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今回はこういうお題でいきます。まずは酒についての
概論から。酒には大きく分けて、醸造酒と蒸留酒が
ありますよね。ワインや日本酒は醸造酒で、ウイスキーや
ジンは蒸留酒。このうち、蒸留の技術は難しく、歴史的に
醸造酒が先にあったのは間違いないでしょう。

一説には、世界ではじめての酒は蜂蜜酒で、狩人が
クマなどに荒らされて破損した蜂の巣に溜まっている雨水を
飲んだことが始まりとも言われます。うーん、どうでしょう。
醸造酒は糖分を含んだものならだいたい何でも原料となり、
果実やイモ類、穀類などがそうです。

さて、日本での酒造の始まりはよくわかってないんですが、
神話に出てきますよね。記紀のヤマタノオロチの逸話が
有名です。櫛名田姫がオロチの生贄にされるため、
老いた両親が泣いているところにやってきた素戔嗚命が、

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オロチが酒を飲んで酔っぱらったところを倒そうと計略を
立てる。このとき、『日本書紀』ではこの酒を「八醞酒」と
書いています。意味がわからないですね。この時代、さすがに
蒸留の技術はなかったので、8回醸した酒ということなのか。
『古事記』では、「八塩折之酒」と出てきていて、

塩とはもろみのことでしょう。八はおそらく何度ももろみを
搾って大量に作ったということか?で、『日本書紀』の
「一書に曰く」(別の言い伝えを示す)のところに「衆菓釀 」
とあり、原料は果実なのかもしれません。山ブドウとか、
そういう類をたくさん集めた。

御神酒


それらを噛んで唾液を混ぜ、しばらくたつと酒になります。
まあ、このあたりのことは伝承なので、もう少し
信憑性のありそうな資料をさぐると、『三国志』魏志倭人伝に、
「(葬儀で家族以外の)他人は歌い踊って酒を飲む」
という記述があり、これが日本のことなら、

3世紀には飲酒の習慣があったようです。
日本の酒の神というと、大神神社の御祭神である大物主神が、
知られています。『日本書紀』に、国内で疫病が流行ったとき、
崇神天皇が夢のお告げにより、酒をつくって大物主神に奉納
したところ、おさまったという記述があります。

あと、京都嵐山の松尾大社も酒の神として知られていますね。
渡来人系の秦氏によって勧請されたと言われ、
御祭神は大山咋神(おおやまぐいのかみ)と中津島姫命
(なかつしまひめのみこと)で、境内には各地の醸造家が
奉納した多くの酒樽が積まれています。

大神神社
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さて、神道のお神酒は正式には4種であると『延喜式』に
出てきます。白酒(しろき)、黒酒(くろき)、清酒(すみざけ)、
濁酒(にごりざけ)で、白酒は醸造した酒を軽くしぼったもの。
黒酒は常山木(くさぎ)の根の焼灰を加えて黒く着色した
ものですが、最近は黒ゴマなどで代用されているようです。

この4酒をそろえるのは大変なので、伊勢神宮などの位が高い   
神社以外は、清酒と濁酒(どぶろく)で代用されることが
多いようです。いつの頃からかわかりませんが、米が
重要視されるようになり、果実酒にとって代わったんでしょう。

松尾大社
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さて、では、このあたりで西洋に目を向けると、酒の神では、
最も有名なのはバッカスでしょう。ローマ神話の神で、
たしかバッカスというチョコレートがあったような。
今もあるんでしょうかね。それはともかく、

これはもともと、ギリシア神話のディオニューソスで、
豊穣とブドウ酒と酩酊の神です。ディオニューソスは
太陽神のゼウスと人間の間に生まれた子どもで、母親は
ゼウスが誤って出した炎に焼かれ、残った子宮から
バッカスが生まれたんです。

ディオニューソス
きうふ

ディオニューソスはぶどう栽培とワイン造りを
伝えるため各国を放浪し、魔術や呪術を使って信者を
獲得していきました。これはワイン造りが広まっていった
ことを寓意化しているとみられます。それと興味深いのは、

神であっても信者がいないと、そうとは認められないこと。
あと、ディオニューソスは酩酊と混乱の神でもあるので、
その神話は人間が殺し殺される、ひじょうに血なまぐさい
ものが多いことです。興味を持たれた方は、
調べてみてください。

杜康


最後に、中国はどうでしょうか。酒をはじめてつくったと
される杜康(とこう)という人がいますね。神人と言えば
いいのかな。弁当の飯が半月後に発酵したことから、酒づくりを
考えついたという逸話が残っています。日本で酒をつくる人
である「杜氏」も、この杜康からきているとも言われます。

さてさて、ということで、酒のオカルトについてみてきました。
まだまだ書くことがあって、古代エジプトとビールとか、
面白い話がいろいろ出てきます。またいつか機会もあるでしょう。
では、今回はこのへんで。