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今回はこういうお題でいきます。古神道の内容なんですが、
これもどこまでが本当なのかよくわからず、語りにくい
話ではあります。さて、十種神宝(じゅっしゅしんぽう)は
ご存知でしょうか。簡単に言うと、古代から物部氏に

伝わる10種類の秘宝で、その力は日本の国全体におよび、
また、死者を蘇生することさえできると言われます。
邇芸速日命(にぎはやひのみこと)が天照大神から手渡され、
天磐船に乗って河内国(大阪府交野市)の河上の地に天降り、
その後大和国に移ったとされています。

また、邇芸速日命は大和地方の豪族である那賀須泥毘古
(ナガスネヒコ)を、『古事記』では服属させた、
『日本書紀』では殺したとなっています。饒速日命は
那賀須泥毘古の妹との間に子どもをもうけ、それが物部連、
穂積臣、采女臣の祖となった。

十種神宝   クリックで拡大できます

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そして十種神宝は物部氏代々の当主に伝えられた。基礎知識
としては、だいたいこんな話です。『日本書紀』は、
書かれた際、当時の有力豪族を天津神として持ち上げて
いるので、これもその一環と考えてもいいと思います。
有力豪族は天孫とともに日本の地に降り立った。

ただし、みなさんが歴史の教科書で勉強したとおり、
物部氏は蘇我氏と、仏教を崇拝するかどうかで対立し、
用明天皇の治世の587年、蘇我氏連合軍は物部守屋の館に
攻め込み、これを誅殺しています。ここから、物部氏の
守屋宗家は没落しましたが、

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後に物部氏から改めた石上氏が、朝廷内で復権を果たし、
全国の物部氏系の国造は何事もなく続きました。また、
石上氏はかなり古い時代に、奈良県天理市布留町にある
石上神宮を創設しており、ここには十種神宝の
一部が収められていると伝えられます。

さて、十種神宝とは、具体的に、沖津鏡(おきつかがみ)
辺津鏡(へつかがみ)、八握剣(やつかのつるぎ)
生玉(いくたま)、死返玉(まかるかへしのたま)足玉(たるたま)
道返玉(ちかへしのたま)、蛇比礼(おろちのひれ)
蜂比礼(はちのひれ)、品物之比礼(くさぐさのもののひれ)


八握剣のイメージ ヤマタノオロチを殺した剣とも


分類すると、鏡2面、剣1振、玉4種、比礼(ひれ)3種に
なります。ひれとは、女性が首に結ばずにかけ、左右から
同じ長さで前にたらす細長い布です。これらの十種の神宝の
一つ一つがそのような力を持っているかは、
諸説があってはっきりしません。

では、これらをどのように使うのか。詳細はわかりませんが、
石上神宮に伝わっている鎮魂行法を行なう際には、
「十種祓詞」(とくさのはらえことば)という祝詞が、
必ず奏上されることになっています。

ニギハヤヒはニニギノミコトとは別系統の天孫降臨
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上に全文をあげておきますので、興味を持たれた方は     
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この中で、「一二三四五六七八九十と唱へつつ 
布留部由良由良と布留部」の部分が呪文として有名ですね。

読み方は「ひと ふた み よ いつ む なな や ここの たり
ふるへ ゆらゆらと ふるへ」
 これを唱えれば死者を
蘇生されると言われますが、祓詞にあるとおり、要は
そのくらい力を持った呪言だということでしょう。

物部守屋
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ただし、十種神宝がない状態でこれを唱えてもほとんど
効果はないでしょうし、物部氏の末裔でなければ、行っても
意味がないともされます。ですから、意外に使えないもの
なんですね。では、使い方はどうするかというと、

ひれを伸ばして張り(あるいは別の縄などを張り)、十種神宝を
吊り下げてゆらゆらと震わせる。このときに祝詞を唱える
わけですが、じつは十種神宝は散逸し、残念なことに、
失われてしまっています。石上神宮の祭神である布留御魂神
だけは十種神宝の一つであるとも言われますね。



また、眉唾な話ですが、大阪市平野区喜連6丁目にある
式内楯原神社内の神寶十種之宮に、偶然、町の古道具屋で
発見されたという十種神宝が祀られていて、石上神宮側から
返還要請があったにもかかわらず、返していないとされます。

まあねえ、古道具屋で発見とか、いかにもありえない話で、
そもそもそんな古代のひれ(布)が現在も保存されているとは
思えないですよね。あと、秋田県大仙市の唐松神社には、
古史古伝のひとつである『物部文書』とともに、奥津鏡、辺津鏡、
十握の剣、生玉、足玉とされる物が所蔵されているとも言われます。

さてさて、ということで、物部の十種神宝について見てきました。
この手のものは漫画や小説などの創作の小道具として使用される
ことが多いんですが、これはあまり使われていないので、
みなさんが何かお書きになるときの参考にされてもよいかも
しれません。では、今回はこのへんで。