第1問 「走っている電車の中で真上にジャンプすれば元の場所に落ちます。    

では、走っている電車の屋根の上でジャンプすればどうなるでしょう?」



これ、ネットでよく見かける問題ですよね。答えは、
「その他の条件をいっさい考慮しないとすれば、元の場所に落ちる」です。
時速60kmで走っている電車の乗っているあなたは、
やはり時速60kmで進行方向に向かって動いているんです。

これはあなたが立っていても座っていても、ジャンプして空中にいても
同じです。電車の中でも屋根の上でも、同様に慣性の法則が働いています。
地球は公転・自転していて、電車とは比べ物にならない速さで
動いているのですが、ジャンプすると元の場所に落ちますよね。

ただ、電車の中と屋根の上で違いがあるように感じるのは、
屋根の上だと風があるからでしょうね。電車の中は壁でおおわれて
いるため、中の空気も電車と同じ時速60kmで動いています。
ところが電車の屋根の上はそうではありません。
時速60kmは、だいたい秒速17mになります。

秒速17mの風が電車の進行方向とは逆向きに吹いているわけですが、
これ、台風なみの暴風ですよね。ですから、電車の進行方向を向いて
ジャンプすれば、あなたは向かい風によって後ろに押し戻される
ことになります。また、電車の進行方向とは逆を向いてジャンプすれば、
追い風によって前に吹き出されることになります。



あと、元の場所に落ちるのは、電車が等速運動(同じスピード)してる場合に
限ります。もしも、60kmで走っている電車の中であなたがジャンプした瞬間、
電車が急に70kmにスピードを上げたらどうなるでしょう。まあ一瞬のうちに
10kmもスピードを上げるのは無理なのですが、そこは思考実験。

この場合、あなたは60kmの速さで空中にいるのに、
電車(の床)は70kmで動くため、あなたはジャンプした地点より
後ろに落ちます。逆に、あなたがジャンプした瞬間に電車が急停止すると、
あなたは前につんのめっていくことになるでしょう。

また、電車がカーブを走っているとか、
起伏のある地面を走っているとかの加速度運動をしている場合、
落ちる位置は飛び上がった位置と微妙に違ってくると思われます。

第2問 「赤い絵の具がチューブに入っていてフタが閉まっています。

では、この絵の具は何色でしょう?」

答えは黒ですが・・・この問題は反則です。なぜかというと、
フタが閉まったチューブの中は誰も見ることができないからです。
中を見るためには、光をあてなくてはなりません。
そして中の絵の具は、光をあてたとたんに黒から赤に
変わるんです。なんだか魔法みたいですね。

キャプチャ

物には色はない、という考え方があります。では何に色があるかというと、
それは光です。光の色は?と聞くと、無色透明とか答えが帰ってきますが、
虹は7色ですよね。また光をプリズムに通すと7色にわかれます。
つまり光はこの7色が混ざって無色透明になっていると考えてください。

で、物の表面は電子顕微鏡で見れば分子レベルの凸凹があります。
その凸凹はある光を吸収し、ある光は反射します。
赤い絵の具は、赤い色を反射し、それ以外の光は吸収してしまいます。
そして反射した赤い光があなたの目に届いて、
絵の具が赤く見えるというわけなんです。

では、光にはほんとうに色があるんでしょうか。
ここは難しいところです。色は心理物理量と言われています。
例えば、あなたの目の前にパソコンがあったとして、
その重さや縦横の長さは物理量です。それに対し、

あなたのパソコンのデスクトップの壁紙の色は心理物理量に
なるんですね。これ、どこが違うんでしょうか。
それは、色というのはあなたの脳の中で作られているからです。
可視光線には波長があります。これは物理量です。

虹の色の紫は波長が短く、それより短くなると紫外線と呼ばれ
人間には見えません。赤は波長が長く、もっと長くなると
赤外線と呼ばれて、やはり人間には見えません。
(紫外線の領域が見える生物は多数います)

で、みなさんはある波長の光を目にすると、視神経から
その光を取り入れて、脳の中で赤とか青とかの色を
感じとっているんですね。ですから、
色はあなたの脳が作っている心理的なものとも言えるわけです。



ちょっと前に「人によって色が違って見えるドレス」というのが
話題になりました。下に画像を貼っておきますが、これが見る人によって、
「白と金」  「青と黒」に見えると意見が分かれたんです。
それ以外の見え方をしたという人もいます。

なぜこれが起きるかというと、見る人の脳の中で、
ドレスのまわりの光環境をその人なりに解釈して、色の補正を行って
しまったからです。ちなみに、自分には白と金に見えます。これなんか、
色が人間の脳内でつくられていることの、わかりやすい例だと思います。



「後ろから強い光が射していてドレスとカメラはその影に入っている」と
認識した人は、より明るく補正してドレスを見るので「白と金」に見え、
「部屋全体が明るくてドレスとカメラも明るい場所にある」と認識した人は、
より暗く補正してドレスを見るので「青と黒」に見える、
ということなんだそうです。

ちなみに下の図の長方形で囲まれた部分、同じ色のシャツに
見えますか?自分はどうやっても見えません・・・
ですが、これをフォトショップに取り込んで色スポイトで確認すると、
たしかに、まったく同じ色なんですよねえ・・・チョー不思議です。



※ 間違いがあればご指摘ください。