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グレイフライアーズ・カークヤード墓地

今回はこういうお題でいきます。オカルト論ですね。けっこう怖い
話が出てきます。みなさんは『ハリー・ポッター』シリーズを
お読みになったでしょうか。中には映画だけ観たという方も
おられるかもしれません。映画のシリーズはかなり原作に
忠実につくられていました。

自分は、1997年に『ハリー・ポッターと賢者の石』が
出版されたときは、じつはそこまで注目してなかったんです。
子ども向けのファンタジーだろうと思ってました。ところが、
続巻がどんどん出るにしたがって、作品中の世界観が大きく、
しかもよく練られ、周到に統一されていることに気がつきました。

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ああこれは、最初から大きな構想があって、それを少しずつ
書いてるんだということがわかったんですね。登場人物の
ハリーやハーマイオニーの学年が進んで人間的に成長するにつれ
ストーリーがどんどん複雑さを増していって、後のほうの巻は
大人でも十分な読み応えがあります。

さて、ハリー・ポッターのシリーズは、世界的なベストセラーになり、
大好評ですが、一部キリスト教からは批難もあるんですよね。
「魔法使い、魔女」という存在に対するアレルギーとも言えます。
特にアメリカでの批判が大きく、有害図書に指定されたりしています。


グレイフライアーズ・カークヤード墓地

では、ご当地イギリスはどうかというと、そこまで大きな批判は
出てないんですね。これは何度か記事に書きましたが、
イギリスではもともと、あまりキリスト教の力は大きくありません。
その理由は2つほどあげられ、まず一つは、島国であった
イギリスはキリスト教の受容が遅れたこと。

正式にキリスト教がブリテン島に入ったのは6世紀のことで、

積極的に布教が進められたのは10世紀以降です。
イエス・キリストの誕生は紀元前後で、ローマ帝国でのキリスト教
国教化が4世紀。ですから、ずいぶん遅れたことになります。
それ以前はドルイド教などのケルト系土着宗教で、幼児など
人間を生贄に捧げていたことが、ローマ帝国の記録に残っています。

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グレイフライアーズ・カークヤード墓地

もう一つの理由は、王侯貴族がハチャメチャをやったことです。
まず15世紀、国王ヘンリー8世は6人の妻を持ちましたが、
カトリックで禁じられていた離婚を断行して破門されてしまい、
英国教会ができました。ちなみに、ヘンリー8世は2人の妻を
無実の罪で処刑しており、その幽霊が出るとも言われます。

その後、16世紀になると女王メアリー1世がカトリックへの復帰を
試み、英国教会に連なるプロテスタントを迫害、子どもを含めた
数百人を処刑しました。このことから、メアリー1世には
ブラディメアリー(血まみれのメアリー)の異名がつけられ、
トマトジュースを使ったカクテルの由来にもなっています。

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さらにこの後、日本では知られていませんが、17世紀にジョージ・
マッケンジー卿という法律家が、英国教会のプロテスタント長老派に
対し非人道的な拷問や斬首を行い、多くの命を奪ったとして
血のマッケンジー卿と呼ばれます。で、この人物、ハリー・ポッター
シリーズの敵役、ヴォルデモート卿のモデルとも言われてるんですね。

マッケンジー卿は1691年に亡くなり、スコットランドの首都     
エディンバラの「グレイフライアーズ・カークヤード墓地」に
その墓があるんですが、この墓地は「世界で最も呪われている」と
されます。マッケンジー卿の墓は長い間封印されていましたが、
1999年の冬、ホームレスが寒さを逃れようと忍び込み

ジョージ・マッケンジー卿
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封印を解いてしまった・・・450人近くの訪問者が、突然、
火傷や打撲などの奇妙な跡が体に現れ、また100人以上が墓の前で
気絶するという異常な現象が起きたとされます。イギリスの
テレビ番組でこの現象は取り上げられ、超常現象ドキュメンタリー
番組「Most Haunted」に出演する研究家のリチャード・フェリックス氏

( Richard Felix)は、「世界で最も説得力のある超常現象の事例の1つ」
と語っています。で、この墓、現在は危険があるということで、
エディンバラ市は一般来訪を禁止し、そのかわり、
ガイドツアーつきで有料で公開されているようです。

トーマス・リドルとある墓
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まあねえ、かなり怪しい話で、墓の封印が解かれたとされるのが
1999年で、ハリー・ポッター初刊の発売後です。ですから、
噂を流して墓地の観光化をもくろんだということが考えられます。
そういう形でオカルトが発生するケースは多いんです。

また、これとは別に、墓地には「トーマス・リドル(ヴォルデモート
卿の本名)」という人物の墓もあり、多くのハリー・ポッターファンが
来訪してお花や手紙を墓に置いていくんだそうですが、作品の中の
創作された人物とは明らかに別人ですし、どうなんでしょうか。

ジョージ・マッケンジー卿の墓堂
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エディンバラは、J・K・ローリング氏が無名時代を過ごした街として、
知られており、グレイフライアーズ・カークヤードにもよく散歩に
来ていたそうです。墓地の近くには、ハリー・ポッター第一巻を
執筆した「ザ・エレファント・ハウス」というカフェもあり、
ここも観光名所になっているようです。

さてさて、ということで、『ハリー・ポッター』シリーズが生まれた
イギリスの土壌を見てきました。みなさんがもしイギリス旅行を
計画されているなら、ぜひエディンバラの「グレイフライアーズ・
カークヤード墓地」を計画に加えてみてください。超常現象に
出会うことができるかもしれません。では、今回はこのへんで。

ザ・エレファント・ハウス