今回はこういうお題でいきます。変な題名だなと思われるでしょうが、
オカルト論のジャンルですね。ここでいう「○○man」というのは、
スレンダーマン(slenderman)、シャドーマン(shadowman)などの
怪人系のオカルトのことです。オカルトにあまり興味のない方でも、
名前は聞かれたことがあるんじゃないかな。

シャドーマンとされる画像
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で、日本でもアメリカでも、幽霊は女の目撃例が多いのに対し、
こういう怪人系は男である場合がほとんどなんですね。
怪人系で女というのは、日本の「口裂け女」くらいじゃないでしょうか。
さて、どっちからいきましょうか。まず、シャドーマン。
2006年ころから、インターネット上で話が出るようになりました。

その名のとおり、影のような真っ黒な人型のものが現れる謎の現象。
ありえないような動きをすることもあり、それを見た人間は、
体調不良になったりするとも言われます。また、シャドーマンが
出現するときには、爆発音が聞こえたり、
焦げ臭い臭いがするという話もあります。

で、このシャドーマン、動く影としか目に映らないので、
実際には男かどうかもわかりません。あと、アメリカには
シャドウマンというアメコミのヒーローがいるんですね。それと
区別するために、「シャドーピープル」と言われることもあります。

これはアメコミの「シャドウマン」で、今回の話とは別物


典型的な目撃例としては、「2007年7月10日の朝、カリフォルニア州
フレズノの公園を散歩していた人物が、人のいないはずの場所に
人の形の影だけが現れている現象を目撃し、自宅に帰った後に原因不明の
高熱におそわれて数日間も寝込んでしまった。この現場近くの森では
後日、別の人物によって、黒い人影が携帯電話のカメラで撮影された。」

こんな感じです。これだけ見れば、空を飛んでいた鳥の影とかじゃないか、
と思われるかもしれませんが、シャドーマンについての情報が
だんだん集まってくるにつれ、その影は、つば広の帽子とコートらしきものを
身につけているという共通点があることが明らかになってきました。

シャドーマンの共通イメージ
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画像や動画もネット上に出回っていますので、興味を持たれた方は、
「shadow people」で検索されてみてください。このシャドーマンが
日本で有名になったのは、2014年、テレビ朝日系の番組
「ビートたけしの超常現象㊙Xファイル」で、ボリビアのラパスという
町にあるサッカー場で、「観客席を高速移動するシャドーマン」
の動画が紹介されてからですね。

ただ、この動画の真偽についてはすでにネタバレしていまして、
加工などではないんですが、じつは、同じ場面を別角度から
映した映像が存在し、それを見ると、普通の観客が入り口から
出てきて、通路を駆け下りてるだけなんです。たまたま、
そのカメラ画像がブレててそう見えたわけですね。

テレビで紹介されたシャドーマン
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シャドーマンの正体としては、われわれの住む世界とは
別の世界の存在が、何らかの理由でこの世に投影されたという
説が唱えられています。宇宙論の一つである、
ホログラフィック宇宙論との関連を説く人もいますし、パラレルワールド
どうしが交差したときに起きる現象であると言われたりもします。

次に、スレンダーマンにいきます。これ、不幸な殺人未遂事件が起きてるのを
記憶されている方もいると思います。 スレンダーマンはその名のとおり、
細身で身長は2m以上、黒い背広を着た男で、顔はのっぺらぼうのように
なっていて判然としません。手足は不自然なまでに長くなっています。
その行動は、子どもをさらうとされることが多いですね。

スレンダーマン
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ただ、このスレンダーマンは、はっきり創作上のキャラクターなんです。
作られた経緯もわかっています。2009年、アメリカの
「サムシング・オーフル・フォーラム」というネット掲示板で、
「フォトショップによる不自然な画像」を投稿するスレに、

ビクター・サージ というハンドルネームの利用者が、
子どもたちが遊んでいる場面に、黒い背広を着た長軀痩身の人物像を
加えた白黒の画像を投稿しました。これがすべての始まりで、
あとはどんどんいろんな情報がくっついて、ネットで拡散していったんです。
初めから創作とわかっているもののはずだったんですが・・・

2014年5月、ウィスコンシン州で、12歳の2人少女が、同級生の
少女を押さえつけ、19回も刃物で刺す事件が起きました。幸い、刺された
箇所が手足が多かったのと、通行人が止めたため、被害者は重傷で
生きのびています。警察の尋問で少女たちは、ネットで話を読んだ
スレンダーマンの手下になる条件をクリアするため、
人を殺そうとしたと証言しています。

殺人未遂事件の犯人の1人
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犯人の少女の一人は、スレンダーマンが彼女を監視して
心を読んでいると信じていたそうです。この事件の裁判は現在も
進行中で、犯人は未成年なんですが、2人の少女のうち1人に対して、
25年間の精神病院への収容という判決が出ています。これなんか、
ネットの影響力の大きさを感じさせる、本物の怪談ですよね。

さてさて、最後に英語の話でもしますか。シャドーマンの
シャドー(shadow)は、「光によってできる影」という意味で、
シェード(shade)は、「日のあたらない陰の部分」です。また、
シルエット(silhouette)は、「影になった輪郭」ということですが、
アメリカではあまり使わないと思います。

それから、スレンダー(slender)は基本的にほめ言葉で、
「細身でかっこいい」みたいな意味。スリム(slim)も「ほっそり
して優美、節制している」と肯定的に使われます。これに対し、
スキニー(skinny)は「やせっぽち、ガリガリ」と、
いい意味では使われません。では、今回はこのへんで。
 

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