キャプチャ

今回はこういうお題でいきますが、真面目な話では
ありません。後代の通俗小説などから取った、
あくまでもイメージに過ぎませんので、そのつもりで
お読みくだされば幸いです。『封神演義』は、
中国明代に成立した神怪小説ですが、それをさらに

日本語に意訳した、安能務氏による『封神演義』から
ご紹介する内容が大部分を占めています。ちなみに、
中国では『封神演義』は二流の通俗小説とみなされており、
それは『論語』に、「怪力乱神を語らず」とあるためですが、
『封神演義』には怪力乱神しか出てきません。

中国で重要視されたのは「詩と経」であり、政治的な書
(大説)に対し、小説という言葉ができたとも言われます。
おっと、余談はこのくらいにして。まずは、どうやって
仙人になるのか。基本的に、前に仙人になった者の
導きによって修行をさせられてなります。



また、仙骨という素質が重要で、それがないと仙人には
なれないとも言われます。仙人って種類があるの?
はい、大きく天仙、地仙、尸解仙(しかいせん)があると言われています。
天仙は、生きたまま天に昇って仙人になることで、その中でも
真昼にみなが見ている中で天に昇ることを白日昇天と言います。

また、羽化登仙という言葉もありますが、体に羽が生えたように
その場に沓(くつ)だけを残して登仙します。地仙は、
仙人の力は備えているが地上に暮らすもの。尸解仙は、棺に
入れた死体が、後で掘り起こしてみると、刀剣や木の杖などに

仙境
d

変じていた場合。もちろん刀剣が残っていたほうが位が高い。
中国には『神仙伝』という種類の書物があり、どの人物が
どういうきかっけでどのように仙人になったのか書かれていて、
東晋時代の葛洪の『神仙伝』が有名です。

仙人はどこに住んでいるか。これは仙境ですね。水墨画などに   
見る高山の頂近くの洞穴に、「〇〇洞」などという
名前をつけて住んでいます。仙人は登山する必要がないので
そこからどこにでも飛んでいけます。ちなみに、仙人は
身一つで飛ぶことも、孫悟空のように雲に乗ることもできます。

余談ですが、孫悟空は中国では悟空という諱を避けて孫行者と

呼ばれることが多く、行者は仏教修行者のことです。『西遊記』は、

三蔵法師が天竺へ経を取りに行く物語で、仏教的ではありますが、悟空は
天界で「斉天大聖」の位をたまわるなど、神仙思想も
かなり入り混じっているんです。

いいう

あ、仙人が飛ぶ話でしたね。仙人の中には乗騎という、乗る
ための動物を持っている場合もあります。龍や麒麟、青い虎など
いろいろな乗騎がありますが、姜子牙(太公望)が乗る

四不像(しふぞう)が有名です。これは実際にいるシカの仲間がモデル。

さて、仙人はどうやって修行するか? いったん仙人になっても、
修行を怠ると力が失われます。外丹法と内丹法が有名です。
外丹法は、仙薬を作って服用する。これに対し内丹法は
一種の呼吸法ですね。天地の気を自分の体内に導き入れ、
長命長寿を得る。チャクラの考え方にも似ています。

八仙
きう

仙人は不老不死なんですが、不老はあまり意味がないようです。
それは子どもの姿など、自分の好きな形をとることができる
からで、不死のほうは、病気や老衰はないものの、事故や
事件では死にます。それと『封神演義』では、仙人には
殺戒があり、1500年に一度人を殺さなくてはならない。

そのため、暇があれば「宝貝 パオペエ」という道具を
作っている。宝貝は武器が多いんですが、それ以外のものも     
あります。空を飛んで相手を襲うハサミとか、宙に放り投げると
相手の頭に落ちてくる金属製の大きなハンコとか。
広げると天地が真っ暗になる傘とか。



あとそうですね。仙人にはもちろん女性も多くいます。
基本的に色欲を捨てなくてはなりませんが、女性の仙人の
中には人間の男を誘惑するという話もあります。また、
女性の仙人は老婆の姿で出てくる者は少ないようです。

以前、「中国の塔の話」の記事を書きましたが、中国では
「神仙は高楼に降りる」という伝説があり、歴代の
権力者は高い楼閣や高台を建て、不老不死についての教えを
乞うために、頻繁にそこで酒宴を行いました。

四不像


あと、これも『封神演義』での話ですが、仙人には出自の
もとが人間である「闡教(せんきょう)」と、それ以外の
動植物や妖怪が仙人になった「截教(せっきょう)」が
あることになっていて、闡教が截教の勢いを削ごうとして
争いが始まり、それが殷・周の戦いのもとになります。

さてさて、ということで、あれこれ ごた混ぜではありますが、
仙人のイメージを集めてみました。みなさんの中で仙境小説
などを書こうと考えておられる方の参考になるかも
しれません。では、今回はこのへんで。