当ブログでは、何回か都市伝説についての記事を書いていますが、
今回はそれ系のお話です。まず、都市伝説とは何か?ということですが、
この定義はいろいろあるものの、「現代を舞台にした、多くの人に伝わっている、
根拠のあいまいな噂話」だいたいこんなところになるでしょうか。

まず、現代の話でないものは除外されます。例えば、「源義経は大陸に渡り、
ジンギスカンとなって広大な領土を治め、その孫、
フビライの代になって日本に侵攻した」こういうのは都市伝説とは
言いませんよね。あくまで歴史上の伝説です。

次に、「多くの人に伝わっている」の部分。いくら興味深い話であっても、
かぎられた地域の少数の人にしか知られていないものは、
やはり都市伝説とは言いにくいでしょう。もっとも、インターネット時代に
なってからは、噂話が拡散するスピードは格段に早くなっています。



あとはもちろん、「根拠があいまい」なのは当然ですね。
もしきちんとした根拠があるなら、それは伝説じゃなく事実になります。
あと、ある研究では、一度ネット上に何らかのデマが広がると、直後に、
それを否定する正しい情報が出ても、人は最初に出たデマを
信じてしまう傾向があるという結果が出ていました。

さて、では、どういう内容が都市伝説として広まりやすいか。
自分が考えたのは、次のようなことですね。
① その話が面白いこと、興味深いこと。
② その話に真実味があること、信憑性が高いと感じられること。
③ 自分にも何らかの形でかかわりがあるかもしれない話であること。
④ 印象的なオチがついていること。

で、まず①ですが、これは当たり前の話ですよね。

つまらない話は興味を持たれないし、広まることもありません。

みなさんは、「ミーム」という言葉をご存知でしょうか?
進化生物学者のリチャード・ドーキンスによって考え出された概念で、
一般的には、「ヒトの脳内で進化し、人類の文化を形成する情報」と定義されます。

このミームを説明する場合、都市伝説がよく引き合いに出されます。
情報そのものが生命のような力を持ち、「どうしても他の人に伝えたい」という
気持ちを引き起こして、短期間に広まっていく。その間に、情報の細部が、
不特定多数の伝達者によって、より面白い、より興味深い形に改変されていく。
ですから、よく似た都市伝説がいくつかある場合、その中でも、
最も面白い内容のものが最終的に生き残ることになります。

次に、②の「話に真実味がある」という項目ですが、例えば、
「ある女性がヨーロッパを旅行していて、

東欧の某国の店で試着室に入ったところ、そこで足どりが途絶え、

行方不明になってしまった。数年後、別の国の街角で、
両腕両足を切断された、だるまのような姿で見世物に

されているのを友人が発見した」



また、「東南アジアの某国を旅行中、ポン引きにいい女がいると紹介されて
ついていき、最初に出された酒を飲んだら記憶を失った。気がついたら、
ホテルの一室で、氷がたくさん浮かんだ風呂に入っていて、
腹部には大きな傷跡があった。病院で検査したら、内臓がいくつかなくなっていた」

自分は、ルーマニアなどの東欧や、東南アジア、南米にも行ったことが

ありますが、中には、警官が簡単に買収に応じる国や、

マフィアが裏で支配してるところなどもあり、残念ながら、

日本のように治安や人権意識が確保されている国は多くありません。
ですから、こういう話が、いかにも「ありそう」に思えるんですね。

こう書くと、「真実味のない都市伝説もあるじゃない」と言われそうです。
確かに「高速道路を100キロで走っていると、車と並走してくる
着物姿の婆さんがいた」100キロ婆っていうんですが、そういうものもあります。
しかしこれ、自分は都市伝説とはちょっと違うんじゃないかと思ってます。
ギャグの一種なんじゃないでしょうか。

それと、伝説が広まる年齢層ということもあります。
「トイレの花子さん」などの学校の怪談系の話は、大人は信じなくても、
子どもにしてみれば身近で怖いですよね。このような、ある特定の年代に通じる
都市伝説というのも、年齢層によって利用するSNSが異なる現状において、
広まりやすくなっていると思います。

③の「自分に何らかの形でかかわりがある」これは例えば、「ある人がビーチで
美しい女性と知り合い、ホテルで一夜を過ごした。翌朝目覚めると、
ベッドに女性の姿はなく、バスルームの鏡に口紅で、『ようこそエイズの世界へ』
と書かれてあった・・・」こういうのは、ナンパをしてる人には身近で
怖いでしょうし、実際、これに近い話もあるんです。



あるいは、「○○フライドチキンで三本足の鶏を、
遺伝子改変で作って使用している。△△バーガーにはミミズの肉が使われている」
こういうのも、ふだんからファーストフードをよく利用している人にとっては、
身近な話ですよね。また、これ系の都市伝説は、陰謀論と結びつく場合も多いです。

④の「印象的なオチ」は、①とも関係がありますが、
オチが鮮やかであればあるほど、「他の人に教えたい」

という気持ちが強くなります。あと、上には書きませんでしたが、

伝説の登場人物のキャラが立っているかどうかも
重要です。「口裂け女」とか「八尺様」とか。

さてさて、ということで、都市伝説の成立条件に着いて考えてみましたが、
自分が書いている怖い話の中にも、都市伝説を利用させていただいているものは
数多くあります。怪談は世に広まってナンボですので、自分が書いた話でも、
都市伝説化するものがあればいいなあと思ってます。では、今回はこのへんで。

映画『ルール』
ははははは