今回はこういうお題でいきます。悪魔学です。
さて、みなさんはこの名前の人物をご存知でしょうかね。
オカルト史的にはきわめて重要な女性なんですが、
あんまり日本では知られてないんですよね。

アメリカで17世紀に起きた「セイラム魔女裁判 Salem
witch trials」の中心となった女性で、当時12歳であったと
考えられています。セイラム魔女裁判はご存知でしょう。
ヨーロッパでの魔女狩りが下火になりつつあった
1662年、アメリカ・ニューイングランド地方の

マサチューセッツ州セイラム村で起きた魔女裁判事件で、
200名近い村人が魔女として告発され、19名が刑死、
1名が拷問死、2人の乳児を含む5名が獄死しています。
いわゆるアメリカの黒歴史の一つで、セイラム村、
現在のダンバースには魔女博物館があり、また、

悪魔憑きが始まった家
キャプチャ

モキュメンタリーホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』
の内容にも大きな影響を与えています。アビゲイルは
独立前のアメリカ開拓民の子で、幼少時に両親を
先住民の攻撃によって失っています。

不幸な生い立ちだったんですね。そのため、叔父である
牧師サミュエル・パリスの養女として育てられ、家には
南アメリカ先住民の奴隷ティテュバがいました。
ティテュバは、東カリブ海のバルバトス出身で、彼女は
ブードゥー教の前身のような儀式や踊りに詳しかった。
 

アビゲイルらと奴隷のティテュバ

 
アビゲイルと牧師の娘のベテイは、このティテュバから
魔術や占いを習ったとされます。やがて、アビゲイルらは
牧師に隠れて降霊会を行うようになり、村の若い娘たちを
巻き込み始めます。ただし、この降霊会は、

心霊主義が始まるずっと以前のことなので、どのような  
形のものであったかは定かではありません。降霊会は
真夜中に行われ、発作を起こすものが続出しました。
床を転げ回って暴れたり、家具の中に入り込んだり。

この現場を目撃した牧師は医師にみせましたが、医師は
医学的なものではなく、悪魔的な現象であると診断。
近在のジョン・ヘイル牧師を招聘して悪魔払いが行われますが、
失敗します。問い詰められたアビゲイルは、ティテュバの
他2名の少女を悪魔憑きとして告発。

アビゲイルのイメージ


裁判でティテュバは悪魔憑きを自白、他の2名の少女は
否認するものの、証人として列席していた悪魔憑きの娘たちが
暴れだして、二人が悪魔を使役していると証言したため、
有罪になります。ここから、多くの娘たちが裁判で

有罪とされ、次々と絞首刑が執行されていくんですが・・・
さすがに、これはおかしいと疑問を持つ村人が現れ、
上級裁判所に上告が行われ、その結果、村の裁判所は解散、
告発されていた人々は上級裁判所で審理されて
多くが無罪となっています。

麦角菌に冒された麦
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これがセイラム魔女裁判の概略なんですが、当のアビゲイルは
たくさんの人を告発した後、裁判の混乱中に一人姿を
消すんですね。一説には、船でセイラムを逃れ、ボストンで
売春婦になったとも言われますが、真相はわかりません。

これ、現在の知識で考えれば、思春期の少女たちによる
集団ヒステリーじゃないかと思いますよね。
あと、厳しいプロテスタント的な生活に対する
不満などもあったのではないかと考えられます。

セイラム魔女博物館


あとは、麦角菌による集団中毒という説もあります。
麦角菌は強力な幻覚剤 LSD の原料であり、
痙攣や麻痺、幻覚など、悪魔憑きを思わせる症状を起こす
ことで知られています。麦角菌汚染されたライ麦を
食べたことから始まったのではないかということで、

その可能性はあるかもしれません。また、麦角菌は
流産を引き起こすことで知られ、堕胎薬として使われていた
という話も。まあねえ、350年以上前のことですので、
今となっては何の証拠もないんですね。

刑死者たちの墓碑
キャプチャnmjjhjm

さてさて、セイラム魔女裁判についてみてきました。
もちろんオカルト的には、実際に悪魔が出現した可能性も
否定はできません。現在のセイラム村、ダンバースでは、
この歴史が観光商品になっており、魔女アイスや魔女の帽子

などのグッズが観光客に売られています。
自分はアメリカにいたとき、ここの魔女博物館に行ったことが
あるんですが、ジオラマの展示や劇なども行われていて、

なかなか面白かった記憶があります。では、今回はこのへんで。