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スウェーデン王立科学アカデミーは5日、2021年の
ノーベル物理学賞を真鍋淑郎・米プリンストン大上席研究員、
クラウス・ハッスルマン氏、ジョルジョ・パリージ氏の3氏に
授与すると発表した。授賞理由は「複雑な物理システムの理解への
画期的な貢献」。真鍋氏は、コンピューターで地球の気候を
再現する「気候モデル」の手法を確立した。(毎日新聞)


今回は科学ニュースから、こういうお題でいきます。今回の
ノーベル物理学賞は意外な結果となりました。地球物理学
(気候学・気象学)分野からの初めての受賞になります。
ノーベル賞は欧米では誰が受賞するか賭けの対象になって
るんですが、これを当てることができた人は少ないでしょう。

というか、向こうのブックメーカーの候補にも入ってなかったん
じゃないかな。さて、何から書いていきましょうか。これまでの
ノーベル物理学賞は、宇宙論と量子論が2本の柱になっていて、
毎年交互に受賞してきていたんですが、昨年、一昨年と
2年続けて宇宙分野となり、今回は量子論と予想する人が多かった。

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それが地球物理学分野ですから、当然、驚きがありました。
ただ、自分は、もしかしたらそんなこともあるんじゃないかとは
思ってました。というのは、昨年、こんなニュースがあったからです。
「ノーベル賞受賞者はたった5つの分野に集中」米研究者が偏りを指摘。

アメリカ、スタンフォード大学の研究チームは、過去に、
ノーベル賞を受賞した研究内容を分析したところ、研究テーマに
大きな偏りがあったとする調査報告を発表したんです。114の
科学分野のうち、素粒子物理学、細胞生物学、原子物理学、
神経科学、分子科学という5つの分野で、半数以上を占めている。

真鍋淑郎教授
キャプチャ

これは医学・生理学賞、化学賞も含めての話ですから、物理学では
素粒子物理学、原子物理学ということになります。上記したように、
地球物理学の分野、気象学や地震学、地質学の受賞は一度もなかった。
ご存知のように、これらは複雑系と言われる内容を多分に含みます。

複雑系とは、「数多くの要素で構成され、それぞれの要素が
相互かつ複雑に絡み合った系またはシステム。 脳、生命現象、
生態系、気象現象のほか、人間社会そのものがあげられる」
これはネット辞書、コトバンクでの定義ですが、

グレータ・トゥーンベリさん
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「北京でチョウが羽ばたくとニューヨークに嵐が起きる」
という例えが示すとおり、非線形のために数式が立てにくい。
ですから、遅々として研究が進展しないことが多いんです。
逆に、数式が立てられる分野は急速に発展します。宇宙論なら
アインシュタイン方程式、量子論なら波動関数。

ただ、複雑系の分野でも、ある理論が正しいかどうかは、
長い年月をかけて証明されることがあります。今回受賞された
真鍋教授の研究は、1960年代に初期のコンピュータを
用いて長期の気候変動モデルを構築したこと。
そのアルゴリズムはじつにシンプルなものでしたが、

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予測したとおりに大気中のCO2濃度は増えている。そこで    
理論が証明されたとして受賞になったわけですが、なんと
60年もかかってるんですね。真鍋教授は御年90歳と
いうことで、ひじょうにお元気な様子でしたが、
受賞しないまま亡くなる可能性は多分にあったでしょう。

ご本人も、気候分野での受賞に驚きを述べられていました。
あと、地球温暖化に関心が集まっている現状も考慮された
のでしょう。ノーベル平和賞で、スウェーデンの環境活動家、
グレータ・トゥーンベリさんが候補にあげられていたこととも
おそらく関係があるんだろうと思います。

ただ、複雑系の学問が賞の対象になりにくいというのは、
あくまでも物理学賞にかぎった話で、医学・生理学、経済学は
複雑系の学問と言っていいと思います。特に経済学賞では、
過去に受賞した理論が現在は通用しなくなってるものも
いくつもありますよね。

じつにシンプルな計算システムですが、当時のコンピュータの性能を考えれば・・・
複雑系では、入力要素を増やさないのも一つの手法です。

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さて、真鍋教授はアメリカ国籍です。「自分のやりたい研究が
日本ではできないのでアメリカに渡った」と述べられてましたが、
まあこれはそうでしょう。1950年代当時は、気象専用の
コンピュータは気象庁にあるくらいで、東大であっても
研究者が自由にコンピュータを使うのは難しかった。

また、「私はまわりと協調して生きることができない。それが
日本に帰りたくない理由の一つです」とも述べられていて、
1997に、要請を受けて約40年ぶりに日本に帰国し、
役職についたものの、4年後のに再渡米して現在に至ることを
おっしゃっているんでしょう。

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官僚との軋轢があって嫌気がさしたとも言われていますね。
ただ、これは日本だけの話ではなく、国立機関での研究が
行政によって影響されるのは、ほとんどの国でそうでしょう。
国民の税金が研究費となっているわけですから。

アメリカが飛び抜けて自由なんですね。というのは、
大学の研究費で、卒業生からの寄付が大きな部分を占めている
からです。寄付すれば税制上の優遇措置も受けられます。
それだけが理由ではありませんが、自由な研究ができ、
アメリカのノーベル賞の数は世界でも飛び抜けて多い。

さてさて、受賞対象となったもう一つの研究にふれるところまで
いきませんでした。来年の物理学賞は量子論の分野になるのか。
興味深く見ていきたいと思います。なにはともあれ、真鍋教授、
おめでとうございました。では、今回はこのへんで。