
今回はこういうお題でいきます。当ブログではこれまで、
神道や仏教、キリスト教についても多数の記事を書いて
きていますが、ヒンドゥー教のものは多くありません。
これは、日本人にはヒンドゥー教がなじみがないせいも
ありますが、自分もあまり知識がないからです。
ですので、ここから書く内容には自分の誤解などが
含まれているかもしれません。さて、世界宗教という
分類がありますよね。これは国境をこえていくつもの
国で信じられている宗教のことで、現在、
キリスト教、イスラム教、仏教とされています。
日本の神道は世界宗教ではありませんし、ヒンドゥー教
も、信徒は10億人レベルでいるんですが、一定地域で
しか広まっていないので、世界宗教とは言いません。
あと、儒教は難しいところですが、内容が哲学的で
他の宗教との比較がしにくいんですよね。
官能的なインドラ神

さて、こういうことを書いていると字数が尽きてしまうので
話を進めます。まず、インドにアーリア民族のドラヴィダ人が
定着して以後、バラモン教が広まりました。バラモン教は
多神教で、神々への賛歌である『ヴェーダ』を聖典とし、
バラモン教の教えを理論的に深めた「ウパニシャッド哲学」
が形成されていきます。バラモン教には身分制度があり、
四姓制をといいます。司祭階級バラモンが最上位、クシャトリヤ
(戦士・王族階級)、ヴァイシャ(庶民階級)、
シュードラ(奴隷階級)。このあたりはご存知でしょう。
ガンガー(ガンジス川)での沐浴

また、これらのカーストに収まらない人々は、それ以下の階級
パンチャマ(不可触賤民)とされました。バラモン教ができたのは
紀元前12世紀頃と考えられますが、あまりに司祭階級が
力を持ちすぎたため、インド土着民族の反感を買い、
4世紀頃、インドの民族宗教などを取り込んで再構成され、
ヒンドゥー教へと発展、継承されました。このとき、
バラモン教の内容は大きく残されましたが、新しく取り入れ
られた神や、バラモン教とは性格が変わった神があります。
また、カーストの細分化も進みました。
孫悟空のモデルとも言われるハヌマン

概論はこれくらいでいいでしょうか。ヒンドゥー教の
内容は地域によって細部が違ってるんですが、特徴を
まとめると、上記したように ・ 多神教であること
・ 業(カルマ)と輪廻の概念を持つこと
・ カースト制度 などが挙げられます。
あと、きわめて性的な宗教でもあるんですね。それから、
日本でもよく知られる聖牛信仰。牛を殺した者は、
カーストの最下位からやり直さなくてはならないとされます。
ヒンドゥー教の具体的な修行法としてヨーガが有名です。
ヒンドゥー教での、人が生きる目的は3つあり、それぞれ
ダルマ、アルタ、カーマと呼ばれます。ダルマは、
自分のカーストの務めを果たすことで、例えば、もし音楽家の
カーストであれば、その仕事を勤勉にこなす。
聖牛

アルタは難しいんですが、実利の追求と訳されることが
多いですね。政治的な実利を言う場合もあれば、
富の蓄積を指す場合もあります。ヒンドゥー教では
金儲けが否定されているわけではありません。
最後のカーマですが、これは性愛の快楽を追求することで、
性典である『カーマ・スートラ』や、カジュラーホーの
性愛彫刻で有名なカンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院
があります。仏教などとは違って、
性欲を否定することはないんです。
性愛寺院

こうして見てくると、かなり規範のゆるい、世俗的な面を
持つ宗教であることがわかります。これら3つの目的を
追求して人生を終えれば、輪廻で階級が上がっていくと
考えられているんです。あと、多神教の神々の中で、
自分の信仰する神を決めて、熱心に宗教的行為を行う。
踊りなんかもそのうちの一つです。インド映画には
劇中に踊りが入ってるものが多いですが、あれも意味が
あるんです。信仰される神は、大きく分けて、ヴィシュヌ神系と
シヴァ神系があります。系という言葉を使ったのは、
それぞれ多数の化身(アバター)を持っているからです。
シヴァ神

どちらもバラモン教の『ヴェーダ』ではあまり言及されて
いない神ですが、2000年ほど前から人気が
急上昇しています。あ、この2神についてはもう少し
詳しく書こうと思ってたんですが、字数がなくなりました。
さてさて、ということで、日本人にはあまりなじみのない
ヒンドゥー教を見てきました。うーん、輪廻という
概念を抜かせば、何でもありの点は中国の道教に
似ているかもしれません。では、今回はこのへんで。