米ノースカロライナ州で今月9日、「地球は平ら国際会議」初の年次総会が開かれた。
地球は球形ではなく、丸くて平らな円形だと信じる数百人が参加した。(yahoo news)


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短い記事ですが、今日はこれを取り上げてみます。
このように、地球は球ではなく平らな円盤だと考える説を、
地球平面説(Flat Earth Theory)といいます。
これ、世界の古代の文明では、そう考えてたところが多いんですよね。

日本も『古事記』や『日本書紀』をみれば、この世界は水の中に浮いている
島のような形で考えられていたようです。ただし、古代ギリシアでは
天文学の発達により、紀元前4世紀ころ、アリストテレスあたりから
地球球体説が広まり始めます。今は経済破綻がいろいろ
言われていますが、古代のギリシア人はすごかったんですね。

余談ですが、「コロンブスが世界一周の航海に出て、
地球が球体であることを証明した」という逸話は嘘です。コロンブスのころ、
15世紀のヨーロッパでは、知識人の間では、地球は球体である
という説がすでに一般的になっていました。

ですから、話を面白くするためにつくられたものなんですね。
また、地球平面説はよく、天動説ー地動説と混同されるんですが、
それとはまったく別の話です。地球は球体と考えても、天動説をとることに
特に問題は生じていなかったようです。

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この地球平面説を支持する団体が、地球平面協会(Flat Earth Society)で、
1956年にイギリス人のサミュエル・シェーントンという人が立ち上げ

たんですが、いったん休眠状態になり、最近、ダニエル・シェーントン
(上記のシェーントンとは血縁ではない)が新会長となって復活しました。

協会の話では、地球平面説を支持する人はだんだん増加しており、
今後も活発に活動していくつもりだということです。
うーん、でもこれ、どうなんでしょうねえ。地球平面説を支持すると
表明している人の中に、ガチで本気の人はどのくらいいるのか?

ジョークとして参加してる人が多いんじゃないかという気がするんですけども。
まあ、それはともかく、協会の主張の大筋をまとめたのがこれです。

① 地球は平面、かつ円盤状である ② 円盤の中心は北極である。
③ 円盤の周囲はぐるりと氷の壁で縁取られており、これが南極である。
④ 太陽と月の直径はともに51kmほどであり、約4,800km上空の天球上を
  24時間周期で移動している。(その他の星は約5,000km

    上空を移動している)

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⑤ 重力は幻覚。自由落下運動の加速度(g=9,8m/s2)は誤りであり、
  実際は地球がその速さで上昇している。
 (原因は不明だが、おそらく謎の「暗黒エネルギー」によるもの)
⑥ 地面の下に何があるのかは不明、しかしおそらく岩で構成されている。

⑦ 衛星写真などで見る丸い地球は、すべて加工されたもの。
  NASAや政府などの陰謀により、地球は球体と信じ込まされている。
⑧ 南極で自由に活動できない理由は、円盤の縁から人間が落下する
 事故を防ぐため。 ⑨ 国連旗は、地球が平面であることを暗に示すものである。

国連旗


あと、現在、地球球体説が一般的になっているのは、
フリーメーソンやイルミナティの陰謀である、という話もあるようです。
でも、もし陰謀だとしたら何のためにやってるのか疑問ですよね。
この主張をそれぞれみていくと、

④の太陽と月の直径が同じくらいだというのは、
地球からの見た目がほぼ同じ大きさだからなんでしょうね。
平面説では地球の自転を否定しているので、太陽と月は地球から
等距離にあって、同じように動いてないとマズいわけです。

⑤は面白いですねえ。地球球体説では、重力がないと人はパラパラ
地球から落ちていってしまうわけですが、平面説では落ちることはありません。
そして、たしかにリンゴが木から離れたとき、平面の地球が
重力と同じ加速度で上昇しているのなら、重力があるのと
見た目は同じ現象になりますよね。よく考えたなあと思います。

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ただし、これだとこの宇宙には上下の区別があることになってしまいます。
地球球体説だと、とくに宇宙に上下を設定する理由はありません。
ただ便宜上、地球儀は北極を上にしているだけのことです。(ここでちょっと
疑問に思ったので、南半球の地球儀はどうなっているか検索してみました。
これは北半球と同じで、南極を上にしているということはないようです)

⑦は、地球が球体であると人々に信じ込ませるために、
NASAが積極的に加工した写真をばらまいているという主張です。
また、アメリカのアポロ計画による人類の月着陸は、
すべてスタジオ撮影されたフェイクなのだとされています。

⑧は、南極の氷を突破していけば、平面の地球の端に出られることに
なるわけですが、地球平面協会では、南極に調査隊を派遣して、
そのあたりを明らかにしようとする計画が立てられているんだそうです。
あと、地球が球体である証拠は、オーロラとか白夜とか船のマストとか、
いくらでもあるわけですが、それらの一つ一つに、
(かなり無理な)反論が用意されているようです。

さてさて、これがオカルト分野に入るのかわかりませんが、
自分はこういうのはけっこう好きです。おそらく、偏屈ではあるものの、
ユニークで楽しい人たちが参加しているんだと思いますよ。
ということで、今回はこのへんで。