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グラストンベリー・トー

今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。ただこれ、
オカルトの中でも自分のやや苦手な分野で、もしかしたら
間違ったことを書くかもしれません。その場合、詳しい方が
コメントで訂正していただけたらありがたいです。

さて、レイラインとは何か? 英語で書くと「ley line 」です。
よく間違えられるのは、ray(光線)、lay(置く、横たえる)
などですが、正しい綴り ley は、そのライン上に音節
ley を含む名前の場所が並んでいたことからきているようです。

イギリスのレイライン
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これを最初に言い出したのは、イギリスの実業家、写真家、
アマチュア考古学者であるアルフレッド・ワトキンスという
人物で、著書『The Old Straight Track』(未訳)に書いたのが
始まりのようです。ただし、オカルト的な発想というわけではなく、
地図上のあるラインに遺跡が並んでいるのは、

古代(下手すると新石器時代にまで遡る)の古い直線道路が
あったからではないかと考えたためです。うーん、
それについての自分の考えは後述することにして、ともかく話を
進めていきましょう。2日前の記事で、アーサー王の
墓があると言われるアバロン島について書きました。

下の画像を御覧ください。これはイギリスのグラストンベリー
という町にある「グラストンベリー・トー」という地形です。
あえて遺跡と書かなかったのは、自然地形か人工的なものかが
はっきりしないからです。ここ、イギリスでは屈指の
パワースポットと言われ、日本からのツアーもあるようですね。

上空から見たグラストンベリー・トー
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丘の上にあるのは、屋根のない旧聖ミカエル教会ですが、
そこまで古いものではありません。その昔、この地域一帯は
湿地帯で、この丘が水の上に突き出て島のように見えた。
そのため、アバロン島はここではないかという説があるんです。

この丘の上にアーサー王とグィネヴィア王妃の遺体が埋まって
いたのを発掘し、グラストンベリー修道院の地下に埋め直した。
それが12世紀末、修道院の火事で再発見され、しばらくは
大理石の棺に安置されていたが、16世紀、修道院の解体に
ともない、付近の地中に埋められたという伝承が残っています。

セント・マイケルズ・レイライン
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もちろん眉唾な話です。火事の再建費用をつくるために
話がでっちあげられたと見るのが常識的ですよね。中世には、
各地の教会がその権威を高めて寄付を集めようと、あちこちで
聖遺物が発見されているんです。キリストが架けられた聖十字架は、
全部合わせると何十本分にもなると言われています。

さて、レイラインの話に戻って、グラストンベリーは、
セント・マイケルズ・レイラインとセント・メアリーズ・レイラインの
交わる地とされています。セント・マイケルは大天使ミカエル、
セント・メアリーは聖母マリアですね。男性原理と女性原理が
交錯することでパワーが生み出されている。

グラストンベリーの「チャリス(聖杯)の井戸」
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レイラインができる理屈は大きく4とおりあると考えられます。
まず最初は、上記した古代の直線路説。ですが、現代の土木技術で
橋をかけたりトンネルを掘ったりするから、線路や高速道路を
ほぼ直線にできるのであって、古代なら迂回路になると思います。
川沿いに遺跡が連なるというのならわかりますが。

それと、ライン上にある遺跡の年代がバラバラすぎます。
古代ケルトのものもあれば、キリスト教時代の新しいものも
入り混じってるんです。2つ目は、例えば夏至の朝に太陽が登る
方向など、方位が関係しているという説。これなら
考えられなくもないでしょう。古代人でも太陽の動きと関連して、
方位はある程度つかめていたと思います。

ストーン・ヘンジ
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3つ目は、東洋における風水の龍脈的な考え方。山地から海へと
続く、気が通る道があるということです。最後は純オカルトで、
1961年、イギリスの発明家トニー・ウェッドという人が、「UFOは
エネルギーの渦が発生するスポットを目印にしている」という説を唱え、
レイラインを世界的に有名にしました。うーん、どうでしょう。

さて、まっとうな批判としては、イギリスは紀元前から近代まで
さまざまな遺跡が多数点在しているため、それらの遺跡を結ぶ
任意の直線を引くのは数学的に難しくないというもの。下図は
ランダムにうたれた点ですが、137の点に対し80本のラインを
引くことができます。つまりレイラインは偶然の産物であると。

ランダムに打った点とそれからできるライン


ここまで読まれて、みなさんはどう思われましたでしょうか。
自分はどちらかと言えば懐疑的です。有名なストーンヘンジは
今から4000年以上前の古代ケルトの遺跡です。それに対し、
キリスト教の受容が遅かったイギリスでは、教会関連の遺跡は
比較的新しいものが多いんです。同一に考えていいものか。

さてさて、ということで、レイラインについて見てきました。
これ、日本でも地図と定規を使って熱心に研究されている方が
いるんですよね。日本の場合、風水的な考え方が多いようです。
日本の代表的なレイラインとされる画像を2つあげておきます。

日本のレイライン?
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最初の話に戻って、グラストンベリー・トーの地下には迷宮状の
構造が埋まっている、とイギリスのダウナー(ダウジングをする人)
たちは主張しています。イギリス人ってその手の話が好き
なんですよね。ただ、それについては現代の地中レーダー技術で
ある程度のことはわかるはずです。では、今回はこのへんで。

日本のレイライン?
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