Googleが開発した肺がん検診AIと放射線科の医師6人が、CT画像を読影し、
比較する実験が行われました。その結果、AIは医師に比べて偽陽性を11%
減らしながら、がんを5%多く診断しました。人間が自然に行うタスクを
コンピューターに学習させるという機械学習の手法の一つである
ディープラーニングが進歩し、画像認識の分野において、

AIは人間の認識能力を超えたと言われています。
今後はCTだけでなく、レントゲン画像やMRI検査にも応用されるのでは
ないでしょうか。また、画像分野だけではなく、医療診断や治療選択分野での
研究開発も加速しています。学習や経験による能力で、
AIが医師を上回るのは時間の問題だと思われます。(JIJI.com)


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今回は科学ニュースからこういうお題でいきます。うーん、まあ以前から
予想されてたことですが、画像診断の結果が、人間の医師よりも
AIのほうが成績がよかったという内容です。
でもこれ、考えてみれば当然という気がします。

人間は目に頼って画像を見ますが、機械の目ほど正確ではありません。
部屋が暗かったり、いつもと違うコンピュータに画像をあげたりなど、
外部環境の影響を受けます。まず感覚器官の違いがあるんですね。
次に、人間には体調のよし悪しがあります。忙しくて疲れていたり、
心に気にかかることがあれば、持っている能力を発揮できません。

それに対し、AIはつねに安定して力を発揮することができます。
また、記憶力もそうです。人間の医師は、いくらベテランでも
過去のデータすべてを覚えてるなんてことはないですよね。
それに対し、AIは過去データが全部内部に入っていて、
必要ならば瞬時に取り出して参照することができます。

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これは勝負にならないと思います。では、将来的に人間の医師は
必要なくなるんでしょうか。自分の考えを述べると、
完全になくなることはないでしょうが、
医師の数は大きく減るんじゃないかと思います。

さて、医学は大きく予防・診断・治療に分かれますが、
今回は予防についてはパスして、診断と治療を取り上げて考えて
みましょう。上記のように、画像診断に関してはAIのほうが上です。
おそらく近い将来には、CTやMRI装置自体にAIが
組み込まれ、撮影と診断が同時に行われるようになるんでしょう。

では、問診はどうでしょうか。AIには問診から病気を診断するのは
できないだろうと思われるかもしれませんが、じつはアメリカでは
すでにAIによる問診が始まっていて、データを入力すれば
病名を出してきますが、やはり人間よりも正確だったという結果が
どんどん発表されているんです。



データを打ち込むのはべつに医師でなくてもできますし、
これも将来的には、患者が会話できる場合は、AIとの音声による
直接対話が可能になるだろうと思います。こう書くと、
人間には積み重ねた経験があると言われる方もいるかと思います。

たしかに、過去の経験は大きく役に立ちますが、逆に、かえって
経験が先入観となって判断を誤るケースもあるんですよね。
よく精査しないまま、手拍子で結論に飛びついてしまったりとか。
みなさんも仕事上でそういうことはありませんでしたか。

AIの場合、与えられたデータのみから患者を冷静に診断するため、
人間ならではの先入観や勘違いに起因する誤診をなくすことができ
ると考えられています。あとは、AIが診断をした場合、
もし誤診があったときに責任が取れないとする議論があります。
自動運転の場合とよく似ていますね。

AIはもちろん責任は取れません。そのため誰かしら管理者を置く必要があり、
CT画像を読む場合、当面は放射線科医がそれを最終判断するという
形になるでしょう。でも、じゃあもしAIが癌を見逃した場合、
その放射線医の責任になってしまうんでしょうか。

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これはおかしいですよね。AIは人間よりも能力が高いんだから、
AIが見逃した癌は、人間では読み取れないほどの微妙なものである
ケースがほとんどでしょう。AIも人間も読み取れないものに対して、
責任ってあるものでしょうか。その放射線医の責任にはできませんよ。

もしそういう見逃しがあった場合、謝罪は病院として院長が行う。
また賠償は保険から支払われるとか、そういう形になっていくと
自分は思います。次に、治療のほうを考えてみましょう。
内科的な治療に関してはAIの独壇場になるんじゃないかな。
例えば癌の場合、組織片を機械に入れると、

たちまち遺伝子変異を解析して「最適な薬はこれです」という答えが出る
ようになると思います。これは血液、尿検査などでも同じです。
外科の場合はどうでしょうか。今、ダヴィンチ手術という機械を
用いた手術が行われてますよね。かなり高価な機械ですが、
10年以内には価格はこなれ、普及が進むと考えられています。

医療支援ロボット ダヴィンチ
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いくら名人外科医と言われる人でも、ミリ単位の手術は難しいんですが、
ダヴィンチならそれもできます。ただ、今のところAIには、
肉眼では癌は見えないが、転移してる可能性があるから
周囲の組織や臓器も削っておこう、みたいな判断はできません。

ですから、手術を監修する外科医は必要なんですが、これも将来的には
AIが自己判断でできるようになると思います。また、微小な癌細胞が
ある場合は薬剤で光らせるなどの技術も出てくるでしょうし、
さまざまな面からの統合的な治療が行われるようになると考えられます。
さて、では医師と患者の心のつながりという点ではどうでしょうか。

AIは機械ですので感情がありません。やはり主治医がいて、
心のケアや励ましをしてほしい。でも、それは医師の資格がなくても
いいんじゃないでしょうか。心理カウンセラーなどでもできますよね。
アメリカの病院は院内に礼拝堂があるところも多く、
患者が要望すればすぐに牧師さんが来てくれます。

アメリカの病院内にある簡易チャペル もっと立派な施設も多い
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さてさて、ということで、どのくらいのスパンかはわかりませんが、
将来的には医師は大きく数を減らすと思います。2025年には
団塊の世代が平均75歳を迎え(いわゆる2025年問題)、
それから10年以内に人口減少が加速化し、

病院にかかる患者数も大きく減っていくと考えられます。
ただ、看護師さんの仕事がなくなるということは
ないでしょう。自分が長期入院していたときも、優しい看護師さんは
闘病の励みになりましたからね。では、今回はこのへんで。