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今回はこういうお題でいきます。オカルト論です。
何から書いていきましょうかね。そうだ、みなさんは
「魔術」と「魔法」がどう違うか、おわかりでしょうか。
これ、なかなか難しい質問だと思います。

結論から言うと、特に違いはないんです。日本語の訳語の違い、
と考えていいかもしれません。英語では、
魔法= magic、witchcraft 魔術= magic、witchcraft
・・・同じものなんです。ところが、日本語にすると違う
感じがします。これ、なぜなんでしょう。

自分が考えるには、『グリム童話』などの童話に出てくる
場合、魔法と訳されるからじゃないでしょうか。魔法のほうが、
なんとなく魔術よりもやわらかい感じがするのは、
そのためじゃないかと思います。

「アバダ・ケダブラ」
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映画の『ハリー・ポッター』シリーズも、原作が児童文学として
始まったため、「魔法」と翻訳されています。
ちなみに、魔法の場合は、術者は魔法使い、魔術の場合は
魔術師となりますが、英語ではどちらも、wizard、witch 。
magician は手品師という意味が強いですね。

さて、では次の質問。みなさんは魔法というと、まずどんな術を
思い浮かべられるでしょうか。やはり『ハリー・ポッター』の
影響が強いので、「アバダ・ケダブラ(息絶えよ)」
「エクスペリアームス(武装解除)」なんかだと思いますが、
あのシリーズを知る以前だったら?

ディズニー映画の『魔法使いの弟子』に出てくる、箒に仕事を
させる呪文を思い浮かべる方もおられるかと思います。
たしかに、あれができれば便利ですよね。箒を働かせて自分は
遊んでればいいわけですが、あまりに便利すぎて、
弟子は大失敗をしてしまいます。

『魔法使いの弟子』
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自分の場合、『グリム童話』などの中でたびたび出てくる、
人間を動物に変える魔法の印象が強いです。「かえるの王様」
という話では、ある国の王女が、森の泉に金の鞠を落としてしまう。
そこへカエルが出てきて「自分を王女様のお友達にしてくれて、

あなたのベッドで寝かせてくれるのなら、拾ってきてあげよう」
と申し出ます。王女は条件をのむが、鞠を取りもどしたとたん、
カエルを置き去りにして走って城へ帰ってしまいます。
この後、すったもんだがあるんですが、最終的にはカエルの
魔法が解け、別の国の王子であることがわかります。

この場合、魔法は spell(呪文) というより curse(呪い) と          
呼んだほうが適切でしょう。王子、王女などの高貴な人物が、
悪い魔法使いによって醜い生き物に変えられ、ある一定の
条件が叶えられれば、その魔法が解ける。だいたいは
ハッピーエンドで終わりますが、そうでない場合もあります。

『白鳥の湖』
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有名なバレエの『白鳥の湖』では、悪魔によって白鳥に
姿を変えられた娘 オデットが、ジークフリート王子の愛を
得られれば魔法が解けることになります。ですが、王子は
悪魔に騙され、別の娘に求婚してしまいます。

間違いに気づいた王子は、激しく戦って悪魔を倒しますが、
それでも魔法は解けず、結局、絶望した王子とオデットは
湖に身を投げて来世で結ばれる・・・で終わるんです。
バッドエンドなんですが、これは例外と言えるでしょう。

月へ帰るかぐや姫
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なぜこういう話ができたかは、だいたい想像がつきますよね。
イボだらけのヒキガエルが、じつは美しい王子だったというのは
意外で、話を聞いた子どもが喜びそうですし、大人でも、
自分がその王子だったらと、空想の翼を広げることができます。
民衆受けしそうなパターンなんです。

ところが、日本の民話には、これに類する話は少ないんです。
なぜなんでしょうか。まず一つには、魔法使いという存在が、
日本では一般的ではなかったことがあげられるでしょう。
そのかわりというか、「山姥」とか「さとり」、狐狸などの
妖怪が悪役として出てくることが多い。

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また、西洋の領主と日本の殿様の違いということも
あるかもしれません。ただ、日本でも、貧しい農民の若者が、
知恵を使ってお姫様や長者の娘と結婚するというような話は
ありますし、また「異類婚姻譚」といって、人間が人間以外の
動物と結婚する「鶴女房」のような話もあります。

あとは「貴種流離譚」という、若い神や英雄が異郷を
さまよいながら試練を克服し、尊い存在となるとする説話も
多く見られ、『竹取物語』などは、ちょっと変形した
貴種流離譚と言っていいんじゃないかと思います。

イタチに変えられたマルフォイ、この呪文は原作には出てこない
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さてさて、このように、民話に出てくる魔法一つとっても、
文化の違いというのが表れていて面白いなあと思います。ちなみに、
『ハリー・ポッター』の原作には、「アニメーガス(動物もどき)」
という、自分を動物に変える呪文はありますが、他人を動物にする
呪文は出てこないんです(映画では出てくる)。では、このへんで。