bigbossmanです。自分は占星術の他に副業として映画や洋楽についての
原稿なども書いてるんですが、そのほうの関係で、アメリカ人の
牧師さんと知り合いになりました。お互いにジャーニーというアメリカの
バンドのファンであり意気投合したんです。この人にこれまでの怪奇体験に
ついてインタビューしました。場所は大阪のホテルの和食レストラン
です。英語と日本語のちゃんぽんで話したので、間違っている部分も
あるかもしれません。「やあ、久しぶりです。今日はあらためて、
これまで出会った奇妙な出来事についてお聞かせください」 「うーん、
キリスト教の牧師としてそんなのはない、と言えば理想的なんでしょうが、
まあいくつかはありますよ」「ぜひお聞かせください。匿名ですから
ご心配なく」 「じゃあ、そうですね、あれはまだ私が教区の担当だった

ときのことです。そこの地区は主に家畜の飼料にするトウモロコシが特産で、
そのあたりの収穫物を粉にする工場がありました」 「ああ、日本の
農協みたいなとこですね」 「その大規模なものです。それでね、コーンを
乾燥させる機械があって、そこに誤って作業員が一人落ちちゃったんです」
「うわあ、粉砕されたんでですか」 「いや、機械はすぐに止められたんですが、
何万粒といいうコーンの下敷きになって窒息死しちゃったんです。死体は
引き上げられたんですが、すごく苦しんだ形相で、手もこうやって虚空を
つかむような感じで」 「それで?」 「でね、それからその機械にコーンを
入れるたびに中央部分が崩れるようになった。まあ、コーンが減れば崩れては
いくんですが、ふつうはアリジゴクの巣みたいな逆円錐形になりますよね。
それが苦しんでいる人の顔に見える。崩れた形が」 「うわあ」
 
「それでね、私に依頼が来たんですが、プロテスタントはカトリックとは
違って悪魔祓いのようなことは一般的ではない。困りました」
「どうしたんですか?」 「ええ、考えたすえに聖書のページをちぎって、
コーン粒大に丸めたのをその顔に見える空間に入れてやったんです」
「うまくいったんですか」 「残念ながら顔は消えませんでした。多少、
輪郭はあいまいになりましたがね」 「それで?」 「その亡くなった
作業員には2人の子どもがいて、姉が日本でいえば中学生、弟は小学生
だったんです」 「はい」 「その子らに、聖書の余白に亡き父親への
手紙・・・メッセージを書いてもらって、やはりコーン粒大に丸め、
できた人型のくぼみに埋めたら・・・今度は消えてくれたんです」
「はあー、すごいお話ですね」 「ええまあ、その人が

もともと熱心なキリスト教徒だったから上手くいったんでしょう。
私の力が優れてたわけじゃない」 「いや、ご謙遜を・・・
他にはどんなことが?」 「これは私がボストンに出てきたときの
話です」 「はい」 「ご存知のとおりボストンは大都市で、非常に
家賃が高価い」 「そうですね」 「ですから、地方から出てきた
学生なんかは2人以上で1つの部屋を借りてルームシェアすることが
多いんです」 「アメリカではその手の都市伝説が多いですね」
「ええ、でね、女の子2人でルームシェアしていたんですが、
そのうちの一人が急な病気で亡くなった。まだ二十歳前でした」
「はい」 「でね、残された子は急遽新たなルームメイトを
募って、その間一人で住んでいたわけですが、部屋には一人なのに

どうも人の気配がする。外出して戻ってくると、ものの配置が
微妙に違ってたりする」 「うーん、どうされました?」
「依頼を受けて、まずは部屋を変えたらどうかと言ったんですが、
そこは大学にも近いしそうはしたくないと。それで、一晩
その部屋に泊まり込んで神に祈りを捧げたんです」 「その子は」
「普通に過ごしてもらってました。それでね、夜中の2時ころですね。
その子はベッドで横になっていましたが、私は椅子にかけて
お祈りをしていたんです。そしたらその子がうなされ始め・・・」
「それで」 「ベッドの下から白い手が出てきて、寝ている子の
腕をつかんだんです」 「どうしたんですか?」

「とっさにね、出てきた腕に首からかけていた十字架を押しあてた
んです。そしたら、腕はその部分だけ溶けたようになり、
消えたんですよ」 「ふうむ、十字架が役にたったわけですか」 
「わかりませんが、私の父も牧師で、その十字架は父から
受け継いだものです。それからは、その部屋ではおかしなことは
起きなくなったようです」 「なるほどねえ。いや、不謹慎なことを
言うようですが、自分なんかは女の子と2人きりで部屋で過ごすのは
別の意味で怖いですよ。他には何かありますでしょうか?」
「日本に来てからのことでもかまいませんか」
「もちろんです。日本にも幽霊はいましたか? アメリカの幽霊と

何か違いがありますか?」 「そうですね。私は日本に来て、日本には
たくさんのシュラインがありますよね」 「神社のことですね」
「そこの神主さんたちともよく話をしたもんです。キリスト教と
神道の違いはあっても、何か共通するところがあるんじゃないかと」
「それで」 「神社に行くと空気が違っていますね。夏に行けば
涼しい感じがするし、冬は逆に暖かい感じがする」 「で?」
「それでね、神社にいると、参拝客の中に妙な人が何人かいることに
気がついたんです」 「妙な人?」 「ええ、あきらかにふつうの
人とは違ったものです。それは全体的に薄かったり、
中には大きなケガをしていて、頭から血を流していたり、内臓が

はみ出してそれを地面に引きずってる人もいました」 
「それで」 「おそらくそれは生きた人間じゃなかったんでしょう。
神社に救いを求めてやってきたんじゃないかと思いました。でね、
そういうものたちの8割くらいは、神社の鳥居をくぐった瞬間に
消えるんです」 「残りは?」 「ええ、ほら神社って神主さんが
社殿でお祓いをしていますでしょう。社殿に上がってそうした人たちの
後ろに並ぶと・・・それだけですべてが消えましたね。たいした
ものだと思いましたよ」 「ははあ。ところで、こちらで牧師さんも
死者を消したりできたものですか」
「いやそれが、まったく上手くはいきませんでした。私が十字架を

つきつけて聖句を唱えても、何だこいつって感じでこちらを
見て」 「ははあ、まあそうでしょうね。いや、これは牧師さんに
力がないということではなく、日本人にはキリスト教徒はほとんど
いないし、そのせいが大きいんじゃないでしょうか」
「ええ、私もそう思いました。やはりその土地、土地の信仰が
一番強いのだろうと。まあ、こんなところです」
「なるほど、今日は貴重なお話ありがとうございました」 「私たち
の仕事はあくまで布教とチャリテイで、本来除霊は専門外ですしね」
「いや、今日は本当にどうもありがとうございました。

日本滞在を楽しんでいってください」