今回はこういうお題でいきます。まず、風水のほうから話しましょう。
風水をWikiで引くと、「古代中国の思想で、都市、住居、建物、墓などの
位置の吉凶禍福を決定するために用いられてきた、
気の流れを物の位置で制御する思想」と出てきます。

風水羅盤


現代の日本でも、ネット上にはたくさん「風水」を取り上げたサイトがあり、
「家の部屋の間取りが悪い」とか「墓の場所が悪い」とか出てきますが、
どこまで風水を理解して書いてるのか、
疑問に思うような内容のものもけっこうあるんですね。

風水をきちんと理解するためには、古代中国の『葬書』などの文献を
読み込まないといけないんですが、これがえらく難しいシロモノで、
自分も読んだものの、いまだにちんぷんかんぷんです。
日本における風水は、「玄関は明るくする」とか「南側に窓をつくる」とか、
あたり前と言えばあたり前な、生活の知恵以上になっていない気がします。

 



では、中国が風水の本場で、偉い先生がたくさんいるかというと、
これがそうでもないんですね。ご存知のように、中国に伝わる古代思想は、
1966年からの、毛沢東の文化大革命によって壊滅的な打撃を受け、
そこからあんまり回復していないんです。

ですから、昔からの風水の形は、各地に散らばって生活している華僑の人たちに、
むしろ強く受け継がれているように思います。
文化大革命の影響を受けなかった香港には風水の専門学校がありますし、
大企業でも、風水師をアドバイザーとして雇っているところもあり、
風水が職業として成り立っているんです。

さて、ブルース・リーは、香港出身のアクション映画の俳優。
アメリカと香港の合作映画、『燃えよドラゴン』が公開され、
世界的に名声を得た1973年には、32歳ですでに亡くなっていました。
それがまた、彼の伝説性を高めたんですね。



ブルース・リーの死因は、脳浮腫となっています。
つまり脳が腫れ、脳幹が圧迫されて亡くなったわけですが、
では、脳浮腫になった原因はなにかというと、麻薬、痛み止め薬の乱用、
筋肉増強剤、脳腫瘍など、いろんな説が出されています。

中には暗殺説まであって、リーをアメリカに取られるのが嫌だった

香港映画の関係者がやったとか、逆に、東洋人の進出を防ぐために
ハリウッド映画の関係者がやったとか、相反する内容のものが
唱えられていますが、どれも憶測の域を出るものではありません。

さて、ブルース・リーは風水を信じていたのか。これはそうだと思います。
映画『燃えよドラゴン』の最後に出てくる、あの鏡の部屋や、
『死亡遊戯』で、悪役の親玉が、部屋にある水槽で飼っている海水魚の
ミノカサゴに餌を与えるシーンなど、水槽で赤い魚を飼うと縁起がよく、
火事にならないと言われていて、風水の影響があちこちに見られます。

ネッタイミノカサゴ


リー自身も、風水師に観てもらって、場所が悪いので転居を考えていた、
という話もあります。その矢先に死亡してしまったというわけです。
遺作となった『死亡遊戯』には、映画の撮影にかこつけて、
実弾にすり替えた拳銃で、リーを暗殺しようとするシーンが出てきます。

で、ブルース・リーの長男で、同じアクションスターの道を歩んだ
ブランドン・リーが、リーの死から20年後に事故で亡くなりました。
『クロウ/飛翔伝説』という映画の撮影中、銃撃シーンで使われた拳銃に
なぜか実弾が入っており、それが腹部に命中してしまったんですね。

これはちょっとありえないような事故ですが、『クロウ/飛翔伝説』は
低予算映画で、銃器の専門家がスタッフにいなかったことが
原因としてあげられています。このとき、『死亡遊戯』の内容との
奇妙な暗合に気がついた人は多く、オカルトとして話題になりました。



さてさて、撮影の間、ブランドン・リーは、往年のハリウッドの名優
エロール・フリンが建てた豪邸に住んでいました。そこを訪れた知り合いの
香港の映画監督ロニー・ユーは、その家の家相が悪いことに気がついて、
転居を勧めましたが、ブランドン・リーは笑って、
まったく取り合わなかったそうです。

ということで、風水を信じていたと思われる父のブルース・リー、
信じていなかった息子のブランドン・リー、どちらも若くして
亡くなってしまったわけです。なかなか皮肉な話だと思います。
結局は、人のほうに、それを活かし役立てる姿勢がないとダメなんですね。
では、今回はこのへんで。