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今回はこういうお題でいきます。悪魔学の一環なんですが、
これをまともに書くとたいへん長くなってしまうので、
ほんの概略だけにとどめたいと思ってます。さて、テンプル騎士団は
ダン・ブラウン原作、2006年のアメリカ映画『ダ・ヴィンチ・コード』で
取り上げられ、改めて話題になりました。

まず、これから説明していきましょう。ヨーロッパ中世、第一回の
十字軍が1096年に行われ、イスラム勢力からの聖地エルサレム
奪回に成功します。ですが、軍のほとんどは自国に帰還してしまい、
せっかく取り戻したエルサレムは戦力不足でした。

そこで、エルサレムへの巡礼に向かうキリスト教徒を保護するため、
1119年に設立されます。テンプル騎士団の構成員は
正式な修道士であり、ロールプレイングゲームに出てくる
神官戦士のような性格を持っていました。ただし、
直接戦うのではなく、当初は あくまで予備軍的な存在でした。

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ですが、第2回十字軍ではフランス王、ルイ7世を助けて奮戦。
王は広大な土地を騎士団に寄進します。これで財政的な基盤ができた
騎士団は、寄進された土地や物をすべて金銭に変え、国際金融機関的な
役割を持っていきます。ヨーロッパで預金した金を、

エルサレムでテンプル騎士団から受け取ることができるなど、
現在の銀行のような役割を担ったわけですね。騎士団は、一切の課税を
免除され、自前の艦隊まで有して商業活動や金融活動を行うようになり、
莫大な財をなしましたが、商人たちの敵意を受けるようになります。

フィリップ4世
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13世紀に入って、聖地エルサレムがイスラムの手に落ち、ここで     
テンプル騎士団はその存在意義を失うんですが、騎士団の蓄財は
最盛期を迎え、フランス王に対する財政援助を行うまでになります。
この金に目をつけたのが、フランス王フィリップ4世。

フィリップ4世は、整った顔立ちから「美男王、端麗王」などと
呼ばれましたが、フランスの財政は最悪の状況でした。そこでまず、
フランス国内のユダヤ人をいっせいに拘束、資産を没収して
追放するという暴挙に出ます。これに味をしめ、1307年、
フランス全土においてテンプル騎士団の会員を一斉に逮捕。

その罪状は、男色行為、反キリストの誓い、悪魔崇拝など。
団員は激しい拷問によって無理やり罪を自白させられ、
異端審問で有罪とされた後、教皇クレメンス5世に働きかけ、
テンプル騎士団は解散、フランス国内の資産を没収されます。
1314年、騎士団総長ジャック・ド・モレーら幹部を火刑。

ジャック・ド・モレー
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その際、モレーはフィリップ4世と教皇クレメンス5世に
呪いの言葉を発したと言われます。同じ年、フィリップ4世は
狩りの最中に脳梗塞で倒れ死去。46歳でした。
また同年、クレメンス5世も亡くなっています。
これは当然、モレーの呪いと言われました。

さて、テンプル騎士団の罪状は、現在ではまったくのでっちあげと
判明していますが、その最も大きなものは、悪魔バフォメットを
崇拝していたことで、騎士団の本部にはバフォメットの偶像が
あったとされました。(これももちろん嘘です)

悪魔バフォメット
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悪魔バフォメットは、山羊の頭、黒い翼を持つ両性具有の悪魔ですが、
古い文献には登場せず、イスラム教の創始者にして預言者、
ムハンマド(フランス語読みはマホメット)を貶めたものであると
みられています。つまり、テンプル騎士団は、十字軍遠征の敵で
あったイスラムを信奉していたとされたわけですね。

さて、ここで『ダ・ヴィンチ・コード』の聖杯伝説が出てきます。
聖杯とは、最後の晩餐に使われた杯、あるいは磔にされた
キリストの血を受けた杯と言われますが、それをテンプル騎士団が
所有しており、弾圧の際に騎士団の一部はスコットランドに逃れ、

聖杯
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そのおよそ100年後、騎士団の子孫「ヘンリー・シンクレア」
という人物が、大西洋を西に向かって謎の航海をしたという記録があり、
このとき、テンプル騎士団の遺された財産と聖杯を、カナダの東海岸、
ノバスコシアなどに隠したという伝説が残ってるんです。
自分も少し調べたんですが、どこまで本当かはわかりません。

そもそも聖杯の存在自体がきわめて怪しいものですし、それが
新大陸に渡ったとなれば、話としては面白いですが、実体はないでしょう。
『ダ・ヴィンチ・コード』では、最終的に、聖杯とは独身であった
はずのイエス・キリストの血をひく子孫ということになってましたね。

火刑にされる騎士団員
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悪魔バフォメットは、19世紀、イギリスでテンプル騎士団が本当に
異端であったかどうかに関する論争が起きた際、改めて注目を浴びます。
19世紀以後、オカルティズムやサタニズムの世界でバフォメットは
有名となり、魔術師エリファス・レヴィによって初めて姿絵が描かれました。
イスラムですので、偶像は禁じられ、具体的なイメージがなかったんですね。

さてさて、ということで、どうにか字数内で説明できたようです。
ここまでの自分の感想は、信仰心などと言っても、世の中を動かす
力として、やはり金銭というものは大きいなあという身もフタもない
ものです。では、今回はこのへんで。

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