ぽき

今回はこういうお題でいきます。怪談論です。
うーん、この記事、じつは書こうかどうか迷ったんです。
というのは、自分が書いているのは創作怪談で、
実話怪談ではないので、実話の条件をあれこれ考察するのも
ちょとなあ、と思うところがあるんですよね。

自分は怖い話を書き始めた初期の頃は2ちゃんねる
(現5ちゃんねる)に投稿していて、このブログの最初の
ほうに出てくるものがそうなんですが、あの当時は創作は
すごく嫌われていたので、最初から創作とも実話とも
ふれず、できるだけ実話っぽい書き方をしていました。

で、今はyoutubeなどの動画サイトを中心に怪談が
ひじょうに流行ってますよね。その中には、「実話」と
題についているものが多い。でも、じゃあ、実話って
どこまでの範囲かというと、すごくあいまいで、
定義というほどのものはありません。

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これはもちろん、実話の定義は怪談師ごとに違うからだろう
と思います。で、この定義は、人によって広かったり
せまかったりします。一番厳しく言ってるのが、作家で
オカルト研究家の山口敏太郎氏でしょうか。氏は、
主催する「怪談王」という賞グランプリのプロモの中で、

「ガチ怪談」ということをおっしゃっています。たしか、
そこで語られる話の基準は、・ 自分が体験した話はダメ、
ただし、それが事実と証言する人がいれば、そのかぎりではない。
あと、・ 実際に体験した人物が存在している話のみ対象。
・ 人怖は対象外。こんな感じだったと思います。

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さて、では、みなさんはこの問題、どうお考えになるでしょうか。
もし一番厳しくするとすればこんな感じになるでしょう。
① 体験者が確定されていて、その体験が検証されていること。
でも、これって不可能だと自分は考えています。

だって、心霊体験って検証できないじゃないですか。
「Aさんが幽霊を見た」という話があったとして、Aさんが
本当に幽霊を見たのか、それとも幻覚を見て幽霊として記憶
してるのか、判断できないと思いませんか。それは、
複数の人が同じものを見たというのなら

信憑性は高まりますが、完全ではありません。そもそも幽霊
そのものが、いるともいないとも世間では結論が出ていません。
ですから、完全に検証された怪談というのは、幽霊がいると
結論づけられるのと同じになります。これは大ごとですよね。
世界がひっくり返るかもしれません。

山口敏太郎氏
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次、② その怪談氏が体験者から取材した話、創作と疑われた   
場合、その体験者を提示できる。これだと怪談師の創作で
ないのはたしかですが、体験者が話を作ったり盛ったり
してる可能性は残ります。でも、さすがに体験者を嘘発見器に
かけるわけもいかないですし、そこはいたしかたない。

③ 怪談師が人から聞いた話、つまりまた聞きだが、体験者は
ちゃんといる話。うーん、これも体験者を提示できる点では、
②と同じなので許容される。④ 2ちゃんなど、ネットで拾った
話でも、信憑性があるものは実話として話してもよい。

このあたりから、実話性があやしくなります。ネットの話は
ほとんどが匿名で、体験者が特定できません。さらに、
「信憑性がある」とか判断するのも個人の主観になりますよね。
もし特定できたとしても、自分のように「あ、それ創作です」
とあっさり言われるかもしれません。



⑤ 怪談師その人、あるいはブレーン、作家さんが作った
話でも、実話とつけて語ってもよい。これはもう、何でもあり  
ってことでしょう。でも、①であっても⑤であっても、
検証するすべは、ほとんどの場合、聞き手側にはありません。 

ここまで読まれて、みなさんはどう思われますでしょうか。
必死で体験談を取材して・・・体験談ってのはほんとに
使えないものが多いんです。自分の経験では、誰が聞いても
怖い話なんて、20話取材して1つあるかどうかです。それと、
事務所所属の作家さんが書いた話が、同じ土俵で語られる。

そりゃ、ほとんどは作家さんが書いた話のほうがウケますよね。
作家はプロですから、いかにも本当にあったようなリアリティ
を持った書き方ができますし、わざと辻褄が合わない感じで
書くのも簡単です。特に問題になるのが賞レースだと思います。



その理由はもうおわかりですよね。ですから、賞レースは
漫才などとは違って、怪談の本道ではないと思うんですが、
それにより裾野が広がり、新しい話のパターンも出てくるし、
お金も生むので、無下にも否定はできない。「必要悪」と
表現している怪談師もいますね。

さてさて、もうすぐ制限字数になります。現在、怪談師と
名乗っている人は300人近くおられるようですが、自分で
取材した話のみを語ってる方は、その中でどのくらいなんでしょう。
話のレパートリーを増やすためには、実話のしばりはゆるいほうが
いいですし、聞き手側の問題も大きく、じつに難しい話なんです。