあまりしないですね。

天使など善の存在を召喚するのを白魔術、悪魔を召喚するのを
黒魔術と分けることもできます。召喚は英語で、一般的には
「summoning」か「conjuration」使うかと思います。
ただし、近代の魔術結社「黄金の夜明け団」に連なる
アレイスター・クロウリーの一派は、

悪魔との契約書 悪魔の署名が見えます
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「召喚 invocation」と「喚起 evocation」を
使い分けています。この場合、神を呼び出すのが召喚で、
悪魔は喚起となります。もちろんキリスト教の神を呼び出す
のは無理ですので、ここで出てくるのは異教の神々です。

さて、ここからは悪魔を呼び出すケースについて述べていきます。
まず、何のために悪魔を呼び出すのか。これは、あることに
ついての知識を得るためという場合もありますが、多くは
自分の願い事を聞いてもらうためです。

悪魔から身を守るための魔法陣
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でも、悪魔がわざわざ人間のところまで来て願いを叶えてやる
なんてありえないですよね。そこで悪魔を強制的に呼び出す呪文が
必要になります。呪文は、古い魔導書を研究して
発見されることが多いですね。

ここで、悪魔に危害を加えられないように、自分は魔法陣の
中にいて身を守るというのが定番です。それで、もし呪文が
強力であれば、悪魔はただで願いを聞いてくれますが、
そうでない場合は、術者の魂を引き換えに求めます。
悪魔との取り引き(契約)ということです。

では、もし悪魔に魂を取られてしまったらどうなるのか。
はっきりとはわかりませんが、長い間地獄の炎で焼かれたあげく、
神との最終戦争で悪魔の側について戦うことになるんだと
思います。ちなみに、ゲーテの戯曲『ファウスト』では、
ファウスト博士は最終的に天上へ救済されます。

「黄金の夜明け団」のタロットカード
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この悪魔との取り引きというのは、たいへん魅力的な
テーマなので、多くの作家が書いています。例えば、
ホラー作家のスティーブン・キングやSF作家の
フレドリック・ブラウンなどですね。日本の漫画作品にも
いろいろとあります。また、悪魔が魂を求めてこない場合もあり、

瓶の中などに長期間悪魔が閉じ込められていて、
助けてくれたら願いを叶えてやるといったケースです。もともとは
ペルシアの『アラビアン・ナイト』の「アラジンと魔法のランプ」が
原型なんじゃないかと思います。

ブラックサバスのアルバム
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でも、やはり悪魔は悪魔ですので、願い事の中に罠が
しかけられていたりします。例えば「一生使い切れない金」を望むと、
その途端に上から大量の金貨が落ちてきて、押しつぶされて
死んでしまうとか。ですから、頭を絞って願い事を考え
なくてはなりません。

歴史上、悪魔と契約したとされる人物はたくさんいます。最も
有名なのが、フランス、ルーダンの司教ユルバン・グランディエで、
そのときの契約書が、現在フランス国立図書館に保存されています。
契約内容のほか、悪魔の署名などが記されていますね。ちなみに
この司教は、異端審問によって火あぶりの刑になりました。

ロバート・ジョンソンが悪魔と契約したとされるミシシッピ州のクロスロード
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上記のファウスト博士も有名です。実在のヨハン・ファウストは
錬金術師で16世紀の人物。生前から悪魔と取り引きしたという
悪評が流されていましたが、実験中に爆発が起こり、五体が
ばらばらに吹き飛んだと伝えられています。あと、同じ
16世紀の医師、パラケルススにも悪魔との契約の話があります。

さてさて、近代で最も有名なのはアメリカの「クロスロード伝説」
でしょうか。ブルースギタリストのロバート・ジョンソンには、
「十字路で悪魔に魂を売り渡し、引き換えにテクニックを身につけた」
という噂がついて回りました。現代でも、ロックには悪魔に
関係した曲が多いですよね。では、今回はこのへんで。

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