今回は超ひさびさにUMA談義です。自分はオカルトのジャンルの中では、
UMA(未確認生物)が一番好きなんですが、なかなか書く機会がないんですよね。
さて、下の画像をご覧ください。これ、オカルト好きの方は一度は
どこかで見かけられたことがあるんじゃないでしょうか。
通称「テコルートラの怪物」と言います。1969年、メキシコ、
ベラクルス州のテコルートラと呼ばれる町の海岸で発見されました。
漂着してから何週間かたっており、かなり腐敗が進んで、
あちこちの骨がむき出しになり、なかば砂に埋れていたそうです。
特徴としては、推定体長が22~26m、幅6m.体重24トン、
頭の重さだけで1トンあり、なんと3mを超す長さのクチバシがついていた。
クチバシの重さは600kg。体は硬い皮でおおわれ、羊毛のような毛があった。
テコルートラの町長セサール・ゲレーロが当局に調査を依頼した。
さまざまな説が出され、突然変異のクジラではないかとする意見もあったが、
結局、結論は出ないままだったようです。
クチバシと思われる画像 ナガスクジラの頭部
上の画像を見るかぎりクジラには見えませんが、これはおそらくクレーンなどで
吊り上げられている状態と思われます。ですから、
首の部分があるように見える。あと、クチバシは取り外されているようです。
で、これ、自分はやっぱりクジラなんじゃないかと考えます。
ナガスクジラなのか、マッコウクジラなのかはちょっとわからないですが、
クチバシに歯があったという記録がないので、ナガスクジラの可能性が高いかも
しれません。ナガスクジラは、体長20~26m、体重30~80トンなので、
大きさの要件は十分満たしています。
ここで、「ちょっと待って。クジラにクチバシはないよね」と思われた方も
おられるんじゃないでしょうか。そういう意見は多いんです。
でも、自分は逆に、「クチバシ」という証言があるものはクジラの可能性を
疑います。次にクジラの骨格図を掲載しますが、
上がマッコウクジラ、下がシロナガスクジラです。
どうでしょう。頭骨の前の部分の形が、クチバシに見えませんか。この骨が、
肉の部分が腐敗してむき出しになり、クチバシと誤認されるんだと思います。
マッコウクジラ類は、頭の部分に「脳油」と呼ばれるワックス状の物質が
入っています。これによって浮力を調節し、深海にもぐったりするんですが、
この部分は腐敗してなくなってしまいやすいんですね。
余談ですが、マッコウクジラの油は「マッコウ油」、
ナガスクジラからは「ナガス油」が採れます。この成分には違いがあり、
マッコウ油は人間の食用にはならないため工業用に、
ナガス油は食用も含めて広く利用されました。アメリカの小説家、
ハーマン・メルヴィルの書いた『白鯨』では、19世紀後半の捕鯨の様子が
出てきますが、当時の捕鯨の最大の目的は、鯨油を採ることにあったんですね。
で、クジラが何らかの事情で死ぬと、胴体は肉厚なので、
まず、頭部が腐って鯨油が抜け、頭骨がむき出しになりやすいと考えられ、
それがクチバシ状に見えるというわけです。次の画像をごらんください。
これは、2007年に中国の海岸で発見されたものです。
くちばしだけで1メートルあり、頭全体では約3メートル。
ちぎれたような首からは骨が出ています。これを、プテラノドンなどの翼竜
じゃないかとする見解もありますが、ちょっとありえないでしょう。
この頭部はかなり重そうですが、翼竜の場合、
翼長10m級のものでも、体重は50kg程度しかありません。
それはそうですよね。重ければ滑空できなくなります。
これもおそらくクジラ類の一種なんでしょう。あと、画像はありませんが、
1925年、アメリカ・カリフォルニア州で、体長15mの巨大な生物の死骸が
流れ着き、この生物にも巨大なくちばしがあったが、歯はなく、
クジラのような尾がついていたとされます。
また、下図はロシアのサハリン島に流れ着いたものです。
さて、クジラ類の中には、骨だけでなく、外から見た口吻がクチバシ状に
なっている仲間がいます。アカボウクジラ類ですね。
アカボウクジラは、体長7m、体重2~3トン、
顔つきが赤んぼうのようなことから、この和名がつけられました。
体は細長く、漂着死体がシーサーペントに見える可能性があります。
下図は、オーストラリアの海岸で見つかったアカボウクジラ科の希少クジラです。
さてさて、ということで、漂着死体というとウバザメなどのサメ類が有名ですが、
自分はクジラ類もかなりあるんだろうと思ってます。
何だか夢を壊すような内容になってしまいましたが、
「クチバシ」という証言があったら、クジラの可能性を考えたほうがいいようです。
では、今回はこのへんで。
シロナガスクジラの全身骨格