地球の周りをグルグル飛んでいる、スペースデブリ問題が人類の
悩みのタネとなっている昨今。とある小さな人工衛星が、
先端にかえしの付いた銛を使い、疑似宇宙ゴミの破片を捉えました。

宇宙ゴミ除去のための様々な方法を試す衛星プロジェクトの名は
「RemoveDEBRIS」。重さ100kgの衛星で、地球の低軌道を
飛んでいます。声明によれば、これはイギリスにあるサリー大学が
主導し、宇宙企業と研究機関の組合から成り、
一部の資金はEUから来ているとのことです。(ギズモード・ジャパン)


スペースデブリのイメージ
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今回は、科学ニュースからこういうお題でいきたいと思います。
ただ、これだけだとつまらないので、少々オカルト的な話題も混ぜます。
上記のニュースは、「スペースデブリ space debris」を除去するために、
人工衛星が銛を発射して捕らえ、回収するという内容です。

これだけ見れば、たいへんいいことのように思えますが、
ただ、この方法でどのくらいのデブリが回収できるかどうか、
費用対効果の問題もあります。現在、地球の衛星軌道には、
すごい数のスペースデブリが存在しているからです。

デブリ回収用の銛
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まず、スペースデブリとは何か? Wikiによれば、「なんらかの意味がある
活動を行うことなく、地球の衛星軌道上を周回している人工物体のこと」と
なっています。地球軌道上にはもちろん、隕石片などの自然の
物体もあるんですが、それらは、「流星物質」と呼ばれて区別されています。

では、スペースデブリはどうやってできるのか? 衛星打ち上げに
使われた多段ロケット、人工衛星からはがれ落ちた破片、
宇宙飛行士が船外活動で落とした手袋や工具、そしてデブリ同士が衝突して
できる2次的な破片などなど。そういうもので成り立っています。

次に、スペースデブリはどのくらいあるのか? NASAやEUの研究所などが
試算を出していますが、1993年時に、地上のレーダー観測で、
地球軌道上に10cm以上のスペースデブリが約8000個確認されて
いました。それが2017年には、約20000個に増え、
全長1m以上のものも5000個以上あると考えられています。

現在観測されているスペースデブリ
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年々増加しているんですね。ですから、引用ニュースのように、銛を使って
1個1個回収していくのが、はたして効率がいいかはかなりの疑問です。
ただ、上記のサリー大学では、以前にも網を使ってデブリの回収を
試みており、回収方法の開発に研究の主眼がおかれているようです。

網でデブリを回収する計画
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ところで、スペースデブリってどうして危険なんでしょうか?
これはデブリがただ浮いてるのではなく、高速で移動しているからです。
低軌道のものは秒速8kmほど、高軌道でも秒速3kmほどの速度を持っています。
ですから、10cm程度のものでも、宇宙船や人工衛星が衝突すれば、完全に
破壊されてしまいます。小さいものも、戦車用ライフルなみの威力があります。

デブリの中には、大型バスほどの大きさを持つものもあり、
このまま放置しておけば、早ければ30年後には人工衛星が使われなくなる、
とする意見もあるんです。気象衛星や通信衛星が使えなくなっては一大事。
ですから、世界の各国で、スペースデブリの回収が急務である
とする考えは統一されています。

これを受けて、現在、国連では宇宙空間で人工衛星を破壊することを
禁じる決議が採択されていますし、各国とも宇宙ロケット発射時に、
できるだけデブリを出さないような研究をしています。国際宇宙
ステーションでも、宇宙飛行士のウンコなどを船外に排出することをせず、
リサイクルして、すべて地上に持ち帰るようにしてるんですね。

さて、ここからはオカルトの内容に入ります。みなさんは「黒騎士の衛星」
あるいは「ブラックナイト(Black knight)衛星」という言葉を聞かれたことが
あるでしょうか。黒騎士とは、全身の鎧を黒く塗り、
本来は紋章がついているはずの盾も黒塗りにしている
正体不明の騎士のことで、アーサー王伝説にも登場します。

黒騎士の衛星は、約13000年前から地球軌道に存在していると
されるもので、宇宙人が太古に、地球文明の監視のために設置した
ものがまだ動いていると言われることが多いですね。1954年、
アメリカ合衆国の日刊紙が、「アメリカ空軍が、地球を周回する、
謎の衛星の目撃報告を行った」という記事を掲載したのがことの発端です。

UFO研究家 ドナルド・キーホー


これに飛びついたのが、UFO研究家として有名なアメリカの
ドナルド・キーホーという人物です。キーホーは、以前からあった、
冥王星発見者であるクライド・トンボーの自然衛星の研究と
これを結びつけて、「黒騎士の衛星」伝説を作り上げたわけです。
はじめから実体のないものなんですね。

下の画像は、インターネット上に出回っている「黒騎士の衛星」の
画像ですが、じつはこの正体は判明しています。1998年に
打ち上げられたアメリカのスペースシャトルから、誤って船外に発射されて
しまったサーマルブランケット(熱遮断用の布)で、その宇宙空間への
放出の経緯も詳しくわかっています。このブランケットは
燃え尽きてしまったと考えられます。

「黒騎士の衛星」とされる画像
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さてさて、ということで、黒騎士の衛星自体は たわいのない話なんですが、
では、宇宙空間に正体不明の人工衛星がないかというと、これがあるんです。
日本のアマチュア天文家が2002年、赤道上の軌道で、
直径50m以上もある巨大な静止衛星を発見しました。

軍事偵察衛星
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これほど大きいのに、どこにも情報はない。推測では、これはアメリカの極秘
偵察衛星と考えられています。NASAおよびアメリカ軍は、この件について
ノーコメント。今後は中国も対抗して、存在の明らかにされない軍事衛星を
打ち上げてくる可能性もあります。宇宙空間における情報戦争はすでに
始まっているわけですね。では、今回はこのへんで。